第36話 夢
岐阜旅行から数日経ったある日、僕は夢を見た。
中学時代、僕は息苦しい学校生活を送っていた。
心を許せる友達がいない。
友達と呼べる人は何人かいたが、上辺だけの付き合いのようなものだった。
僕も相手も本音は話さない。
常に当たり障りのない会話だ。
友達なんてそんなもんだよ。
そう思う人もいるかもしれない。
では親友という言葉は何なのだろう。
僕はその言葉を知らない。
だってそう呼べる人がいないからだ。
SNSを始めた。
きっかけはなんとなくだったと思う。
そこで1人の人と話すようになった。
顔が見られないから?
知らない人だから?
所詮ネットだけの関係だから?
僕は気づいたら本音で話していた。
相手も僕に気を使ってこない。
お互い言いたいことを言う。
それからは毎日楽しくなった。
話していくうちに、意外と趣味が近く、考え方も似ていることに気づいた。
旅行の話で盛り上がる。
料理の話で盛り上がる。
今日もたくさん話した。
明日は何を話そう。
次第に相手のことを知りたくなる。
どんな人だろう。
男かな?
女かな?
歳はいくつだろ。
学校はどこだろう。
どうやら歳が近そうだ。
どうやら女性のようだ。
どうやら行動範囲から住んでいるところは近そうだ。
会いたい。
会って直接話したい。
でもそれだと関係が崩れるかもしれない。
今の関係を崩してまで会いたいか?
その日は突然やってきた。
春から同じ学校に行くと知った。
同い年と知った。
僕は嬉しかった。
リアルに会える。
君もそう思うだろ?
しかし返事は違った。
そして突然アカウントを消し姿を消した。
僕は君に救われた。
息苦しい生活から解放された。
毎日が楽しかった。
そのすべてが、一瞬で消えた。
僕が間違っていたんだろうか。
何がいけなかったんだろうか。
悪いところがあるなら直すよ。
だからもう1度……
君は何故僕の前から消えたんだい?
アネモネ。




