第二百四十章〜おかえりなさい
おはようございます。させていただきます。よろしくお願い申し上げます。平井とその夫との生活が始まります。どうか楽しみに。
「え?」
平井はフリーズした。
「え?あ、はい…。そうでしたわね。少々お待ちを」
平井は玄関ドアを開けにいった。そこには少し大きめの段ボール箱を持った配達員らしい 青年がいた。
「あ…、はい。有難う。受け取りの印鑑は必要かしら?」
「い…、いえ、結構です。ありがとうございました」
段ボール箱の中身は、インスタント珈琲であった。この銘柄は夫の好みなのだろうか?それとも…。コーヒーの瓶をキッチンの適当なところにしまい、ダンボール箱を処分している最中だった。
再びドアチャイムが鳴った。今度こそは夫のお帰りか?期待と不安と緊張が入り混じった。
ドアを開ける。
「よお」
と男が言った。歳の頃は、は30前後であろうか。肌艶も良いやや色黒の顔であった。
平井はなんと返事すればいいのか迷った。このひとは、男尊女卑思想の持ち主なのであろうか?ならば返事もそれなりにしなければならない。しかし…。
彼がどした?というような顔をした。慌てて、
「おかえりなさいませ」
と返す。と、
「なんだ、どうした急に畏まって?」
「あ…いえ…お仕事お疲れ様でした」
呟くように言うと、彼が唇を近づけ、それを平井の唇に重ねてきた。彼の下はざらついていて、粘り気があった。酒でも飲んできたのか、お酒の匂いも プンプンする。濃厚なキスだった。
翔子である平井はもう、めろめろになってしまった。ようやく 唇が離され 呼吸が普通にできるようになった。
「さあ、お入りになって。今日はカレーライスよアナタ」
彼を室内に招き入れた。
お呼びになっていただきまして誠にありがとうございました。




