第13話 美術部盗難事件(前編)
隼人達が通う高校にはいくつかの部活がある。
その一つに美術部がある。
油絵、水彩、彫刻等、各々の好きな分野を追求している。
ただ美術部は学校によって特色がある。
例えば、アニメや漫画のイラストなどだ。
一切禁止で美術オンリーのところもあれば、絵ならなんでもオッケーなところもある。
この学校は前者。
コンクールを目指すもの、自分の絵をひたすら磨くもの。
その辺りは、人それぞれだ。
ちなみにこの学校の美術部は女性のみ。
顧問はいるが、あまり顔を出さない。
上級生である先輩が後輩の面倒をみている。
中でも2年の先衣先輩と芽衣先輩は人当たりもよく1年から人望が厚い。
そして美術部1年である小百合は、今ある絵に集中している。
完成はもうすぐのところまできている。
一方旅行・料理部は、ダラダラと皆好き勝手をやっていた。
美明は旅行雑誌を読み、静羽はチーズ図鑑なるものをみて、遊理香はファッション誌をみている。
「遊理香今日は少女漫画じゃないんだ」と隼人がいうと
「別に毎日読んでるわけじゃない」と照れながら答える。
美明が「何読んだって自由でしょ」
静羽が「そうです。隼人さんにとやかく言う資格はありません」
2人が遊理香の味方をした。
そんな3人でいじめないでよと隼人は思った。
3人をみながらため息をつくと、やることがないので今後の予定を考える事にした。
料理にするか、旅行にするか。
料理なら何を作ろうか。
旅行なら何処へ行こうか。
近場でいいとこないかなあと。
美術部では先輩達が帰り、1年だけになっていた。
1年の真梨は描いてる手を休めて、他の人の絵を見て回っている。
すると小百合の絵を見て、驚きの声をあげた。
「小百合の絵、すごい……」
その言葉に他の1年も手を止め、小百合の絵を見に来る。
まだ途中ではあるが、見事な肖像画の雰囲気だ。
「これって先衣先輩でしょ」と真梨が聞く。
「ええ」と小百合が答える。
「小百合の絵上手くない」
「ちょっとすごいよ小百合」
とみんな小百合の絵を褒める。
「完成が楽しみ」と真梨が言う
小百合は笑顔で答えた。
そして思った。
なんとしてもみんなの期待に応えねば。
「ねえ隼人君次どうするか決まった?」と美明が言う
「いや決まらない」
美明が隼人の横に椅子を持ってきて座る。
体を寄せながら「今度ここ行かない?」と旅行雑誌を見せながら言う。
すると静羽も隼人の逆側に椅子を持ってきてつける。
「隼人さん。今度これ作りません?」
隼人は左に美明、右に静羽に挟まれる形になった。
僕はどうすればいいんだ。
すると正面に椅子を持ってきて遊理香が座る。
「私は何処でもいいし、何を作ってもいいかな」
そして隼人の前で何度も足を組む。
まじでどうしよう。
なんかいい匂いがするし。
隼人はちょっと口角をあげながら、成り行きに任せた。
美術部ではみんな帰り小百合だけになった。
小百合は引き続き絵を仕上げているが、この絵に疑問を持ち始めている。
何かが違う。
自分でも絵は上手く描けていると思う。
ただ私の感情が絵に入りすぎてる気がするのだ。
上手く先輩を描けていない気がする……
もう1度描き直そうか。
でもみんなはここまでの絵を見ている。
そして期待されている。
描き直したい。
どうすればいいのか。
旅行・料理部も本日の活動は終わることになった。
みんなで帰ることに。
帰る時に一旦教室に忘れ物を取りにいくことになった。
美術部の前を通る。
1人の女生徒が絵を前に考え込んでいるように見えた。
隼人はちらりと見えた絵を見て思った。
すげえ上手い。
翌日、旅行・料理部は昨日と変わらない光景であった。
4人それぞれ好き勝手やっている時に、派手な音とともにドアが開いたのである。
「美明。美明いる?」
「あれ真梨じゃん。どうしたの?」
「美明ちょっと助けて」
そういうと真梨は美明の手を引っ張る。
「わかったわかった。何処へいくのさ」
「美術室」
こうして美術部の真梨は美明を美術室に連れて行った。
美術室は騒然としていた。
真梨が美明に説明する。
「絵が無くなったの」
「えっともう少し詳しく」
「この子。小百合の描いていた絵が消えたの」




