第二百五十三章〜帰るべき場所
書かせていただきます。騙し合い、脅し合い、擦りつけ合い。そんな世界になってきました。お楽しみいただけましたら幸いです。
━━警察…。そういえば警察はオレの部屋を調べ上げてあるんだっけな。ならばオレの帰るべき場所はやはりここ、高木翔子の居所でしかないのではないか。
平井は改めて思った。━━しかしでは、オレの形をしている翔子は何処に帰れというのだ?
帰らなくていい。帰る必要はない。帰ったところで禄なことはないよ。旅立つんだよ。帰るべきではないのだよ━━。
そんなことを思った時、ふと思いついた。
そうか。翔子は、オレの部屋に戻れば良いのではないか。そう。オレが翔子の家に帰るのだから、それは当然といえば当然だ。
勿論、そこには張り込んでいる警官隊が待ち受けている。そこに帰ればいいんだよ。オレの形をして。そうすれば警官に保護してもらえるのじゃないのか?それでいいんじゃないか。警察署なんてある 意味、一番安全な場所だでよ。そうしろや━━。
平井は本気でそう思った。迷いなど微塵もなかった。
「わかりましたわ」
平井がゆっくりと言った。
「とりあえず お互い 警察には 捕まらないように帰るべき処に帰ると致しましょう。ただし、貴方はあくまで平井聡です。住所を教えるから そこに帰ってください。そこがわたしの居住地です。そう。帰るべきところです」
「え?」
彼女は 怪訝な顔をしているのが目に浮かんだ。もう一押しだ。
「明日になったらわたしが迎えに行きます。そうしたら警察も成功したという逆入れ替わりを実践してみましょう。それがお互い一番いいことなのかもしれない」
平井は言い終えた。それを承諾するかどうかは 彼女次第だ。すると、
「わかりました。そうしましょう。そうでなければ私にも泊まる場所もない。この姿で 高木宅に戻るわけにもいきませんでしょうし…」
「そうです。やっとわかってくださいましたか。それが一番いい 方策です。後は明日を待ちましょう」
平井は自分の住むアパートの住所を伝え 電話を切った。後は、ことがうまく運ぶのを待つだけだ。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




