2日目、待ち合わせ
今日はしっかり夕飯を食べたし、シャワーも浴びてあとは寝るだけという状態にした。
時刻は十九時半。
アリハナはもうログインしてるのかな。
まだアスクロを再開して二日目だが、やっぱりログイン前のこのワクワクは良いものだ。
そして俺はヘッドギアを装着しゲームを始める。
ログインするといつものオリゴーの街が目の前に広がる。
まずUIを開き、アリハナにメッセージを送る。
『eRavn:アリハナ、ただいま。ちょっとオリゴー散策してるからもしいたら声かけてくれ。』
よし、まぁアリハナのことだ、きっとすぐ返事が来るだろう。
チャット画面を閉じてオリゴーの街を散歩する。
さすがに街はあまり変わっていないようだ。
まずは最初に目に止まった武器屋に入ってみることにした。
武器のラインナップはかなり変わっている。それどころか武器の種類も増えている気がする。
昔はせいぜい剣、短剣、銃、弓、槍、大槌、杖と七種類程度の武器種だったが今は二十近くあるみたいだ。
……ドローン?こんなの使って戦うやつがいるのか?
いや、物は試しだ。俺はドローンを購入し、装備した。
結構ゲーム内でお金は貯め込んでいたつもりだったが、ドローンを購入したらほとんどすっからかんになってしまった。
空の財布と共に武器屋を出ると、ちょうど通知音が鳴った。
アリハナからのメッセージだった。
『アリハナ:ただいまってww家じゃないんだから。ちょうどこっちのクエスト終わったからオリゴー行くね!』
俺としては何も違和感なく出てきた「ただいま」だったが、アリハナからすればおかしかったみたいだ。
さすがに昨日の今日で今からまた一時間待たされるなんてないよな?
ちょっとした不安を抱きながら街中を散策して時間を潰す。
『ピロン』
しばらくしたところで再び通知が来た。
『アリハナ:着いたよ。噴水広場で待ってるね。』
今日は待たされなくて済んだとホッとした。
『eRavn:わかった。すぐ行く。』
メッセージを返すと画面を閉じて噴水広場へ向かう。幸いなことにここから広場まではすぐそこだ。
噴水広場まで向かう足は自然と早歩きになり、気付けば小走りになっていた。
そのおかげで思ったより早く広場に到着し、アリハナを見つけることができた。
近づいてくる俺に気付いたアリハナがこちらよりも先に声をかけてくる。
「おかえりなさい、eRavn。」
ニヤニヤと先程のメッセージをいじっているようだ。
「なんだよ、あんまりいじるなって。」
とは言うものの、一人暮らしの俺にとっては誰かにおかえりなんて言われたのはずいぶん久し振りで、悪い気はしなかった。
「あはは。昨日は言えなかったしさ、おかえりなさいっていうのは割と本心かもよ?」
思わずドキッとしてしまった。昨日から何度アリハナにドキッとさせられてるんだか。
「そ、それより今日はどこ行く?レベルも上げなきゃ行けないし、行きたいとこもいっぱいあるし忙しいんだからな。」
「うーん、そうだねぇ……。ん?」
少し考える素振りを見せると、アリハナは俺を見て何かに気付いたようだ。
「ねぇ、それドローン?買ったの?」
俺の装備がドローンになっていることに早速気付いたようだ。
「あぁ、まだあんまり分かんないんだけど、試してみようと思ってな。」
そう言って腰に装着してあるドローンを見せるとアリハナは腹を抱えるように笑い始めた。
「あっはははははははは!ねぇ!なにそれ!ドローンなんて買う人本当にいたんだ!面白すぎ!」
ゲラゲラと涙を流しながら笑っている。
「な、なんだよ。そんなにおかしいのか?そりゃあ、こんなので戦うやついるのかよとは思ったけど。」
「ねぇー、なんでそこまで考えられてるのに買っちゃうのかなぁ。ドローンが実装されてから今まで腰にドローン装着してる人すら見たことないよ!あはははは!」
俺はそっとUIを開き装備を剣に戻した。




