第44話 美親
放課後。
僕は部室に行こうとしていた。
「あなたが隼人って人?」と知らない女の子が言ってきた。
「そうだけど」
「私は美親。静羽の親友よ。今からちょっと付き合って」
僕は強引に空き教室へと連れていかれた。
教室に入るとドアを閉め、僕に言った「あなた、この前静羽に無理やりメイド服着させたんでしょ」
「なんでそれを知ってるんだ?」
「ほらね。静羽がメイド服なんか着るわけがない。部長命令とか言って着させたに決まっている」
「いや違う。確かに静羽はメイド服を着た。しかし自分から着たんだ」
「そんなことあるわけないでしょ。とんだ変態野郎ね」
「誤解だ」
「まだ白を切る気?」
「だから静羽が自分から」
「なら私が、静羽のクイズを出すわ。5問中2問正解したら、あなたが言うのを認めてあげる」
どんな展開だよと思いつつ、僕は従うことにした。
「問題。静羽の身長は?」
「う~ん152かな」
「ぶっぶー。正解は149cm。ただ本人は150cmと言い張ってるけどね」
「うう……」
「問題。静羽が最近取った資格の正式名称は?」
「静羽資格取ったんだ。なんだろ。チーズマスターとか?」
「ぶっぶー。正解はC.E.Aチーズ検定」
「そんな資格あるんだ……」
「問題。静羽が最近はまっていることは?」
「う~ん。チーズ食べ比べとか?」
「ぶっぶー。正解は自家製チーズ作り」
「チーズって作れるんだ」
「まあ。こんなもんでしょうね。やはり静羽のことは何も知らないのね」
僕は3人の個人的なことは知らないんだなあと思った。
「問題。静羽が最近楽しかったことは」
「楽しかったことか……そういえば料理教室は楽しかったって言ってたな」
「えっ……まあ、まぐれもあるか」
どうやら正解したようだ。
「問題。最後よ。静羽が好きなお店は」
静羽はこの前行った店を気に入っていたな、と僕は思い出す。
「チーズタルトが美味しかった〇〇のチーズのお店」
「えっ……あなたストーカーなの……」
「正解なんだね」
「静羽に報告しないと。この男ストーカーだわ」
するとドアが開いて静羽が入って来た。
「もう隼人さん。なかなか部室にこないと思ったら。あれ?なんで美親と一緒に?」
「静羽。この男ストーカーよ。あなたの最近楽しかったことと、好きなお店知ってたわ」
静羽の顔が赤くなった。
「静羽資格取ったんだ。おめでとう!」と僕は先ほど聞いたことを言う。
「ありがとう。って美親なに話してんの」
「私は静羽が無理やりメイド服を着せられたから、この男に制裁をしようと思っただけ」
「メイド服は……自分から着たんだよ」
「えっ……なんで……」と絶句する美親。
「ちょっと隼人さんが元気がなかったから……」と言葉が尻すぼみになる静羽
今度は僕の顔が赤くなった。
2人のやり取りを見ていた美親は察したらしく、「私お邪魔だったのね。じゃあ帰るね」と言って部屋を出ていった。
僕と静羽はポカーンとしながら見送った。
「じゃあ部室に行こうか」と僕が言うと
「はい。行きましょう」と満面の笑顔で静羽が答えた。




