第70話 長崎旅行その1
年が明け月末のテスト後の休み中の朝、僕らは駅に集まっていた。
これから長崎に向かうのだ。
僕が駅に着くと美明と静羽がいた。
「おはよう」と僕は2人に声をかけた。
2人とも「おはよう」と返してくる。
「流石に朝は寒いね。暖かい場所に行くのがいいね」と僕が言うと
「えへへ。実はね。長崎は第2候補だったのよ」と美明が言う。
「第1候補はどこだったの」と聞くと
「札幌」
僕も静羽も黙ってしまった。
札幌は良いところだけど、この時期に行くのはかなり寒そうだ。
そんな話をしていると、遊理香がやってきた。
「お待たせ」と遊理香が言う。
「みんな揃ったね。じゃあ行こうか」と美明が言う。
そういえば旅行の時、いつも美明が仕切っている気がする。
僕が部長なんだけどな。
正月明けなので朝もいつもよりは空いている。
それでも混んでる電車で目指すはモノレールだ。
空港まではモノレールと私鉄の2つの路線があるが、僕たちが選択したのはモノレール。
気持ち値段が高くなるが、駅から空港の乗り場が近いのが決め手だ。
途中電車を乗り換え、浜松町に着く。
そこでモノレールに乗り換え、終点の羽田空港第2ターミナルを目指す。
モノレールに乗ると、ようやく車内で会話が出来るようになった。
僕は遊理香に「今日からの旅行、最初札幌に行く予定だったらしいぞ」と美明を見ながら言った。
「え~まじ。私ら凍死させる気?」と遊理香が美明に言う。
「冬の札幌もいいもんだよ。2日目は小樽に行こうと思ってたんだ。運河とかもあるんだよ」と美明が言う。
僕は静羽を見ると、静羽はずっと僕を見ていたのか、目が合った。
目が合ったのがわかると笑顔になった。
僕も笑顔を返した。
そのやりとりを遊理香が見ている。
美明はスマホで札幌の気温を調べている。
「凍死ってレベルの寒さじゃないとおもうけどなあ」と美明
僕は美明に「行かないところのことはいいよ。空港は任せたよ。僕飛行機に乗るの初めてだから」
「わかった。任せて」と美明
言ってしまったと思った。
美明は方向音痴だ。
万が一迷って乗り過ごしたら大変だ。
静羽と遊理香を見た。
静羽は相変わらず僕のことを見てるし、遊理香は僕と静羽を観察している。
大丈夫かな。
このメンバーで。
モノレールは京浜運河を左手に走っていく。
そしてトンネルなどを抜けてしばらくいくと、羽田第3ターミナル駅に。
そして第1ターミナル駅も過ぎると、終点の第2ターミナル駅に着いた。
ホームに降りたら、エスカレーターを上り、改札を出て……
「あれ?どっちだっけ?」と美明
「僕に聞かれてもわからないよ」
美明は少し歩き、また立ち止まる。
「エクスキューズミーでいいんだっけ?」と美明
「え~と、まずここは日本で、歩いているのも日本人が多いだろ。なんで外国の人に聞くんだ?」
「そうだよね」
2人のやり取りをみた遊理香が「標識あるじゃん」と言う。
僕と美明は気まずくなりながら、案内標識に沿って歩く。
3分もしないうちに発着ロビーに着いた。
ここで搭乗手続きをして、後は飛行機に乗るだけだ。
乗るだけなのだが僕と美明はチェックや移動であたふたした。
ようやく飛行機に乗れるとなって一安心。
座席だが左2席の前に美明と静羽。
その後ろ左に遊理香で隣が僕だ。
飛行機が動き出し、機内アナウンスが流れる。
飛行機が後ろ向きに動いて止まってしまった。
大丈夫かな。
僕は不安になる。
少しして動き出す。
しかしずっと地上を動いているままだ。
そして一瞬止まってしまう。
あれ事故かなと思ったら、すごい音がして加速していく。
そして「飛んだ」思わず言ってしまった。
隣の遊理香が「子供かよ」とツッコむ。
窓の外の飛行機の影が小さくなっていく。
気づいたら地上が見えなくなり、空一面の景色だ。
結構あっという間だった。
遊理香を見ると動画を見ている。
僕は小声で「どうやって見るの」と聞くと、遊理香が丁寧に教えてくれた。
「隼人動画何見るの?それとも私といちゃいちゃする?」と遊理香が言う
「公共の場でなんてことを」
「公共の場じゃなければいいのかな。着いたら楽しみだね」と言ってウインクしてきた。
僕はドキリとしながら動画を見る。
でもさっきのウインクでなんか落ち着かない。
たまに外の景色をみる。
雲が下にある。
なんだか不思議な気分だ。
景色を見るということは窓側に座る遊理香も見ることになる。
遊理香はほんと顔がいいなと改めて思う。
そういうのを悟られないようにしてまた動画を見始めた。
しばらくすると機内アナウンスが。
着陸態勢に入ったとのことだ。
時計を見ると2時間経っていない。
流石飛行機。
早いなと思った。
そしてしばらくして着陸。
「本日はご利用いただきありがとうございました」と決まったことを言ったと思ったら、
「寒さが厳しくなってきました。お風邪などをおひきませんよう、あたたかくしてお出かけ下さい」
なんか気遣いが嬉しい。
そして飛行機は無事に着陸した。
長崎に着いた!




