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第61話 新たな一歩

いつの間にか家に帰ってきていたようだ。


気が付くと僕は自分の部屋にいた。


そして頭の中は静羽のことでいっぱいだった。


夜ご飯を食べたらしいが、何を食べたかも覚えていない。


横になると、一層静羽のことを考えてしまう。


静羽とのこれまでのこと、今何をしているのか、そしてさっきのことをどう思っているのか。


静羽のことしか考えられない。


その時ふと思った。


こんなに1人の人を考えたのはアネモネ以来だと。


アネモネ……


もしかしてアネモネは静羽なんじゃないだろうか。


静羽のことだけを考えていたはずなのに、そこにアネモネの存在が割り込んできた。


アネモネと静羽の共通点を考える。


過去の発言や行動を考えると、その可能性はある。


同一人物なのか、違うのか。


考えていたら、寝てしまったようだ。



翌日、4人で部室に集まったが、僕は静羽と目を合わせられなかった。


それは静羽も同じだった。


美明は次の旅行や、今後のことを話しているが、頭に入ってこない。


遊理香は僕らの異変に気付いたようで、僕と静羽を見比べている。


そして美明もようやく異変に気付いたようだ。


首を捻って考えている。


そこにドアをノックする音が。


僕がドアを開けると、なんか見たことのある2人が立っていた。


「どうも写真部です。実はこの前遊理香さんを撮った写真がコンテストで入選しまして」


「おお!すごいじゃん」と僕が言う。


美明も静羽もお祝いの言葉を。


突然自分の名前が出て驚いた遊理香も「そうなんだ」と言いつつ口角が上がっている。


僕はしめたと思った。


話題が逸れた。


僕は写真部と遊理香を褒め、写真の話題へと誘導した。


祝福ムードがしばらく続いた後、少し経ってから2人が部室を出た。


僕は「美明なんか決まったら連絡してくれ」と言ってドアに向かう。


その時ちらりと静羽を見た。


かわいい。


僕は静羽に今までとは違う感情を自覚した。


そう思いながら部室を後にした。

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