第72話 長崎旅行その3
僕は3人の動きを見た。
美明はスマホで明日の予定を見ている。
静羽はキッチンにいる。
遊理香はテレビを見ている。
今がチャンスだ。
なんとしても最初にさっとシャワーを浴びてその後すぐに寝てしまおう。
そうすれば、少なくともこちらから間違いは起こさない。
3人のシャワー後の姿なんて見たら、興奮して寝られないだろう。
さりげなく立ち上がってシャワーを浴びようとしたら、美明が「隼人君明日なんだけど」とスマホを見せてくる。
仕方ないので美明のスマホを見る。
美明の側に行ってスマホを見たが、いい匂いがする。
しまった近づきすぎた。
さっと明日の予定を見て「いいんじゃない」と言う。
そしてそのままシャワー室に向かうと、遊理香が着替えようとしていた。
「隼人、どうしたの?一緒にシャワー浴びる?」
「ごめん。何も見てないから」僕はそう言ってシャワー室を出る。
やられた。
これで計画が崩れた。
遊理香の後に入るか、最後にするか。
「隼人君遊理香を覗いたの?」と美明が言う。
「違う。事故だ。僕は何も見ていない」
「ふうん。だって…」と美明が言いかけてやめて「遊理香がシャワー室へ向かった後に追いかけたように見えたから」
「違う。遊理香がシャワー室へ向かったのは知らなかったんだ」と弁解する。
「隼人さん。私信じていますから」と静羽
「静羽も誤解だから」僕はとにかく必死に言う。
しばらくして遊理香が出てきた。
バスタオルを巻いただけだ。
「ちょ遊理香、服着て」と僕はお願いする。
「私、家だといつもこうだから」と遊理香
「お願いします。着てください」
なんとかお願いして、パジャマを着てもらった。
シャンプーやボディーソープのいい香りがする。
「美明と静羽。私の持って来たトリートメント使ってもいいから」と遊理香が言う。
いい匂いの原因はそれかと思った。
ついで美明がシャワーを浴びる。
美明は赤いパジャマを着て出てきてくれた。
助かった。
続いて静羽が。
シャワー室へ行こうとして僕に耳元で「もしも覗きたいなら構わないです」
僕は一瞬、本気で理性を失いそうになった。
その後美明と遊理香が何か喋っていたが、僕の頭に入ってこなかった。
しばらくして「隼人君、隼人さん」と美明と静羽の声で我にかえる。
「シャワー浴びてきたら」と美明が言う。
僕はシャワー室へと向かった。
シャワー室では3人はここでシャワー浴びてたんだと思うと、落ち着かない気分になった。
僕がようやく出た時には30分を過ぎていた。
「なにかシャワー室でしたの?」と遊理香
「なにもしていない。ちょっと考え事をしただけだ」
「私たちのこと?」と遊理香
「違うよ。明日のこととかだ」
そうしてソファーの端に移った。
3人のパジャマ姿に目がいってしまう。
こうなればやることは1つだ。
「寝る!」と言って横になった。
まだ夜も早いが仕方がない。
3人の会話を聞きながら、なんとか寝ることが出来た。
朝、僕が最初に目が覚めた。
昨日の夜は遊理香に振り回されたと思った。
みんなを起こさないように、冷蔵庫から飲み物を出して飲みながら考え事をする。
遊理香もそうだが、静羽の一言も昨日はやられた。
もしも、もしも僕が覗いていたらどうなっていたんだろう。
そして、しばらくして3人が起きた。
「朝食は僕が作るよ」と言った。
と言っても、パンにコーヒー、紅茶にオレンジジュース。
後はサラダと目玉焼きなのだが。
4人でいただきますと言って食べようとしたのだが……
美明が目玉焼きにしょうゆをかけた。
それに対して遊理香があり得ないと言う。
僕は塩コショウをかけた。
美明と遊理香は納得がいかないようだ。
遊理香がケチャップをかける。
僕と美明がケチャップ?と疑問を持つ。
みんな目玉焼きの食べ方が違うのだ。
静羽は粉チーズをかけた。
これに対しては3人とも疑問を抱かない。
「あのう、好きな様に食べればいいと思いますが」と静羽が言う。
「そうですね」と僕と、美明と、遊理香は反省をした。
外を見ると快晴だ。
今日も旅日和。




