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第60話 静羽とチーズフェスタ

商店街を歩いていると突然声をかけられた。


「隼人さん」この声は静羽だ。


僕は振り向いた。


「隼人さん、お買い物ですか」


「いやちょっと用があって済ませて帰るところ」


「もしかして時間あります?」


「あるけど、静羽は何しているの?」


「これからチーズフェスタに行こうと思ってまして、それでよかったら一緒に行きませんか?」


「チーズフェスタ?」


「そうですね。チーズ好きが集まるイベントですね。チーズの話や試食とかもできるんです。無料ですよ。ただ電車賃はかかりますが」


「僕が行ってもいいの?チーズ詳しくないよ」


「大丈夫です。どうでしょうか?」


「わかった。じゃあ僕も行くよ」


2人で電車に乗り会場へ向かった。


会場に着くと受付で会場案内と試食券を2枚もらった。


まずはチーズ情報コーナーへ。


ここにはテーブルの上にチーズに関する色々な冊子が置いてあり、その上の画面では外国のチーズ作りの映像が流れていた。


静羽は1種類ずつ全部の冊子をバッグに入れていく。


その中においしいチーズ料理というレシピ本があったので、手に取って中を見る。


さけのみそチーズ焼きとカマンベールチーズフライが美味しそうだった。


あとは、トマトとチーズのすまし汁という料理に興味があった。


だし汁としょうゆに、モッツァレラチーズとミニトマト、味の想像がつかない。


「気になる料理ありました?よかったら今度作ってあげますよ」と静羽


「どれも美味しそうだね」


「実はこれ7冊目で、過去のはホームページで電子ブックで見ることも出来るんですよ」


次はチーズの販売コーナーへ。


「あのチーズが売ってる。これも食べたい」と静羽のテンションが上がる。


どれを買おうか迷っているようだ。


僕には種類が多いなあと思っただけだったが、静羽の食いつきを見るとすごいのだろう。


そして次はさっそくチーズの試食をすることに。


さきほどもらった券で4種のチーズセット1つと交換できる。


ちなみに時間によってチーズが違う。


今はオーストラリア・オランダ・フランス・日本のチーズの組み合わせだ。


プラスチックのトレイにチーズが4つ乗っている。


どれも個性があって美味しい。


4つだけだが、チーズは奥深いものだと感じた。


次はメインステージでパルミジャーノ・レッジャーノのカットショーが行われる。


とても大きく、チーズの塊といった感じだ。


解説をしながら切り込みを入れていく。


そして半分に切り分けると歓声が。


その後に試食もさせてもらった。


更に国内メーカーでも試食が。


静羽を見るとずっと笑顔だ。


こんなに明るい彼女を見たのは食べ放題以来だろうか。


ビールやワインも販売しているが、僕らには無縁なのでスルー。


大人になったらチーズと一緒に飲んでみたいものだ。


またメインステージに戻ると、チーズのアレンジデモンストレーションが。


こちらも試食を。


なんか神イベント過ぎませんかね。


そして静羽がいくつかチーズを買って帰ることになった。


帰りの車内でも静羽は、ずっとチーズの話をしていた。


そして駅に着くと「今日は付き合ってくれてありがとう。実はね、今日私、誕生日なんです」


「おめでとう!」


「だから何か下さい」


「でも今は何も持っていないからなあ」


「じゃあ代わりに私があげます」


「なんで?」


「いいからいいから。今出しますね」と言ってバッグの中に手を入れる。


「う~ん。ちょっとひっかかってるみたい。見てもらえますか」


そう言われたので、僕はバッグを覗こうと屈んだ。


すると静羽が近づき、ほっぺたにキスを。


僕は何が起こったのか一瞬わからなかった。


「じゃあ、私帰るので」


そう言って、静羽は立ち去ってしまった。


僕はしばらく路上で立ち尽くしていた。

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