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第五章 反逆の舞踏会


 王太子の誕生日舞踏会。

 小説ではここでテオドラがイザベラを毒殺しようとする。

 だが、今回は違った。

 テオドラは黒のドレスではなく、白のドレスを身に纏っている。

 そしてマイク──この世界での魔法の拡声器──を取り、会場に宣言した。


『皆様、私は──悪役令嬢ではありません』


 ざわめきが広がる。


『私はただの少女。そして、この国の未来を変えたい。この物語に終わりを告げるために──』


 彼女は僕を見た。

 僕は頷き、彼女の手を取る。


『僕はテオドラ・マリスカ・ヴァストルと婚約を結びます。そして、彼女と共にこの国を変える』

「な、何を言う! 彼女は──」

『悪役? それとも、救世主?』


 僕は声を張り上げる王太子を一瞥すると、周囲を見渡した。


『この世界は誰かの娯楽のためのフィクションです。僕たちの悲しみも、死も、すべて“ストーリー”のため。ならば──僕たちが物語を書く側になるべきではないでしょうか?』


 沈黙。

 そして──拍手が一つ、また一つと広がる。

 イザベラ姫も静かに微笑んでいた。


「……あなたたち、面白いわ。私も見守っているわね」


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