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「……わぁお」
米倉の間の抜けたリアクション。アルナの放った矢は、星的のど真ん中を射抜いている。
「中り!!」
即座に判定をおこなった大井は、ワクワクした表情でアルナの肩を叩いた。
「さすがだな、アルナ! 一発で中てるとは! 命名するなら、『スマッシュインパクト』ってところだな!」
「はい。動かない目標を中てるのは、冒険者になる前に何回も練習しましたので」
彼女は自信ありげに口角を上げる。さすが、最難関ダンジョンに挑んだ冒険者。……そしてさすが、この状況をやすやすと受け入れてしまう弓道部。
「ふむふむ。なら、中りは問題ないな。だが……」
そう言うと、大井はカッと目を見開いた。
「弓を引くのが速すぎる!!」
アルナはビクッと肩を震わせ、茶色の瞳をパチパチとさせた。思わぬ言葉にびっくりしている様子だ。
「何だ、今のは!? 目にも止まらぬ速さだったぞ!? 早気どころの騒ぎではない!!」
「え……? そ、そうですか……?」
矢に手を伸ばし、首をかしげるアルナ。「もう一回!」と大井に言われ、再び矢を番える。弓を持ち上げ、弦をしっかりと張り――。
――と思ったときには、すでに矢は星的を射抜いていた。
「だから速ーいっ!!」
大井は興奮のあまり、アルナの肩をガシッと掴んだ。アーチャー一筋十二年と、弓道一筋九年。端から見れば、実におかしな光景だ。
「何故だ!? あんなに速い動作で、ちゃんと的を狙えるはずがないだろう!?」
アルナの弓術が超次元なあまり、大井はテンパってしまったようだ。何度も肩をグラグラと揺らし、アルナを困惑させている。
「……これは、射法八節を一から教えないとだね」
大声を出す部長を見て、副部長の米倉は「やれやれ」と言ったように肩をすくめた。土曜日の大会まで、あと一週間。異世界のアーチャーは、日本で射法八節を勉強することになった。




