表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
66/79

第66話 美明の映画鑑賞

年末、美明がふらりと映画館に向かった。


たまには1人で映画を観るのも悪くないと思ったからだ。


映画館に着くと、上映作品をざっと見ていく。


恋愛ものかスカッとするアクションものか、ミステリーものか。


迷った挙句に今話題の海外ミステリーに決めた。


上映開始30分ちょっと前だ。


急いでチケットを買いに行く。


席は真ん中だけど、やや後方だ。


人気作だし仕方がないと思った。


さっそく入ろうとするとスタッフに止められた。


まだ入場開始になっていないらしい。


20分前になってやっと入場開始。


さっそく自分の席に座る。


まだ両隣は来ていない。


やや後ろの席の方が、画面をかえって見やすくて良かったと思った。


後は始まるのを待つだけだ。


背もたれに寄りかかり、両手をひじ掛けに置く。


しばらくすると、両隣の人たちが来た。


バッグを足元に寄せ、手を膝の上に置いた時に場内が暗くなった。


上映開始だ。


どうやら田舎町での事件らしい。


主人公が事件に巻き込まれ、探偵に依頼し一緒に捜査をする。


途中で右手をひじ掛けに置こうとした。


右隣の人の手とぶつかった。


あれ?左側のひじ掛けが自分用なのか。


ではと、左手をひじ掛けに……


今度は左側の人の手とぶつかった。


どういうこと?


どっちが自分のひじ掛け?


ちょうど犯人の核心に迫るシーンだったが、それどころではなかった。


美明は両側のひじ掛けを取られて納得がいかなかった。



映画が終わった。


しかし美明の気分はすっきりしない。


いったいひじ掛けはどうなっているの。


家に帰ると隼人君に連絡した。


「美明映画観に行ったんだ」


「うん。今話題の海外ミステリーのやつをね」


「僕も行きたかったなあ」


「誘えばよかったね。ごめん。それでさ、映画館で座席にひじ掛けがあるでしょ。あれ、どっちが自分のなんだろ」


「あれね。決まってないらしいよ」


「なんで決まってないの?どっちが自分のか決めてよ」


「まあ。そうなるよね。ところであの映画トリックがすごいって話だけど、どんなトリックだったの?」


「それが、ひじ掛け争いに夢中で映画をあまり観ていなかったんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ