第62話 遊理香と美明
家に帰って来た。
静羽のことを考えてしまう。
彼女の細い腕。
華奢な体。
大きな目。
そんな時、玄関のチャイムが鳴った。
出てみると遊理香が立っていた。
「上がっていい?」
「いやちょっと」
「まあ拒否権はないんだけどね」と言って、そのまま玄関に入り、靴を脱いだ。
仕方なく部屋に案内した。
「静羽と何があったの?」
直球で聞いてくる。
「別に何も」
「嘘。バレバレね。正直に言いなさい」
「チーズフェスタってとこに出掛けただけだよ」
「それで?」
「それだけ」
「な訳ないでしょ」
「それだけだよ」
「キスでもした?」
僕は一瞬黙ってしまった。
そして、僕は「なにそれ」と返した。
「ふうん。したんだ。それで意識しちゃったと」
遊理香は恋愛に強い。
ほぼ当ててくる。
でも認めるわけにはいかない。
「してないよ」
「隼人も静羽も嘘つくの下手だからね」
「……」
「それで、どうなの?付き合うの?」
「いや、まだ考えてもいない」
「ならいいか。それを聞きに来ただけ」
そう言うと、帰ってしまった。
帰り際に「私にもチャンスがあるみたいだからね」と笑顔で手を振り、そのまま去っていった。
告白なのか?
静羽だけだった頭の中にちょっとだけ遊理香が入り込んできた。
そして、夜に美明からスマホに連絡がきた。
「年末にクリスマス会をやろうと思う。あと年明けに泊まりで旅行に行きたい」
クリスマス会はいいけど、泊まりで旅行かと僕は思った。
そして美明からの連絡の最後に
「静羽となんかあったの?私でよければ相談に乗るよ。言い忘れたけどクリスマス会は隼人君の家ね」
ちょっとなに勝手に決めてるのさ。
文句を言うと、別にいいでしょ、彼女もいないんだしと言われた。
いや、ひとりじゃなくなるかもって言うべきか。
でもまだ付き合ってるわけじゃない。
「わかった。クリスマス会のこと、親に言っておくよ」と返した。
「お礼にミニスカサンタの格好をしちゃおうかな」
「別にいいよ、しなくて」
「それはしてきて下さいってこと?隼人君好きそうだもんね。じゃあね」
僕は美明のミニスカサンタを想像した。
美明も頭の中に少し入り込んできた。




