第2話 美明
入学して真っ先にした事は、部活申請だ。
彼女が好きな旅行と料理。
この2つの名前があれば、確実にわかるだろう。
掲示板に部活を作りたい事を書いて掲示した。
1年生が目につくところは全て貼った。
あとは仮である自分の教室で待つだけだ。
何日も待つ覚悟をしていたら、数十分後に1人の生徒がやって来た。
女の子だ。
僕はアネモネが来てくれたと思った。
「こんにちは。あなたが旅行・料理部の発起人?」
「うん。そうだよ」と僕が答える
「私、美明って言うの。この部活興味あるなあ」
「ありがとう」
この人がアネモネかもしれない。
真っ先に来てくれたから。
「具体的には何するの?」
「普段は料理作ったり研究したり。そして月に何度か旅行に行けたらいいかなあっと。基本近場だけどね」
「何処に行くの?遠出は?日帰り?宿泊とかしないの?有名なとこは?穴場は?朝からだよね?滞在時間は?」
「あの……」
「ごめん。旅行となるとつい興奮しちゃって」
「旅行好きなんだ」
「まあね」
「何処行くかは話し合いで決めよう」
「私、君の部活に決めちゃおうかな。
とりあえず勧誘を手伝えばいい?」
「それは助かる」
その後美明は僕の顔をジッと見る。
「ねえ。もし他に誰も来なかったらさあ、2人きりだね。そしたら恋人同士みたいじゃん」
僕はちょっと困惑した。
でも正直嬉しい。
アネモネと付き合えるかもということと、顔がかわいいからだ。
頼むアネモネであってくれ。
「もしかしてちょっと照れた?」
「うん……」
「そういえば名前は?」
「隼人だよ」
「隼人君ね」
そういって僕の顔を見る。
僕はちょっと話題を変える為に質問してみた
「旅行は何処行きたい?」
「う~ん。今なら暖かいところかな。例えば九州とか」
きた。
アネモネは以前九州の鹿児島に行きたいと言っていた。
「九州の何処?」と僕は興奮気味に聞く。
「長崎!ちゃんぽんと佐世保バーガー食べたい。ハウステンボスに眼鏡橋にグラバー園に稲佐山の夜景に」
「オーケーオーケー。長崎好きなんだね」と言ったあと僕はアレと思った。
鹿児島じゃない。
ということは違うのか。
そして「だって長崎は異国的じゃない」
だって○○じゃないはアネモネの口癖だ。
あれ?そうなのか?
僕は美明の顔をジッと見る。
「なに?私の事そんなに見つめて」
「えっ、いや、その」
美明も僕を見つめ返し「うん。部活がんばろ」
と言って笑みがこぼれた。
「うん。頑張ろう」
美明はアネモネなのか違うのか。
どっちだ。




