第三百六十四章〜明日は副島と……
書かせていただきます。久しぶりのデートの前日、翔子は浮かれています。の時に一番聞きたくない 声を聞かされるのです。彼女は耐えられるのでしょうか!どうか、お楽しみに!
明日はいよいよ副島満との二回目の逢瀬だ。翔子は胸をときめかせた。克典とはこういう気持ちにならないのが不思議だった。いや、理由はわかるような気もするのだが。
骨折の所為でタクシーで塾に通わなくてはならない幸司に手を振ってから、すぐにマンションの自室に戻った。
明日着てゆく服を選んでおかないとならないのだ。
ハイブランドな物にしようかしら━━?しかし、それだともし、副島の服装より高級な品であったなら、彼のプライドを傷つける恐れはないだろうか?
それならば、もっと気軽な感じで……。
いや待て!翔子はそこで、漸く気づいた。この前ポロ・ラルフローレンのスウェットを、買ったばかりではなかったか。そうだ。確かに。ピンク色の高品質な感じのスウェットだ。同じブランドのスウェットパンツもあるからそれを合わせれば良い。靴もナイキのスニーカーがある。丁度良いじゃない。
服装のチョイスが終わって、彼女は清々(すがすが)しい気分になった。その日は、家事を熟しながら鼻歌を歌っていた。
そんな時にだ。突然、翔子のスマホの着信音が鳴ったのだ。最初は、逢うのを翌日に控えた副島からのものだと思ったものだ。不吉な予感は杞憂に終わればいいな、などと思った。だが、それは現実とは違っていた。
発信者は、『玲子』であった。心臓に良くない名前だ━━。そんな風に思いながら通話ボタンをタップした。
『随分、ご機嫌良さそうじゃないの』
いきなり そんな声が耳元で聞こえた。
「何処で見ているのよアンタ!」
翔子は思わず激怒してしまった。副島との仲を引き裂くような輩に思えてならなかったのだ。
『まあ、そんなに怒ると身体に良くないわよ』
━━もしかしたら今の時代、わたしの家族の内、一人にでもGPS発信器を忍ばせるのは簡単なのではないか。GPSの取り付けが上手くいきさえすれば、この自宅の場所を突き止めるのは容易いのだろう。してみると、場所さえ分かれば業者のフリを装って、盗聴器やら盗撮器を仕掛けるのも簡単な筈だ。
玲子から監視されているように感じるのは、その所為ではなかろうか、
━━なるほど。
タネが分かってしまえば恐れることはあまりないように思えた。代わりに怒りがこみ上げてくるのだが。
「しつこいわね。何の御用?」
翔子には少し余裕が生まれていた。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




