第三百二十一章〜一条蘭馬は…
書かせていただきました。早速 投稿 いたします。私の時のようです。彼らは再開できるのでしょうか?お楽しみいただけましたのならば幸いです。
蘭馬は、一旦アパートに戻り、取り急ぎ旅支度を始めた。
牧島基が、
「もう帰ってこないのか?」
と、泣き出しそうな声で訊いてきた。蘭馬は荷造りの手を動かしながら、
「わからないな。帰って来られるかどうかも。帰れれば帰るさ。心配はなしにして」
蘭馬は、グレーのスウェットの上下を着けていた。作業しやすいようにするためだ。夏美の体は腰が括れているので、それがよく似合った。
「この部屋に住み続けるのか?」
今度は蘭馬が訊いた。
「どっちでもいいよ。ここはお前とのことを思い出してしまう。哀しい気持ちになりそうだ」
「そうか。なら引き払え。お前ならうまく生きていけるさ、きっと」
と蘭馬。たまらなくなった基が訴えた。
「そういう話はやめよう。どんどん気持ちが重くなる」
「そうだな。やめよう」
基の掌が、蘭馬の尻の割れ目を這った。尻の丸みに沿って ランダムに動き回った。蘭馬は黙ってやりたいようにやらせていた。
「駄目だ。断ち切ろうとするのだけれど」
基が肩を落とした。
「いい彼女でも作れ。お前は良い奴だ。お前ならきっとできる。そして俺のことなんか忘れるだろ。ころっとな」
「そうかな」
透明な涙が、彼の頬を一滴だけ流れた。
「電車代の足しにでもしろよ」
基が一万円札を渡そうとしてきた。蘭馬はそれを手で断った。
「お金は貴方の方が必要な筈よ。稼ぎ斑もなさそうだし」
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




