第二百八十六章〜歌舞伎町へ
書かせていただきます。リッチ的な章なので短めですり。結局夏美である蘭馬は出掛けてしまいます。、また何かが起きるのでしょうか お楽しみにしていただけましたら幸いです。
蘭馬と基も、平井聡に関わるニュース記事に敏感になっていた。夏美からも連絡があり、彼女もことの進展に神経を尖らせているようだった。
「それはともかく、私、そろそろ お金がないのよ。これじゃ そのうち 身動きが取れなくなるわ。平井君の件でもお金は必要になるかもしれないし、最低限の電車賃があるうちにちょっと お金稼いでこようと思うの」
蘭馬は言った。ところが、牧島基はそれを好意的に、受け取ってはくれないようだった。
「どうせ歌舞伎町でも行くんだろ?やめとけよ。僕が稼いできてやるからさ。土木工事でも何でもして」
「それはそれよ。貴方だってお金は必要なのよ。それそわれ自分の責任において稼ぎましょ」
蘭馬はそう告げると、振り向きもせずに出かけてしまった。
━━女はいいなぁ……。牧島基のその台詞であったが、今はそういう性差別的な発言は、コンプライアンス的に良くないと思うから、言わないことにしておいた。
♢
蘭馬は特別快速新宿行きに乗り、しばらく電車に揺られた。満員電車なのでシートの前に立って揺られること数分、ミュウミュウのクールなミニスカートに包まれたお尻に違和感を感じた。
「あ!?」
という声は実際には出ないものだった。恐怖心と嫌悪感と不快感、羞恥心ら、様々な感情が交錯し、声を出していいものかどうか迷ってしまうのである。もし何かの間違いだったらどうしよう。私が訴えることによって人一人の人生が奪われてしまうかもしれない。そんな精神的な重圧もあった。
━━どうしよう?
そんなふうに迷っているうちに、次の駅に着いてしまった。もう中野だ。駅員に犯人を突き出すなら今だ!そんな風には思うのである。しかし こんな女、 触られるわけがないじゃないか!とか言われたらどうしようという考えが生まれると、恥ずかしくて、躊躇してしまったのである。そうこうするうちに 犯人は、雑踏に紛れるようにして降りてしまったらしかった。
悔しさが襲ってきた。声を上げるべきだった。そう思った。しかし、時既に遅し、であった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




