第二百三十三章〜多感な時期
書かせていただきます。いよいよ息子が帰ってきます。甘えも知らない 初対面のどうやって対処すればいいのでしょうか?私もお楽しみいただけましたら幸いです。
「おかえりー」
玄関の鍵を開けながら声を掛けた。いってもまだ彼の名前すら知らないのだけれど。はて、何と呼ぶべきか。演技上は、我が息子であるはずなのに。
作業の優先順位を間違えたかもしれなかった。この息子の部屋を調べ せめて名前ぐらい調べておくべきだった━━。
平井は悔いた。
息子は、横目で睨みつけるように一瞥しながら自室に入って行った。と、突然そこのドアがもう一度開き、息子が出てきた。手に持った弁当箱 らしきを、叩きつけるように キッチンのテーブルに置いて行った。そして再び 部屋に入る。
静寂が訪れた。
彼は自室に籠もって何をしているのだろう?そんなことを思った。
「あ。今日の晩御飯はカレーよいいでしょう?」
母親らしいことを言ってみたくて、ドアの向こうに向かってそう告げた。と、
「うるせえな。だからなんだよ!」
という怒鳴り声が返って来た。
まあ 食べたくなれば食べに来るだろう、そんな楽観論のもとに、それ以上は黙っていた。自分も通ってきた道だ そんなものだろう。平井には少しずつ自信が出てきた。
お次は夫だ。残業あるから遅くなるのだろうか?そうだ!この間に夫の名前を調べておこう━━。
本当に部屋に入られてからでは やりにくい。先に調べておこう。
彼は夫婦の寝室に再び向かった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




