第二百八十三章〜正当防衛?
こんばんは。次第にお話がハチャメチャになっていくような気がします。今最後までに着地できるのでしょうか?わかりません。楽しみいただけましたら幸いです。
これが平井聡の身体か。いささか燃費の悪そうなっ体つきだが持病はなさそうだ。生活習慣病ならどうか知らないが。しかし、それにしても━━。人々の視線が鋭い棘のように胸に刺さるぜ━━。
佐伯高雄は、腰を低くしてひと目を避けるようにしながら、札幌市内の自宅に帰り着いた。
人を包丁で刺した瞬間のあの感触は、一生忘れられないだろう、そんな 確信があった。
「俺は利用されただけだ。あれは正当防衛だったんだ」
そう信じていた。奴は気狂いのようであった。もう話など聞く余裕はないようだった。言葉が通じない相手が突然襲ってきたのだ。仕方がなかった。それだけだ。奴は、平井聡に恨みがあるようだった。佐伯高雄が、コンビニへビールを買いにでも行こうかと思って表へ出てから数分と経っていなかったと思う。
やつが目の前に踊り出たのである。その手には最初から包丁が握られていた。奴は両手を使ってそれを握り締め、構えていた。
佐伯は、何を考える間もなく本能的にそいつの手首を掴み、もう片方の手で包丁を奪い取った。
奴は、平井聡に恨みを持っているようだった。そこで、期せずして平井聡の身体と入れ替わってしまっていた佐伯高雄が平井聡本人だと誤解してしまったようだ。
入れ替わり希望者のフリをして佐伯を誘き出して始末してしまおうと思い立ったようだった。
わざわざ札幌まで来させておいて……。
『札幌までお願いします……交通費として入れ替わりの費用の他に百万円お渡ししようと思っております』
そんな甘い言葉につられて遥々(はるばる)ここまで来た方も悪いのだ。
そう自省した。
何でも、平井聡と強制的に入れ替わされたことによって、結婚を破談にされ職も失い、それがショックで女の子は自ら命を断ってしまったらしいのだ。そしたその恨みを代わりに晴らす為に、彼女の兄である奴が襲ってきたというわけだった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




