↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ログインするのは、終わる世界  作者: 出水 光希


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/16

思い出めぐり、開始

わざとらしいほどに魔法使いっぽい三角帽子に全身を包む濃紺のマント、身の丈ほどある杖。


 まさしく俺の記憶の中のアリハナそのものだ。


「ア、アリハナ!久しぶりだな!何してたんだよ、一時間も待ったぞ!」


 するとアリハナはニコッと笑い口を開く。


「たった一時間でよかったね。」


 俺はアリハナの言葉に思わず顔をしかめる。


「どういうことだ?」


「私はみんなのこと、十年も待ったよ?」


「十年って……。」


 小さく呟いて初めてその言葉の意味が胸に落ちた。


「アリハナ、お前……もしかしてずっとアスクロ続けてたのか?他のメンバーがログインしなくなってからも……。」


「うん、そうだよ。」


「そんな、どうして!?」


 アリハナは少し表情を曇らせ視線を落とす。


 ほんの数秒だけ間を置いて視線が戻ると再び笑顔になっていた。


「もう、そんなことどうでもいいから!ちょっと仕返しで待たせてやっただけ!……あはは。」


 無理に笑っているのがすぐ分かったがそれ以上は何も言わなかった。


 俺が何も言ってこないことに気付くとアリハナはグイッと顔を近付ける。


「なに?なんか気遣ってる?気まずくなるからやめてよね~。」


 アリハナの目に全てを見透かされた気分だった。


 ゲームのスキンは変わらないとはいえ、喋り方といい仕草といい、中身のアリハナ自身が大人になっていることを感じて少し緊張してしまう。


 それもそうか。当時中学生のアリハナは今や大学卒業するくらいの歳だろう。立派な大人の女性だ。


「……なんか変なこと考えてる?」


 アリハナがジッと俺の顔を見ている。


「な、なんでだよ!お前が大人っぽくなったなぁってしみじみしてたんだよ。」


「ふーん、それで私のこといやらしい目で見てたんだぁ。あのときみたいにねぇ。」


 アリハナはいたずらっぽい含みのある笑顔を浮かべている。


「あ、あのときの話はもういいだろ!?」


 俺は焦りから思わずどもってしまう。


「あはははは!冗談だよ!」


 アリハナが言うと冗談ぽく聞こえないからまた怖い。


 "あのとき"のことは今思い出しても胃が痛くなりそうだ。


 なのでまた別の機会に話すとしよう。


「ね、どうせこのゲームがサ終するって聞いて思い出めぐり感覚でログインしてみたんでしょ?だったら懐かしいとこ行ってみよーよ!」


 アリハナは俺の肩をポンポンと叩いて提案する。


 そうだ、仲間との再会も嬉しいがこういうセルフ聖地巡礼をしたかったんだ。


 行きたいところはいくらでもある。


「あ!最初だしまずはこんなのどうかな?」


 アリハナはそう言うとUIを開きなにやら操作している。


 アリハナがご機嫌そうに操作していると耳元で『ピロン』と通知音がした。


 UI越しにアリハナが「開いてみて」と言わんばかりに目配せしている。


 俺もUIを開き、通知を確認する。


『フレンドのアリハナさんからクエストのお誘い』


 さらにそれを開いてみる。


『緑翠竜の討伐を受けますか?』


 緑翠竜。かつてはこれを倒せば初心者卒業と言われた腕試しモンスターだ。


 もちろんこのゲームをやりこんだ俺にとって今さら相手になるようなモンスターじゃない。


「緑翠竜って……。まぁ、十年ぶりの腕ならしにはちょうどいいか。」


 思っていた思い出とは少し違ったが俺は参加申請をする。


「あ、なんでこのクエスト選んだか分かってないでしょ?」


「え、なんかこのクエストにあったっけか?」


 アリハナは俺の言葉を無視してUIを操作しクエストを開始する。


「え!?おい!」


 そして俺たちの体はクエストのフィールドへ転送される。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。