表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
5/20

第5話「妹たちの予感」



「お兄、最近さ……ちょっと変じゃない?」


その言葉は、双子の妹・茉音の口から、夕食後のリビングで唐突に出た。


「え、やっぱ思ってた? 結音もさ、なんかそんな気してたんだよね」


夕飯の皿を片づけながら、結音は振り返る。2人は、祖父母と一緒に暮らすこの家で、毎日顔を合わせる兄――天野悠翔の“微細な変化”に気づいていた。


春になってからの悠翔は、確かに何かが違っていた。


以前は淡々と生活をこなすだけだった兄が、ふとした瞬間に笑うようになった。

スマホを見ながら、口元に柔らかな表情を浮かべる。

そしてなにより――最近、よく外出するようになった。


「図書館とか言ってたけど、ほんとにそうなのかな」


「うん。なんか、誰かと会ってるような気がするんだよね」


「女の子……だったりして?」


「……えっ、まさか!」


言ったそばから、2人は目を見合わせて絶句した。

でも、その“まさか”を完全には否定できなかった。


茉音と結音にとって、悠翔は“誇れる兄”だった。

両親がいなくなってからは、自分たちの前では一度も弱音を吐かず、どんなときも責任を持って面倒を見てくれた。


だからこそ、その兄が――恋をしているかもしれないと気づいた瞬間、どこか“そわそわするような感情”が胸に広がった。


「もし本当にそうだったら、先に私たちに言ってほしいよね。家族なんだから」


茉音がぽつりとこぼすと、結音も大きくうなずいた。


「だよね! しかも、どんな人かちゃんとチェックしなきゃだし」


翌日から、2人は“調査”を開始した。

とはいえ、子どもっぽくスマホを盗み見るようなことはしない。

でも、玄関を出るときの持ち物、行き先の曖昧さ、帰ってきたときの表情……細かく観察を始めた。


ある土曜日、悠翔がいつものように「ちょっと出かけてくる」と言って、昼前に家を出た。

その背中を見送りながら、茉音が呟いた。


「今日、ちょっと本気出してみよっか」


「……尾行?」


「いや、さすがにそれはダメ。でも、帰ってきたときに、絶対問い詰めてみる」


その夜。

悠翔が帰宅すると、リビングにはすでに双子が正座していた。


「……なに、これ」


「質問です。お兄、今日どこに行ってたんですか?」


「誰と一緒にいたんですか?」


急な詰問に、一瞬だけ、悠翔の顔が固まった。

だが、すぐに「図書館に行ってただけだよ」と答えた。


「でも、そのわりに顔がニヤけてるよ?」


「そのTシャツ、今日の朝は着てなかったよね? 着替えたでしょ?」


「ていうか、さっき“いい匂い”がした気がする。これ……女子の香水じゃない?」


「「まさか、本当に女の子と会ってた!?」」


畳みかけるような双子の指摘に、悠翔は思わず苦笑した。


「……なんでそんなに鋭いんだよ」


「兄妹だからだよ!」


「誤魔化したって、ムダなんだからね!」


その夜はそれ以上の詮索を避けたが、茉音と結音の中には、確かな“確信”が生まれていた。


兄は今、誰かと、特別な関係にある――。

しかもそれは、きっと“普通の恋”ではない。

それを、双子の本能が感じ取っていた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ