会戦
やまと改は加速した。一刻でも早くプラズマ砲の射程圏に入ろうとした。それに対しあかぎは、アウトレンジ攻撃を行うため、戦闘攻撃機を発進させた。艦載機はやぶさはステルス性能が高く、レーダーで捉えるのが難しかった。更に重力制御推進で飛行するため、ロケットエンジンを使っていない。赤外線で捉えることも難しい。やまと改は重力波センサーを搭載していたが、質量が小さい艦載機を正確に特定することはできなかった。重力制御で飛行するので、ロケットエンジンの戦闘機と空中戦をしても、確実に勝てる。
艦載機に搭載できる小型の重力制御エンジンの出現で、宇宙戦闘の戦闘教義は変わった。戦場の主役は戦艦から空母に代わった。偵察機を飛ばして敵より先に相手を発見し、ステルス性能が高い艦載機で襲う。敵は襲われる直前まで、相手の艦載機の存在に気づかない。奇襲はほぼ確実に成功する。レーダーで敵を捉えて砲弾を打ち合う前に、勝敗は決まる。それがこの世界の、この時代の現実だった。
「ミノフスキー粒子がなくても、有視界戦闘に逆戻りしたのね」
母親の鷹野は、やまと改のCICで呟いた。クイトも紫音も聞いたが、意に介さなかった。ミノフスキー粒子が何かは知らなかったが、質問をすると大変なことになることは、経験で知っていた。
「AI、全砲塔射撃用意、九式弾を使用。次に八式弾を用意。はやぶさ改を発進させ、本艦の直援をさせろ。木馬も艦の後方で待機させろ」
『アイ、コピー』
やまと改の外殻が開き、三門の反重力砲と八機の艦載機が現れた。
「敵機の予想軌道に九式弾を発射。すぐに八式弾を装填し、予想軌道を修正して発射。敵機がレベル2に入るまで繰り返せ。全副砲射撃用意、迎撃ミサイルも発射用意」
『アイ、コピー。敵機の数はおよそ六十です』
「でしょうね。小出しにしたら、負けるもの」
やまと改の主砲が九式弾を発射した。どの砲弾も当たらず、敵機の間をすり抜けた。その直後に爆発して、巨大な光の幕を作った。九式弾は発光弾だった。あかぎの艦載機の影が映った。やまと改のAIは敵機の予想軌道を修正し、八式弾を撃った。
八式弾は敵機には当たらなかったが、敵機の集団の中で爆発した。強力な電磁パルスを放射して、敵機の電子装備を破壊するEMP弾だった。
『敵機八機の損傷を確認』
AIの報告に、母親の鷹野はつぶやいた。
「一割ちょっとか。厳しいわね」
一方、あかぎのCICで、息子の鷹野がつぶやいた。
「初弾で八機も落とされた? 厳しいな」
やまと改の主砲によるEMP攻撃は三回行われた。だが後の方が戦果が小さくなった。あかぎの艦載機が広範囲に散開したのだ。
『敵機四十二機がレベル2に入りました』
やまと改のAIの報告を聞いて、母親の鷹野は即座に次の命令を出した。
「主砲は射撃を中止して格納。迎撃ミサイルを発射。デブリの弾幕を作って、敵機の行動範囲を奪い、副砲とはやぶさ改で迎撃しろ」
『アイ、コピー』
一方、あかぎのCICで、息子の鷹野がAIの報告を聞いた。
『友軍四十二機がレベル2に突入しました』
「いきなり十八機も失ったか。あんな砲弾、見たことも聞いたこともないぞ。お袋の発明か? それとも俺が知らないところで、開本が創っていたのか? 反重力砲、全門射撃用意、五式弾を装填」
『アイ、コピー』
やまと改は迎撃ミサイルを発射した。だが固体燃料ロケットエンジンで飛ぶミサイルは、運動性能で勝るはやぶさを追尾できなかった。それは母親の鷹野も期待していなかった。ミサイルの役目は、自爆して破片の幕を作り、はやぶさの進路を制限することだった。はやぶさの重力制御エンジンは、反重力を作る機能は省略された。エンジンの小型化とコストダウンのためだった。反重力でデブリを蹴散らして、突破することはできなかった。やまと改のAIは、八門の副砲ではやぶさの狙い撃ちをした。更に八機を撃ち落したが、快進撃はここまでだった。残り三十四機が対艦ミサイルを発射した。やまと改の副砲は、ミサイルの迎撃に追われた。直援のはやぶさ改七機も加わろうとしたが、ミサイルを発射して身軽になったはやぶさに空中戦を挑まれた。
副砲もはやぶさ改も健闘したが、四倍の物量差を完全に埋めることはできなかった。やまと改は六発のミサイルを喰らい、はやぶさ改七機は、十六機のはやぶさを撃ち落したが、全滅した。
やまと改のAIが警告を発した。
『報告、第三砲塔及び一番から六番までの副砲に損害、使用不能。キャパシタンスの十四パーセントを喪失。外殻の十パーセントを損傷、露出した区画の隔壁を遮断しました。直援機は全滅。敵の残存十八機と木馬は退却中』
あかぎのCICで、息子の鷹野がAIの報告を受け取っていた。
『敵の直援七機を全滅。敵艦に六発のミサイルが命中。少なくない損傷を与えましたが、攻撃不能や航行不能には至らない模様。未帰還機は四十一機』
「たった一回の攻撃でそんなに失ったのか! しかも相手はたった一隻だぞ。帰還した艦載機は損傷を確認後、出撃できる物は補給して再出撃させろ」
『アイ、コピー』
息子の鷹野は大きな損害のわりに少ない戦果に怒りを覚えたが、心の一部ではやまと改が轟沈しなかったことに安心した。母親を殺すつもりはなかった。航行不能な状態にして、格納庫に生け捕りにするつもりだった。あの母が創った艦がこの程度で沈むとは思っていなかったが、やはり不安はあった。
『警告、敵艦が加速、レベル3まで突入されました。艦載機の再発進は間に合いません』
「反重力砲、五式弾を逐次発射。六門の砲で時間差を作り、射撃速度を六倍に上げろ」
『提案、一斉射撃による複数弾命中を期待する方が、勝率が高くなります』
「却下する。目標は敵の轟沈ではなく、鹵獲だ」
『アイ、コピー』
「プラズマ砲も発射準備をしろ」
『警告、プラズマ流が命中した場合、ほぼ確実に敵艦は轟沈します』
「敵もプラズマ砲を持っている。迎撃と牽制が目的だ」
『アイ、コピー』
やまと改のCICでも、母親の鷹野がAIから報告を受けていた。
『重力波センサーに感、敵艦から本艦に向かってくる物あり。徹甲弾と推定されます』
「第二砲塔射撃用意、九式弾を発射し、弾道を特定しろ。乱数加速による回避運動開始。全ミサイル発射」
『忠告、敵艦にミサイルは通用しません』
「ミサイルの破片をレーダー妨害として使う。弾薬庫を空にして誘爆を防ぐ。第一砲塔に五式弾を装填。敵の弾道から発射位置とタイミングを推定、敵艦の砲を狙え。反重力アクティブアーマーを用意」
『アイ、コピー』
慣性制御は敵味方関係なく効果がある。物理的な砲弾を発射するタイミングは慣性制御を無効にしなければならない。母親の鷹野はそのタイミングを狙って、敵の反重力砲を破壊しようとした。これまではほとんど不可能と思われていたが、性能が大幅に向上したやまと改のAIなら可能かもしれない。母親の鷹野はそう期待した。
九式弾の光の幕は、あかぎの砲弾の影を映した。あかぎの反重力砲の射撃速度はわかっていた。やまと改は回避運動を行いながら、あかぎの未来位置へ発砲した。
あかぎのAIは息子の鷹野に報告した。
『敵艦から多数のミサイル群が発射されました』
「慣性制御で止められる物は無視しろ。それ以外は対空射撃で迎撃」
だがミサイル群はあかぎの手前で自爆した。
『ミサイルのデブリによる損傷は無視できます。しかしレーダーに多数のデブリが映り、敵艦の補足が難しくなりました』
「チャフか! 光学センサーで補正……」
息子の鷹野が命令を言い終える前に、発光弾が爆発した。
「先手を打たれた……」
『敵弾の影を発見。回避不能』
母親の鷹野の期待は実現した。
『第一反重力砲を破壊されました』
息子の鷹野は歯軋りした。
「やってくれたな! 乱数加速でデブリと発光弾を回避しつつ、攻撃を続行。艦載機の準備も進めろ。砲戦が長引く可能性もある」
『アイ、コピー』
息子の鷹野は、相手の真意を測りかねた。武装を狙ったのは、自身への脅威を取り除くためか、あるいは轟沈を避けるため艦中枢を狙わなかったのか。
二つの艦はデブリ群の周囲を旋回した。互いに乱数加速で砲弾を回避しつつ、敵の未来位置を狙って、反重力砲を撃ち合った。どちらも戦果を上げられなかった。やまと改は初弾の幸運に恵まれなかった。命中したはずの何発もの砲弾は、慣性制御で無力化された。
一方あかぎは全長七百メートルという巨体にも関わらず、慣性制御のおかげで運動性能は二六三メートルのやまと改より勝っていた。やまと改は必死で回避運動をしたが、徐々に不利なポジションに追われた。
この戦いの背景で、AI同士の戦いが行われていた。乱数は完全に不規則な数列だ。これを元に運動を行えば、相手はこちらの動きを予測できない。だが実際に使うのは計算式を使って作った疑似乱数だ。相手の乱数の計算式を見破れば、相手の動きを予測できる。やまと改とあかぎのAIは、互いの運動から相手の乱数を見破ろうとしていた。相手に見破られたと思ったときは、すかさず別の計算式に変える。そうしたAI同士の駆け引きが行われていた。この戦いはやまと改が圧倒的に有利だった。やまと改がこの世界では知られていない計算式を使っており、この世界より優れたプログラムで、相手の乱数を先読みしていた。運動性能で劣るやまと改が一発も被弾しなかったのは、ソフトウェアで優位に立てたからだ。だが限界はあった。
母親の鷹野は切り札を使うことにした。
「プラズマ伝道路の磁場を生成、艦首プラズマ噴射口を開け」
『アイ、コピー』
この様子は、あかぎのAIも気づいた。
『敵艦の艦首砲が開口、高熱を確認』
息子の鷹野はすかさず命じた。
「敵が迎撃できる射線でプラズマ砲を撃て」
『アイ、コピー』
今度はやまと改のAIが気づいた。
『警告、敵艦がプラズマ砲を発射、回避は困難、プラズマ流による迎撃が最善です』
母親の鷹野が苦い物を咬んだような表情で命じた。
「迎撃する。艦首プラズマ砲、発射」
『アイ、コピー』
互いに発射したプラズマ流は至近で交差し、互いの進路をねじ曲げた。
「こっちは一門なのに相手は四門。核融合炉の出力も、こっちが劣る。その気になれば沈められるはずなのに、私に遠慮してるの? フン、甘いわね! こちらの弾と燃料が尽きるの待つなんて。私はそんなに気長じゃないわ。その前に決着をつけるわ」
母親の鷹野はそう言った後、AIに命じた。
「AI、デブリ群の中心にプラズマ砲を発射、突破口を開け。そこを第一戦速で突破しろ。同時にプラズマ砲の発射の用意」
『警告、デブリ群の中を通過するときは、乱数加速が著しく制限されます』
「敵砲弾に対し反重力アクティブアーマーを展開。乱数加速なしで持ちこたえろ」
『アイ、コピー』
やまと改が回頭運動を始めたことに、あかぎのAIは気づいた。
『敵艦は回頭運動を始めました。仮説、敵艦は本艦以外の標的にプラズマ砲を使う可能性があり』
「何を撃つつもりだ?」
『敵艦の回頭運動が停止。デブリ群中央に艦首を向けました』
あかぎのAIが息子の鷹野に報告するのと同時に、やまと改はプラズマ砲を発射した。
『敵艦はデブリ群の中央に突破口を作りました。そこへ向かっています』
「なに? 不利なポジションを脱出するつもりか? 本艦の選択肢は?」
『三つあります。本艦も突破口に突入する。慣性制御で艦体を防御してデブリ群に突入する。このままデブリ群の外から砲撃を行う。三番目の選択肢を薦めます。突破口の中では乱数加速は著しく制限されます。高い命中率が期待できます。報告、十四機の艦載機の再出撃が可能になりました。いずれの選択肢でも艦載機を突破口の出口に配置するのが有利です』
「おまえのお薦めにする」
『アイ、コピー』
あかぎは反重力砲による攻撃を続けた。そのほとんどがやまと改に当たった。やまと改は反重力で、命中した砲弾の方向を変えて跳ね返した。だがやまと改の外殻はボコボコに凹んだ。砲弾を受けるたびに、やまと改の艦内は激しく揺さぶられた。やまと級二番艦のむさし以降と同じように、艦内の加速度センサーと艦内重力で衝撃を相殺する装置が搭載されていたが、完全に相殺することはできなかった。次の砲弾は貫通するのではないか、乗組員のほとんどが心配した。
『報告、第二砲塔の外殻が変形。第二砲塔は使用不能になりました』
やまと改のAIが、無慈悲に乗組員に告げた。更に追い討ちをかけられた。
『報告、外殻の変形による亀裂が発生。キャパシタンスの二十パーセントが失われました。保有可能な電力量が臨海プラズマ状態を下回りました。核融合炉の再点火は不可能、艦首プラズマ砲は一回しか撃てません。撃った場合、本艦は航行不能になります』
やまと改の乗組員のほとんどが自分の未来を悲観した。だが母親の鷹野は冷静だった。
「そろそろ時間よ」
やまと改の乗組員が震えている間も、あかぎのAIは仕事をしていた。
『艦載機を発進させます』
あかぎのAIが息子の鷹野に報告した直後に、あかぎ艦内に爆音が響いた。
「何事だ?」
『発進口内の艦載機のうち一機が爆発、原因はまだ不明。全ての発進口が使用不能になりました。修復作業を急ぎます』
爆炎はやまと改からも見えた。母親の鷹野は薄笑いを浮かべた。
「始まったわ。AI、ケースシルバーで対応」
『アイ、コピー』
あかぎのAIは爆発の対応に追われた。発進口と格納庫の状況を把握するため、艦内のセンサーに直接アクセスを行った。その隙を突かれた。
『警告、艦内に未知のコンピューターが存在します。私に攻撃を仕掛けています』
「何だと! 未知のコンピューター? そんな物がどこに存在するんだ?」
『艦載機の格納庫です。爆発と無関係とは思われません』
「帰還した艦載機が持ち込んだのか?」
『その可能性は大。トロイの木馬と思われますが、不明な部分が残ります。未知のコンピューターの情報処理能力は、艦載機に搭載できる範囲を超えています。報告、未知のコンピューターは格納庫の床や壁の中に存在します。現在も他の壁を浸食して成長しています。仮説、未知のコンピューターは、艦載機によって持ち込まれた未知のナノマシンによって作られた可能性あり』
「ナノマシン?」
それを聞いた息子の鷹野は思い出した。
「第拾壱使徒イロウルか! お袋はそんな物を作ったのか?」
息子の鷹野は気がついた。相手はトロイの木馬としてはやぶさを送り込み、ナノマシンが成長する時間を稼ぎ、頃合を見計らって、艦載機を発進させるように誘導したのだ。
『申告、私の全ての情報処理能力を自己防衛のために使います。そうしなければ攻撃を防げません。本艦はしばらく操船不能になりますが、私が完全に乗っ取られる方が深刻な事態になります』
「しばらくって、どの程度なんだ? AI、答えろ」
息子の鷹野が命じたが、AIの返事は返ってこなかった。
あかぎの砲撃は止んだ。やまと改はデブリの突破口を脱出し、あかぎに接近した。
「接近したのに反応がない。ナノマシンは上手く行ったみたいね」
母親の鷹野の言葉に、やまと改のAIが答えた。
『妥当な推論です。このままケースシルバーで対応します。あかぎの第十二ブロックを攻撃します。第一砲塔、五式弾を装填、照準よし、ファイア』
やまと改の徹甲弾があかぎに命中した。あかぎの外殻に穴が開いた。
『敵艦の慣性制御は働いていません。六式弾で破口を広げます。ファイア』
新たな砲弾があかぎの穴に飛び込み、内部で爆発した。
あかぎの艦内の慣性制御も働かなくなった。突然無重量環境になったあかぎのCICは、混乱状態に陥った。息子の鷹野は手動で操船しようと努力していたが、それもできなくなった。
「状況を報告しろ!」
息子の鷹野は音声で命令したが、誰も応答しなかった。
やまと改はあかぎに開いた穴に接近した。
「ロケットアンカー発射、あかぎに張り付いて離れるな。離れたら零距離射撃でイチコロよ。接舷と同時に白兵戦開始。あかぎのAIが制御を取り戻す前に、機関部とCICを制圧しろ」
やまと改があかぎに接舷すると、鷹野と紫音以外の全員が、あかぎ艦内に乗り込んだ。
白兵戦部隊は、全員白兵戦用の船外服を着用しており、真空、無重量の環境でも行動できた。部隊の人数はおよそ百名。前回と違い黒人が半数を占めた。前回の世界には黒人はいなかったが、今回の世界には黒人がいるし、白兵戦がメインなので、身体能力を優先してメンバーが選抜された。彼らはあかぎの艦内の構造を知っており、艦内で三班に分かれた。AIから独立して動作できる艦内のシステムを攻撃する電子戦班、機関部を物理的に占領する第二班、CICを占領して乗組員を拘束する第一班に。
電子戦班はあかぎの艦内操作端末を見つけ、防御システムへの攻撃を開始した。この世界の日本より優れたソフトウェア技術を持っていた彼らは、閉鎖されていた隔壁を開放し、防衛システムを無力化した。残り二つの班は、ほぼ無抵抗で前進した。間もなく機関部が占領された。CICへの扉にも第一班が到達した。クイトはこの中にいた。CIC内部の様子を探るため、収音機を扉に接触した。
『これでいいの?』
女性の声が聴こえた。この中に人がいる。彼らは電子戦班に連絡して、扉を開けさせた。扉の中も外も、空気で与圧されていたので、扉を開けても何も起きなかった。
真っ先に中に入ったクイトは、装置にしがみついている少女と、CICの中で浮いてる男を見た。少女は扉の方向へ振り向いた。フィリリに間違いない。
その直後、艦内慣性制御が復活した。浮いていた男は床に落ちた。
クイトは異空間から黒刀を取り出して鞘から抜いた。フィリリに魔法を使わせないために取り出したのだが、当然二人はそう思わなかった。
「止めろ、フィリリに手を出すな!」
「駄目、ハーロックを傷つけないで!」
二人は相手をかばおうとして、クイトの前に立ちはだかろうとした。フィリリの方が一瞬早く、息子の鷹野の前に立ちはだかった。
説明するのは面倒だと思ったクイトは、悪役を演じた。
「二人とも動くな。動いたらどちらかが死ぬぞ」
その直後、艦内にいた全員が違和感を感じた。クイトたちは異世界門を潜ったと分かった。
『作戦は成功した。ご苦労さん』
船外服の通信機から紫音の声が聴こえた。




