第三百六十八章〜またまた歌舞伎町
書かせていただきます。蘭馬の新たなる冒険?逃避?が、始まりそうです。一体何処まで行けるのでしょうか?そして、夏美の動きは?お楽しみいただけましたのならば幸いです。
「お姉さんどうしたの?こんな所を独りで。誰かと待ち合わせ?」
背後から声が掛かった。チャラそうな若い男の声であった。
「ねえ」
男の指先が肩に触れた。蘭馬はそれを素早く振り払った。今日の蘭馬は、ヘインズのリブ編みのキャミソールの上に、ラコステのウール100%のカーディガンを軽く羽織っていた。
男はしつこかった。諦めというものを知らないらしい。蘭馬はお澄ましして歩き始めた。丁度信号が青になった。通りを渡ってもまだ男は着いてきていた。歳の頃は24,5か、ちょうど大学を卒業 仕立てといった感じがした。
「何処か行きたいところある?」
彼が少し大きな声で訊いた。雑踏の中であった。
「蘭馬はゆっくり立ち止まって頭だけで振り返った。彼は少し意外というような顔をした。振り向いてもらえるとは思わなかったのだろう。
「遠くへ。できるだけ。遠くへ行きたい」
蘭馬はひとつひとつの単語をはっきりと発音した。
「え」
彼は さらに意外そうな顔をした。ナンパは初めてなのだろうか?それともそんな言葉を聞いたことが 初めてなのだろうか?はたまた蘭馬=夏美の美しさに見惚れたのだろうか?
蘭馬にはその中のどれだとも断定は出来なかった。
ふたりは雑踏の中で立ち尽くしていた。邪魔そうな顔をする通行人もいたし、あからさまに舌打ちもされた。
が、暫くして男は蘭馬の手を取った。
蘭馬はそれに大人しく従った。何処に連れて行かれるとも分からなかった。それでもいいと思った。どこへでもいいから行きたかった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。まだまだ書かせて頂きますり皆様方、どうぞ宜しく




