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第百八十二章〜三橋富江の願い。
区役所で待ち時間です。書かせて頂きました。なんか気は散りますが。よろしければおよみにあなってくださいませ。彼女の歪んだ願望です。
━━それにしても素敵な方だわ。もしかしたら、本当に俳優さんとか劇団員さんとかだったりして……。さちはあまり現実的でない想像をして愉しんだ。
自分がつい最近まで三橋富江として辛い人生を送っていたのをすっかり忘れ去ったかのように。
このままでいられたら、有賀さちとして生きていかれたらどんなに幸せだろう……。最近はそんなことばかり考えていた。
それには、もともと有賀さちであった今の三橋富江の存在が邪魔だったのである。もし、彼女がもとの有賀さちに戻りたいなどと強く思い始めたら厄介だ。彼女は自分の姿を知っているのだから、東京中を探し回れば、目的のさちを探し出すのはそう難しくないのかもしれない。場合によっては、私立探偵を雇ってもいいのだ。そうすれば彼女などいとも簡単に見つかってしまうだろう。不安だった。とても…。あたしが、有賀さちなのよ!自分に対して強く言い聞かせた。
「はやくぅ」
さちが甘えた声を出した。
「何を?」
譲二が問うた。
「んもう。決まってるじゃない意地悪ぅ…。早く挿れてという意味よ」
お読みになっていただきまして、誠に有難う御座いました!




