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オンリープラネッツ  作者: 星塚もぐら
第3章 不穏
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35/38

35 虐殺


「そっちのやつを殺せ!」


太陽が燦燦と照り付ける朝、学園内に物々しい足音が響いた。ヒューはその騒音で目を覚まし、耳を澄ました。目は腫れていたが、頭の中は昨日の夜よりもすっきりしたような気がする。そんなことを頭で考えながら、無意識で制服に着替える。もちろん先程の言葉ははっきりと聞こえていない。騒がしいのは何か学園のビックニュースが判明したのかなと気軽なことを考えていた。しかし、制服を着替え終わりかけたときに聞こえた声でその考えを吹き飛ばした。


「助けて!!」


ヒューはその声が聞こえたと瞬間、ドアの方へ走り出した。ドアが開き、そこに広がる光景を見て絶句すると同時に顔に生暖かい液体がかかった。赤く、鉄臭い。まぎれもなく血である。そして、その血の持ち主で助けを求めた人物であろう少女は目の前で首を掻き切られ、こと切れていた。横には見たことのない軍の男がすでに死体となった少女の頭をつかみ、立っている。あたりを見渡しても少女と同じような死体とそれにおびえる生徒、見慣れぬ軍服に身を包んだ軍人が入り混じり、今まで見たことない異様な光景が広がっていた。


「な、に、が・・・。」


ヒューは軍人の男に何かするでもなく、ただ声を漏らすことしかできなかった。その声が聞こえたのか、軍人の男がヒューに気が付くと死体の頭を何でもないように手放すとヒューに向かって敬礼した。


「アぺイロン子爵!ここは安全が確保できません!部屋にてご待機ください!」

「何を言っているんだ!お前は誰だ!!」


男はヒューに向かって敬礼したまま声をかける。あたりの生徒がおびえた目のままヒューの方を向く。ヒューは視線に気づかなかったが怯えた目のまま軍人に向かって叫んだ。目の前でこと切れた少女はヒューの隣人であった。数日前に世間話をしたことを思い出す。次会うときは死体となって会うなんて互いに全く思ってもいなかった。


「私ですか?私は貴族大国<アリスト>、特殊軍の一等兵です。ただいま特殊軍の任務を行っております。」

「は・・・?任務?これが任務?お前は何を言っているんだ!」

「そういわれましても・・・これは大公からの命でして・・・。子爵はご存じありませんでしたか?」


口調は丁寧ながらも軍人の男からは言葉の節々からヒューを馬鹿にしている雰囲気が漂う。


「知っているも何も・・・この虐殺が任務でいいわけないだろう!今すぐやめろ!」


もはやあたりの生きたすべての人がヒューを見ていた。ヒューは無我夢中で叫ぶ。


「あなたのその命令を聞くことはできません。」


横からまた別の男が歩いてくる。


「と、言うよりもう任務は終わりました。おい、お前。撤収だ。」

「え?まじ?早かったな。」


2人の男はこの光景に似つかわしくないほど軽い雰囲気で会話を始める。


「はあ、疲れた。早くこの服脱ぎたい。」

「それはみんなそうだ。当たり前だろう。」


ヒューもあたりの生徒もあっけにとられる。しかし、ヒューは正気を取り戻すと男たちに向かってまた叫んだ。


「この虐殺のどこが任務なんだ!!」


2人の男はヒューの目の前に立つ。2人でヒューを見下ろし、もはやヒューを馬鹿にしている態度を微塵も隠していなかった。


「あれ?ほんとに知らないんですね。教えてあげましょうか?」

「おい、やめろ。そんな時間ないぞ。」

「まあいいじゃないですか。ちょっとくらい。」


男の1人はさらに一歩ヒューに近づく。


「大公からの命令です。この学園の元大帝国<アパテイア>出身の生徒を皆殺しにしろっていうね。」

「は・・・?」

「今頃<アパテイア>なんて影も形もないかもしれませんね。」


男はそのままさらに喋ろうとしたがもう1人の男が肩を強くつかみそれを止めた。


「それ以上はだめだ。もう行くぞ。」

「はーい。」


そのまますべての生徒の視線をかっさらい、2人の男は小走りで去っていった。2人の男が姿も見えなくなるとあたりの生徒の視線はヒューへと戻った。ヒューもようやくそれに気が付き、数人と目が合う。その視線には恐れ、怒り、ありとあらゆる感情が込められていた。そこにいる誰しもが一歩も動けない中、走ってくる足音が聞こえてきた。


「ヒュー!」

「大丈夫?!」


その足音の正体はアランとエマである。エマは制服を着ているが髪は普段のように結んでおらず、アランに至っては寝間着姿である。エマがそのままヒューの手を力強くつかむと、ヒューの部屋に飛び込み、ドアを閉めた。アランがそこら辺にあったティッシュでアランの顔についた血を拭く。その間ヒューは何も言わずうつろな目でベッドに腰掛けた。


「ヒュー・・・。落ち着いて聞いてくれ。まだ、表に出回っている情報ではないが、貴族大国<アリスト>が大帝国<アパテイア>を一夜にして滅ぼした。この学園の有様もその関係だ。そして。」

「その責任をとって同盟はアリス・ステラ・オービットをこの虐殺を止める任務を失敗したとして軍を解雇するって・・・。」


ヒューはうつろな目のままゆっくりと顔を上げ、アランとエマの顔を見た。


投稿が遅くなってしまい申し訳ありません。今後は通常通りの投稿を行います。

そして、編集については引き伸ばしを重ね申し訳ないですが10月までには終わらせたいと思います。

また、AIの名称について、今は様子見します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今後もよろしくお願いいたします。

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