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第73話 長崎旅行その4

今日のスタートはオランダ坂だ。


美明がストレッチをして登る気満々だが、どう見ても無理だろうと坂を見上げる。


昨日美明に予定を見せてもらった。


しかし美明に近づき過ぎて、いい匂いに気を取られていたためによく見ていなかったのだ。


「さあ行くよ」と美明が言う。


2分後すでに美明はバテた。


僕も静羽も遊理香も、もう驚きもしなくなっていた。


2分ぐらい登っては休み、また2分登っては休み。


このまま美明を置いていこうか本気で思った。


1時間以上かかってようやく上まで来た。


振り返ってみると良い景色。


僕も静羽も遊理香もスマホで写真を撮る。


瀕死の美明はゼイゼイ言ってそれどころではないようだ。


お昼になったので、何食べようかという話になって、結局お店で買ってイートインスペースで食べることに。


まずはハトシ。


エビのすり身を食パンで包み揚げたもの。


エビの旨みがギュッと詰まった味わいで美味しい。


次は上品な甘さの桃あんまん。


次の店では、ゴマ団子・桃まんじゅうを食べた。


両方とも中の餡子が美味しかった。


そしてしばらく歩き、グラバー坂を上る。


美明が……まあ、いつものことなので割愛する。


大浦天主堂(おおうらてんしゅどう)が見える。


日本最古の教会で国指定重要文化財である。


その右側が次の目的地のグラバー園だ。


そして入っていくと、階段もあるのだがエスカレーターが。


階段で登ろうとしている美明を無理やりエスカレーターに乗せて上を目指す。


長いエスカレーターで上がって行く時に見える景色は素晴らしい。


ここは本当に日本なのかと思わされる景色だ。


いくつかのエスカレーターを乗り継ぎ上に着くと、見えてきたのは旧三菱第2ドックハウス。


外国人乗組員用の宿舎である。


目の前の池には鯉が泳ぎ、見た目からして素晴らしい建物だ。


その後は道なりに坂を下って行く。


そして数々の建物を見ていく。


建物の内部とかもすごいが、ちょくちょく見る長崎港などの景色が良い。


ここはどこから見ても絵になる景色だらけだ。


また下って行くと、喫茶店がある。


日本初の西洋料理店を開業したレストランの一つ「自由亭」跡をグラバー園内へ移築・復元された喫茶室みたいだ。


僕と美明が長崎カステラセットを。


静羽と遊理香がアップルパイセットを。


僕の飲み物はもちろんダッチコーヒー。


めちゃめちゃ苦かったけど、美味しかった。


そして旧グラバー住宅。


現存する最古の木造洋風建築だそうだ。


外に出て歩き出すと、美明が何か叫んでる。


何かと思って行ってみると、地面にハート型の石模様が。


よく見つけたなあと感心した。


最後に向かったのはレトロ衣装館。


ここでレトロ衣装を着てみんなで記念撮影をした。


美明は赤で前面にレースの付いた衣装。


静羽はベージュがかった白に花柄。


遊理香は紫にフリルの着いた衣装。


僕はシルクハットを被った正装。


みんなかわいい。


3人が揃って映っているのをスマホのトップ画面にしようかと思った。


しかし誰かに見られたら何を言われるか分からないので断念。


そう思っていると、遊理香が僕の手を組んでくる。


「一緒に撮ろう」


僕が何も言わないのに美明に撮ってくれるようにお願いしている。


ちらりと静羽を見ると怒っているようだ。


やばいと思った僕は静羽と美明とも一緒に撮った。


静羽の機嫌が良くなった。


ところで美明のお嬢様の格好はどうしても違和感が。


かわいいけどなんか違うというか。


そして遊理香はなにを着てもほんと似合うと思った。


静羽はかわいくて、まずいなと思った。


レトロ衣装で楽しんだ後はグラバー園を後にする。


次は路面電車とタクシーを乗り継ぎ、鍋冠山(なべかんむりやま)展望台へ向かう。


夜景が有名なところだが今は夜景には少し早い。


これには理由がある。


夜にもう1つの夜景スポットに行くからだ。


鍋冠山公園展望台に着くとさっそく展望台へ。


まだ少し明るいのだが、長崎の空・山・港を見る。


しばらくすると、港や街にライトが付き始める。


その美しい光景に4人は見惚れていた。


誰も喋らず、時間だけが静かに過ぎていく。


少し経ってようやく美明が「行こうか」と言った。


帰りは歩きだ。


歩きと言っても途中エレベーターがある。


徒歩とエレベーターを乗り継いで街中に戻った。


街中に戻ると路上に猫たちが。


長崎には猫が多い。


猫好きな遊理香が猫たちとじゃれ合う。


美明も加わり、しばらく猫たちと戯れる。


僕と静羽がそれを見つめる。


「静羽は猫と遊ばなくていいのか」と僕が聞く。


「はい。猫はかわいいですけど、今隼人さんと2人きりで喋れてるので」


僕は少し照れた。


静羽も言って照れたようだ。


遊理香がやって来た。


「何2人で話してたの?」


僕は「別に」と答えた。


「ふ~ん」と言った遊理香は少し不満そうだ。


美明も戻って来たので、移動をすることにした。


次の目的地は本日最後、言ってみれば長崎のメインである稲佐山(いなさやま)だ。

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