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ファンタジー職業人、お貸しします!  作者: 田中なも
アーチャー、お貸しします!
12/128

3

 日曜日の午前練習。米倉と一緒に姿を現したアルナに、大井と八条は歓声を上げた。

「本当に、助っ人が来てくれるとはな!」

「すごいわ! これで、来週の大会に出場できるわね!」

 二人は腰を抜かすこともなく、道場内で大いに盛り上がった。ファンタジー世界からやって来たアルナに対して、早くも親しげに接している。

「名前は何だ?」

「アルナです」

「あら、可愛い名前ねー!」

 彼女たちの包容力は尋常ではない。その様子を後ろから見ていた鷺宮さぎのみやは、その神経の太さを改めて実感した。このような場面では、普通は驚くのが筋ではないだろうか……。

「さっそくだが、アルナ。おまえの実力を見せてくれ」

 大井は部長らしくそう言うと、奥から弓矢を取り出してきた。彼女が以前使っていたものらしい。

「私と同じ身長だから、これで問題ないだろう」

「ありがとうごさいます」

 アルナは弓矢を受け取ると、じっと安土を見つめた。星的が四つ、適切な位置に立てられている。

「あの的を射れば良いのですね?」

「ああ、そうだ。この『射位』に立って……」

 大井の指示に従う彼女。他の三人は、彼女の後ろに回ってその様子を眺めた。

「アルナの職業って、アーチャーらしいよ」

「アーチャー? ……ってことは、もしかしてアーチェリーかしら?」

「あっ! じゃあ、弓道と違うじゃん!」

 米倉と八条の会話を聞いて、後輩の鷺宮さぎのみやは一人拍子抜けした。

「……先輩、アーチャー云々以前の問題だと思いますよ? 昨日の話だと、アルナはモンスターとか倒してたらしいですし」

「モンスター!?」

 八条は驚いたような顔をしたが、すぐにニコニコと笑みを浮かべた。

「モンスターを倒せる腕なら、私の家に来てほしいわー。最近、ムカデが増えちゃって仕方がないのよー」

 鷺宮さぎのみやは「そういうことじゃないだろ!」と突っ込みたくなったが、その声はシュッと放たれた矢の音によって遮られた。


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