第18話 買い物
スーパーへ買い物に行こうと歩いていると、すれ違った女性に「隼人君」と呼ばれた。
振り返ると、美明だった。
「なんで気づかないの」と美明が言う
そりゃそうだろ。
赤ベースのフリルのついたチェック柄のワンピースに、胸元にリボンまでついている。
何処のお嬢様だよって感じの服装だ。
分かるわけがない。
「その格好、どうしたんだ?」
「たまにはこういうのも着るよ」
「ジャージとかじゃないんだ」
「ひどいなあ。私をなんだと思っているの」
改めて美明を見てみる。
う~ん有りなのかもしれない。
「隼人君は何処へ行くの?」
「スーパーだよ。食料品の買い出し」
「私も行く」
お嬢様姿の美明とスーパーへ。
なんだか変な感じだ。
カゴに食品を次々と入れレジに向かう。
会計直前に「これも」と言って美明がお肉をカゴに入れる。
「ステーキじゃねえか」
「良いじゃん。買って。お・ね・が・い」
断ろうと思ったが、今日の美明をみると断れない。
「だってステーキ美味しいじゃん」
だって○○じゃんとアネモネの口癖を。
美明がこの言葉を使うのは何回目だろう。
そう思っていると「○○円です」とレジの人が言う。
驚いてカゴを見ると、国産和牛1800円と。
美明がステーキを手に取り「ありがとう」と言って去っていった。
美明許すまじ。
美明が去って行ったあと、自宅に戻る途中で、女の子が野良猫と戯れている。
抱えたり、喉元をなでたり。
猫に話しかけたりもしている。
微笑ましい光景だと思っていると、声に聞き覚えが。
よく見たら遊理香だった。
普段、大人びた彼女とはだいぶイメージが違う。
少女漫画もそうなんだけど、実は子供っぽい一面もあるんだなと思った。
そのまま声をかけず、しばらく遊理香を遠くから見ていることにした。
そこへ「なに、遠くから遊理香のこと見てるの?ストーカー?」
振り向くとステーキを持った美明が。
「違うよ。邪魔したくないだけ。てかステーキ!」
美明は走って行ってしまった。
その格好で走るなよと思いながら、僕もこの場を離れた。




