第1話 プロローグ
高校受験。
勉強の合間に楽しみがあった。
夜にSNSで交流することだ。
自分にとって憂鬱な勉強。
しかしSNSは、そんな一時を忘れさせてくれる。
僕はファルコンという名で活動している。
名前が隼人だから隼でファルコンという安直さだけど、意外と気に入っている。
SNSでは楽しいことを見つけては、何度も見返し、他人の考えに賛同したり、時には自分の苦悩を吐き出したりする。
そんな時に、仲のよい人が出来た。
アネモネ。
ログイン時間が合うとつい笑みがこぼれる。
アネモネさんとの会話は楽しい。
趣味や考え方、笑いのポイントが合うのだろう。
そして会話を続けていくと、少しずつ分かってきたことがある。
まずはアネモネさんは女性である。
そして僕と同じ都内に住んでいるということ。
またしばらくすると、同い年であることもわかった。
更にお互い料理をするのが好きだということも。
和食に、イタリアン。
お菓子作りに、ラーメンスープも手作りしたりするという共通点も見つかった。
そして旅行に憧れていることも。
高校に入学したら、九州や北海道に行ってみたいと。
他にはもう少し近場で金沢や名古屋。
後は島にも行ってみたいなあという話で盛り上がる。
春には桜で花見を夏には海辺で花火を。
秋には紅葉を見に行き、冬は雪祭りにも行ってみたい。
彼女は旅行は食べ物で決める派なんだよねと言う。
彼女らしいと僕は思った。
「だって美味しいの食べたいじゃん」
その後受験勉強ではなく、お互い旅先を想像しては意見を言い合った。
そして受験勉強も終わり第一志望の高校に受かった。
どうやらアネモネさんも希望の高校に受かったみたいだ。
いつものように話していくと、あれっと思ったのだ。
同じ高校だ……。
きっかけは小さいことだったけど、話していくうちに同じ駅、同じ通学路と分かり……。
「アネモネさん、僕達同じ学校だね」
「そうみたいだね」
てっきり喜んでくれると思っていたので意外な反応。
「もし学校で会っても私は名乗らないよ」
「えっ?」
「ネットとリアルは違うから……」
彼女は高校が決まったのでアカウントも消すという。
僕は急いで、自分の特徴を彼女に送ることにした。
向こうから僕の事を気づけるように。
身長・体重・そして御法度であるリアルの名前も。
これならわかるはずだ。
そしてその日のうちに彼女はアカウントを消した。
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