2 宇宙人
その奇妙な三角柱の物体の先は長く細くとがっており、ひとつの側面は少し膨らみ透明になっていた。その透明な空間からくすんだブロンドの髪を高めの位置で一つに結んだ女性が現れた。
「■■■■■■■■■■■■■■■!!」
「え?え?何言ってるかわかんないよ!あ、こっちの言葉もわかんないのか。どうしよ・・・。」
「■■■■■■?」
「だからなんて言ってるかわかんないってば!僕だって君としゃべりたいよ!夢にまで見た流星らしきものから君がきたんだから!」
「■■■■・・・、あー、あー、私の言っている言葉がわかるだろうか。」
「え、え!わかるよ!わかる!どういうこと、今まで何言っているかわかんなかったのに。」
「全自動翻訳システム<オーラ>を使ったんだ。見たことないのか?復旧率は98%だと聞いたがそ子から外れた2%なのかもしれないな。<オーラ>を見たことないほど辺境でも有人惑星なら宇宙ビーコンならあるだろう?私は宇宙連盟共同軍・探査部・第2軍隊所属のアリス・ステラ・オービットだ。宇宙連盟共同軍条約に基づき、ただちにビーコンのところに案内してくれると嬉しい。」
「ビーコン?なにそれ?そんなものこの惑星にはないよ?それより、あなたは宇宙からきたの?宇宙軍ってなに?そのあなたが乗ってきたものはなに?もしかしてあなたの言いぐさ的に他にも有人惑星っていっぱいあるの?あなたの」
「待て!落ち着いてくれ、少年。その疑問の数々に直ちに答えてやりたいが、その前にひとつ、聞かなければいけないことがある。いいか、噓はつくなよ、この惑星は<37惑星宇宙連盟>に加入している、またはその加入している惑星に属しているか?」
「<37惑星宇宙連盟>?それがなにかわからないけど、そもそも宇宙って言葉を知ってるのたぶん僕と先生だけだよ?」
「なんだって?今までの会話から薄々察してはいたが、この惑星は未発見の惑星か。今この時代に未発見の惑星が見つかるなんて、今から宇宙が崩壊するのか?ちょっと待ってくれ、少年、いや、待たなくていい、君の質問にはあとでゆっくり答えるからその前に君が住んでいるところに案内してくれないか?大人と話したいんだ。私の命が脅かされない限り、悪事をはたらかないことを宇宙に誓う。いいかな?先に君が言って保護者に連れてきていいか聞いてきてからでもかまわない。」
「うん!うん!多分大丈夫だよ!多分!早く一緒にいこ!!」
「本当に大丈夫か?」
すると、その場に遠くから強い風の音のようなものが聞こえた。それはこの場にいるどちらかが吹いたものではなかったが、力強くどこか温かい音であった。
「あ!僕の名前だ!たぶんこの音はソフィアさんが心配して僕を呼んでいるんだろうな。いこ!アリスさん!早く帰らないと僕が叱られちゃう。」
そうして、少年は小さいプログーを一番近くに見えるプログーの方向に頭を向かせて草原におろし、軽くお尻を押し出して歩かせると、自身も家の方向に向かって一目散に駆け出した。アリスは慌ててその後ろを追いかけ、走りだしたが、すぐに少年は疲れたのか歩き出し、アリスも自然に横並びになって歩きながら口を開いた。
「今のが君の名前なのか?私には風の音のようにしか聞こえないが・・・。ソフィアさん、とやらは名前を持っているのだろう?君はそういった名前を持っていないのか?」
「うーん、まだ持ってないんだよね。ホントは数年前に持てるはずだったんだけどいろいろあって・・・。あれ、小さい子供の時だけ持つ名前で<風の音>っていうんだ。僕は1音節だけど、すごい人とか11音節あったらしいよ。アリスさんも<風の音>で呼んでいいよ。」
「11音節か、それは長すぎて気軽に名前を呼びにくいな。今から君の名前を呼んでみる・・・。<♫~>これであっているだろうか。」
「ちがうよ!それだったら違う人のことを呼んじゃうよ。<♪~>だよ、<♪~>!もう一回やってみて!」
「<♬~>、いや違うな、耳では違うのがわかるんだが正しい発音ができない。」
「ははっ!おもしろい!<風の音>ができない人がいるなんて!いいよ、なんか呼びやすい感じで呼んでくれれば。」
「そうか、すまないな、配慮に感謝する。そうだな君の<風の音>は私には<ヒュ~>と聞こえるからヒュー呼んでもかまわないだろうか。」
「ヒュー、か。かっこいいその名前。嬉しい!」
「それはよかった。ところで今している話を突然終わらせるが、目の前に見える明かりのともる赤い屋根の家が君の家でそのドアの前に立っているご婦人がソフィアさんという認識で間違いないだろうか。」
「うん、その認識であってるよ!」
そして、少年ことヒューは目の前のソフィアの前で大きく叫んだ。
「ソフィアさん!宇宙人連れてきちゃった!」




