第37話 夏祭り
夏祭りが行われる。
旅行・料理部の4人は浴衣と甚平を着て集まった。
美明は赤の浴衣、静羽は白の浴衣、遊理香は水色だ。
屋台を見て食べ歩きしようという話になったのだが。
僕はあまり元気がなかった。
あの夢を見てから、アネモネのことが頭から離れない。
3人の僕に対する好意は嬉しく思うが、僕には自分の気持ちが分からなかった。
美明がとうもろこし。
静羽がチーズスティック。
遊理香がりんご飴を片手に歩く。
僕は3人の少し後ろを歩いていた。
「ねえ隼人、美少女3人の浴衣姿の感想は?」と遊理香が言う
「あ、うん。似合ってるよ」
「何その返事」と美明が少し不機嫌になった。
「隼人さん何かありました?」と静羽が聞く。
「いや別に。少し考え事を」
遊理香と静羽が僕をジッと見る。
美明は変わらず、怒り気味。
3人は金魚すくいの前に来た。
ポイを持ってどの金魚を狙うか見定めている。
美明が「えい、やっ」と掛け声とともに勢いよくすくおうとする。
しかしポイが破けた。
「え~」と残念がる美明。
静羽と遊理香は慎重に狙う。
結果2人とも赤い金魚を1匹ずつ捕った。
2人は僕に金魚を見せる。
「よかったね」
この返事に2人は納得していないようだ。
3人が目を合わせる。
美明が「ちょっとそこのベンチで休もう」と言った。
4人でベンチに向かう。
静羽と遊理香が「なにか買ってくる」と言って離れる
僕の隣に座った美明が言う。
「隼人君どうしたの?なにがあったの?」
「いや別になんでもない」
「なんでもある。おかしいもん」
そして僕の目をジッと見る。
美明の視線を向けられるのがなんか辛い。
「好きな子でも出来た?」
「そういう訳じゃない」
美明がチラリと視線を向け、静羽と遊理香が戻ってきたのに気づくと
「私、いつもの元気な隼人君に戻って欲しい」そう言って立ち上がった。
静羽と遊理香が綿あめやラムネなどを買ってきた。
4人で食べるが、会話は弾まない。
美明と静羽がトイレに行くと言った。
僕の隣に遊理香が座る。
遊理香が何も言わず僕の手を握りジッと見つめてくる。
そして耳元で「いつもの隼人に戻って。お願い」と囁く。
そう言って手を強く握りしめる。
僕は遊理香を見た。
少しドキリとした。
「うん」
しかしすぐにアネモネがちらついた。
遊理香が落ち込んだ。
2人が戻ってくると場所を移動することに。
もうすぐ花火が上がる。
人が混み始めた。
そしてしばらくすると花火が上がる。
3人はきれいというが、僕にはうるさいだけだった。
人が益々混み始める。
3人と離れてしまったみたいだ。
花火が打ち上がってからしばらく経つと、僕の後ろに誰かが立ち、後ろから手を回し抱き着いてきた。
「隼人さん。戻って」
静羽が抱き着いてきた。
そして「お願い」という言葉とともに泣いているのがわかる。
僕はいったい何をしているんだと思った。
過去のことを考えて、目の前の3人を見ていないからだ。
僕は静羽に「ごめんね。もう大丈夫だよ」
そう言って静羽の方に振り向き、僕も抱きしめた。
その光景を少し離れたところで、美明と遊理香が見ていた。




