第百十六章〜森下警部補と桐山雅彦
時間がかかってしまいました。書かせていただきます。ミステル 小説のようになってきてしまいました。これが、ストーリーに複雑に絡み合っていってくれればいいのですが。よろしくお読みになっていただけましたら幸いです。、
時系列的にいって、最初の案件とされたのが、新宿駅東口地下道から地上へ上がる階段、A9出口付近で起きた転落事案であった。
目撃者によると A9出口地上方向から女性が階段から足を踏み外す 形で転落し、その下方を上がってきた男性と接触し、地下道床まで絡まり合って落下したという状況だったらしい。
目撃者によれば、事件性は何ら感じられなかったようだ。転落した2人以外に第三者的立場の人間が居たかといえば、その目撃者以外には誰もいなかったという。
目撃者は都内に住む大学教授であり、証言の信憑性はかなりあるらしかった。
警視庁新宿署の森下警部補は、腕組みをしながら、唯一の目撃者である都内在住の桐山雅彦という男の話を聞いていた。
桐山はかなり内気な性格らしく、ぼそぼそと喋った。そして、いかにも大学教授と言った風体であった。
「で…。貴方が目撃したのはその転落の瞬間だった訳ですね?」
森下警部補は、こつこつとスチール製の机を指の関節で叩いてみせた。
「はあ。そうですので、被害者の方のお顔ですとか服装ですとかは、自信を持って証言できるようなものではございません」
年齢は55歳と言うが、どちらかと言えば58歳の森下警部補よりは歳下に見えた。
西新宿6丁目にある警視庁新宿署の3階の取調室であった。
「で、転落を開始するする瞬間はご覧になっていないということでよろしいですか?」
「は…。はい。済みません。女性が、あ!というような悲鳴を上げた気がしたので、階段の上の方を見ました。そしたら すでに男の人と女性とが体を絡ませ合うようにして転げ落ちて来たのです」
「それから貴方は何をなさいました?」
詰問口調の森下は、桐山には苦手のようだった。おずおずと小さな声で応えた。
「兎に角警察と救急を呼ばなければならないと思いました。でもその日に限って、スマートフォンを家に置き忘れたものでして、仕方なく駅東口改札前のところにある構内の交番に駆け込みました。そして今見た様子を全てお話ししたという次第でございます」
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




