26 文化
「うわ!なにこの肉!めっちゃおいしいよ!ククルカニャン!」
「気に入ったならよかった。俺の出身の惑星の固有種の肉だ。」
2人は小さい店内に向かい合わせで座っている。目の前には大きな肉が乗っており、あたりにおいしそうなにおいを漂わせていた。その大きな肉をククルカニャンは手慣れた様子で、ヒューは四苦八苦しながら切って口に運んでいた。
「ククルカニャンの?どこ出身?」
「同盟にファン・シンユーという方がいるんだが、」
ククルカニャンの言葉をさえぎってヒューが話し始めた。
「あ!ファンさん?知ってるよ。僕が信号を送ったときに来てくれた人だけどそんな有名な人なの?」
「知っているのか、なら話が早い。あの人は五大国以外で本部所属になったすごい人なんだ。アリス殿のように華やかな有名さではないが五大国以外の惑星の親はファン殿のようになれと口癖のように言うぞ。」
ヒューは肉を口にほおばり、もぐもぐと噛み千切りながらへえーといった顔でククルカニャンを見る。肉がよっぽどおいしいようだ。そんなヒューを見ながらククルカニャンは話を続ける。
「で、そのファン殿の出身の惑星の属国の惑星の1つだ。」
「ファンさんは五大国ほどじゃないけど大きい惑星出身なんだね。」
ヒューは口には出さなかったが属国とかあるんだ。と今知ったことを何でもないかのように流した。宇宙について興味があるといっても歴史や権力関係には興味がないようだ。もちろん、察しのいいククルカニャンはヒューが属国なんてあるんだ、と内心思っているのもお見通しである。
「まあ俺の惑星の文化レベルは低いんだ。0だぞ?」
「文化レベルか。僕の惑星はまだ文化レベルが何か出てないんだよね。待って、0?1より下があるんだ。」
ヒューは文化レベルのことは知っていたが文化レベル0という存在は知らなかった。
「ああ、数は少ないけどな。よく同盟に加入できるレベル3以上の連中が文化を発展させようとしてやって来るが本人たちは飢えてもないし、幸せに暮らしているからいいんだ。脳筋なのはご愛嬌だ。」
ククルカニャンは故郷を愛しているようで、口では軽く馬鹿にしながら顔には故郷への思いが溢れている。ヒューはクールなククルカニャンもこんな顔をするんだなと思った。
「1が農耕をある程度計画的に行ってるまでくらいまでだっけ?じゃあ0は農耕をしてないの?」
「そうだ。狩りとそこら辺にあるものを収穫し、周りの集落と物々交換を行っている。火を起こすのにも人の手を使う。」
「じゃあ、僕の惑星も0かも。」
「どんな惑星なんだ?」
「ええと、大きな天災があってもう僕と僕の実のおばあちゃんとおじいちゃん的存在しか生きていないんだ。学園で調べても何もでてこなかったから多分固有種の動物がいて、その動物として狩りをして、木の実を取って、庭で軽く手入れしてる野菜食べてた。」
ヒューのその言葉を聞いてククルカニャンは悩まし気に首をかしげる。
「うーん、火はどうしてた?」
「普通にに学園の寮についてるのと同じやつ。アリスさんは結構文化が発展してるって驚いてた。そういう機械系はおばあちゃんが言うにはときどき授かりものとして降ってくるのを真似して作るらしい。」
「うーん、なんともいえないな。予想では文化レベル3だと思う。」
「3?そんな高いかな。」
ヒューはククルカニャンの言葉に大層驚いた。しかし、ククルカニャンは自信満々である。ヒューの惑星の資料は読み込んだし、結構高い文化レベルではないかと予想されていることも知っていた。唯一の懸念点は食料面のレベルの低さではあった。
「ああ、おそらく天災にあった点が考慮されるのではないかと。」
「へえ、楽しみに待っておこ。」
「でももしレベル3なら同盟は37から38になるのか?」
「たしかに。」
「ヒューの惑星が見つかったことでどうなるか楽しみだ。」
ククルカニャンは心の底から楽しみなようで顔の表情も少しワクワクして見えた。ヒューは周りの環境に追いつくのに必死でそんな大きいことは考えられなかった。
「話が壮大でよくわからないや。」
「まあ、そうだろうな。俺もこの学園に入ったとき自分の惑星がちっぽけなものだと思った。」
「同じ惑星の人、学園にいるの?」
「いないぞ。というより、文化レベルが0の惑星から来てるやつはいないんじゃないか?」
「え?でも学園は基本全員入学って。」
「建前だ。建前。本人が行きたくない場合もあるし、周りがそうさせてくれないこともある。俺の場合は独自の文化で生きてたから学園の存在を知らなかった。あるときなぜかファン殿が訪れて話を聞くうちに入学したくなったんだ。周りのやつらはよくわからないからと言ってこなかった。この店に肉を卸すために故郷に定期的に帰っているからいまだに親しいがな。文化レベル0の惑星は数が少ないし同じように独自の文化で生きているんだろう。」
小さな店ではおそらくこの店唯一の店員が黙って座って眠りこけていた。ヒューはそれはいいのかと思ったが先程食べた肉の絶妙な焼き加減を思い出し、腕は確かだからいいか、と思い、それていた注意をククルカニャンに向けなおした。
「ええ、そうなんだ。この学園がある惑星と本部がある惑星は文化レベルを決められていないんだよね?」
「ああ、その2つは人工惑星だからレベルはついていない、しいて言うなら4か5だろうな。」
「今のところ神聖大国を除く五大国だけだっけ?5なのは。」
「その言いぐさは神聖大国について知っているのか。そうだ。レベル5は4つの惑星だけだ。ただこのレベルは同盟が決めているから若干忖度が入っている。その流れで大帝国はレベル4に引き下げようという動きがある。」
「うわあ、そんなんもあるんだ。難しいね。人が大きな群れになろうとすると。でも、そう聞くとなんか僕の周りってすごい人ばっかりいるし、僕もすごいことばっかり体験してるかも。」
「学園では五大国と何か特別な事情で入学してきたやつとそうでない奴で分けられているからな。それはそうとしても特殊な人物は特殊な人物で引き合うんだろう。それが運命ってやつだ。」
「そうなのかな。」
ヒューはククルカニャンの言葉に疑いの眼差しを向けるが、やはりククルカニャンは堂々としていた。
「おそらく。ところでヒューはなぜ<宇宙の英雄>の本を?後見人だろう?本人に聞けばいいじゃないか。」
「本人が言ったんだ。紙の本で話を知れって、よかったよ、こんなにすぐ見つかると思っていなかった。」
「ふうん、面白い人物なんだな。」
「うん、結構楽観的で面白い人だよ。」
「いつか機会があったら話してみたいな・・・。そろそろ帰るか。」
2人はとっくに肉を食べ終わっていた。ククルカニャンはまたヒューの話を聞こうと決意した。また同じようにヒューもまたククルカニャンにいろんな話を聞こうと決意していた。この2人の食事会が再度開かれるのも遠い未来ではないだろう。
「そうだね。今日この本をさっそく読んでみるよ。」
「ああ、楽しんでくれ。」
2人はお金を払って小さな店を出た。出る瞬間眠りこけていた店員はびっくりするように目を覚ましたが目の前に置いてあるお金を見て安心したような顔をした。ヒューはその店員の姿を見て、ひとりでこっそり笑っていた。
説明のような会話が多くて申し訳ありません。作者の技量不足です。
また、文字数はきりの良さを考慮してその時その時で変えていきます。
矛盾点があると思いますが9月半ばまでには直す予定です。物語の用語なども少し変更すると思いますが、そのときはあとがきでお知らせしていきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
明日から新章で別の人物からの視点となります。
これからもよろしくお願いいたします。




