第47話 文化祭1日目
文化祭が始まった。
この学校はクラスより、部活動の出し物の方が優先されるので、4人は朝から調理実習室にいた。
1日目はコスプレ部との合同でコスプレ喫茶だ。
ただ旅行・料理部は裏方で作るのみだが。
文化祭の開始の合図とともに、コスプレ喫茶も店を開いた。
ちらりと隣接の部屋を見ると、みんなコスプレをしている。
僕はコスプレ姿を見とれていた。
「なに、いやらしい目で見てるのかな?」と美明が言う。
「違う。コスプレの衣装の出来栄えが素晴らしいと」
「端の2人ものすごいミニスカートだもんね」と遊理香も冷めた目で言う。
「だから違うんだ」
静羽も冷めた目で僕を見る。
「よ・よし。頑張ろう。じゃんじゃん飲み物作るぞ」と僕が言う。
しばらくしてお客が来たようで、注文が回ってくる。
しかし早くも予想外のことが起こった。
アニメ飯として作った、サラダとシチューの注文が多い。
両方を一手に引き受ける静羽にばかり負担がかかる。
もちろん飲み物も注文がくるが、3人いるし簡単だから、すぐに対応できる。
一方サラダとシチュー、特にサラダは盛り付けの見た目が重要だ。
ただ野菜を盛ればいいという訳ではない。
そしてお昼時を迎えると、注文のペースが加速する。
僕は衣吹さんに一時的にサラダとシチューの注文をストップするようにお願いしようとした。
静羽が休めない。
すると僕の考えを察したのか「隼人さん、大丈夫ですよ。これくらい」と言う。
14時ぐらいになると、我慢できずに衣吹さんにお願いをした。
「サラダとシチューの注文をストップして下さい」
「それは困る。来ているお客はサラダとシチューを頼む人が多い」と衣吹さん
「静羽が全く休んでいません。それに材料が切れますよ」
それを聞くと「わかった。15時までストップしよう」
更に僕に「必要な材料を言ってくれ。誰かに買いに行かせる」と言った。
僕は調理実習室に戻りそのことを伝えた。
静羽がようやく休み、水とチーズのパンを食べる。
食事を取る暇もなかったのだ。
そしてメモ書きを僕に渡した。
材料のメモだ。
僕はメモを衣吹さんに渡した。
衣吹さんが1年と思われる生徒に材料を買いに行かせた。
すると、衣吹さんが調理実習室に入って来た「すまなかった」と静羽に謝った。
そして、美明と遊理香をじっと見る。
「もしよかったら、君たち2人、コスプレしてみないか?」
「いや無理です」と美明が言う。
「そうか○○の衣装なのだが」
遊理香が反応する。
「もしかして、お姫様の?」
「そうだ。○○姫のだ」
「やります」と遊理香。
衣吹さんは喜び遊理香を連れていく。
少ししてから遊理香が入って来た。
薄いピンクと白のレースを着て入って来た。
僕は思わず「かわいい」と言ってしまった。
美明と静羽が悔しそうな顔をする。
僕はしまったと思った。
一方遊理香は満面の笑みである。
遊理香が喫茶の方の教室に入ると歓声が沸く。
美明と静羽のテンションがどんどん下がる。
僕は2人に後でジュースを奢るとか、他のお店で食べ物を買ってくると言ったがテンションは低いままだ。
「隼人君もコスして」と美明
「そうです。コスして下さい」と静羽
「私に任せなさい」と、どこからか衣吹さんがやってきて「さあこっちへ」と僕を連れていく。
「好きなの選びたまえ」と衣吹さん
見ると、戦士風や王子風、盗賊風などが並んでいた。
その中から一番普段着に近い町民服を選ぼうとしたら
「君はこれだね」と衣吹さんが戦士服を。
仕方なく着替えて調理実習室に行くと、2人から歓声が。
どうやらテンションが上がったみたいだ。
よかった。
しかしその後、僕も喫茶の方の教室に連れていかれ、教室の真ん中に立たされることに。
やっぱり着るんじゃなかったと思った。
こうして1日目のコスプレ喫茶は終わった。
僕は3人にお疲れさまですと言い、労をねぎらった。
その後一旦クラスに戻ると、クラスメイトの優太が
「隼人戦士かっこよかったぞ」とからかってきた。
そして僕のコス写真が机の上に。
みんなからもからかわれ恥ずかしかった。
もう2度とコスはしないと心に誓った。




