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私は頑張るあなたの味方!  作者: #N/A
第1章 『救済の桜』
21/22

第21話 ごめんなさいなんて言わない

 ───────────────

 ────────

 ……………


 月日は流れて、三年生の秋になった。


 朝と晩の二回、両親にご飯を振る舞うのが日課なのは当然変わらない。実家を離れでもしない限り、きっと変わる事はないんだろうなって思う。


 そんな日課の中に、ヒロとお話をしたり、遊びに誘って町に行ったりする事が加わっていた。充実しているけれど、何か一歩届かないような歯がゆい日々を送っていた。


 修学旅行では班が離れ離れになってしまったけれど、ちゃんと二人きりの時間を作ってツーショット写真を撮った。


 それは傍から見たらまるでカップルみたいな一枚で、それを見返せばその日あった嫌な事なんて全て吹き飛ばす事が出来た。


 そんな事を思い返しながら、私は薄水色の涼しい空を見上げた。


 横を見てみれば生徒達が私たちを応援していた。特に私たちの学年は、これまで無いくらい最高潮の熱気と歓声を繰り広げていた。


 目の前を見据えると白いラインがくっきり引かれた校庭が仰々しく広がっていて、テントが連なっていくつか張られていた。校舎付近にある大きなテント……あそこが確か生徒会役員のテントで、その中からヒロが私を見ているはず。


 体育祭。


 こんな行事の時であっても、私の頭の中はヒロの事でいっぱいだった。というかヒロの事しか考えられなかった。何度寝ても何度覚めても頭にあるのはヒロ。


 私はずっと懲りずに、ヒロに猛アプローチを続けていた。だけどあまりにもドンカンなヒロは、ずっと振り向いてくれないまんま。どうしたらヒロはもっと私に夢中になってくれるの?そんな事ばかりを考えて。


 !


 やっぱりヒロ、あそこに居た。こっちを見てる。


 ヒロは大きなテントの下で、生徒会役員たちと一緒に会話をしながらこちらを見ていた。みるみる私の頬が熱くなって、咄嗟に目を逸らした。


 ヒロは生徒会役員と部活動を引退した後も、積極的に後輩たちの指導をしていた。体育祭の実行委員長になった後輩の面倒も見ていて、その采配もやっぱり見事なものだった。学校全体が一体になって体育祭を盛り上げているのが分かる。


 ヒロ………。やっぱり、かっこいいな。


 あんなに優しくて柔らかい男の子なのに。切羽詰まった時たまに見せるアクティブさ、雑な仕草や張り上げる大きな声に、やっぱり男の子なんだなって思って。


 すごくドキドキしてしまう私がいた。


 パーン!!


「ヒロ……。かっこいい……」

「渚ぁぁ!ちょっと!もう二人三脚始まってるよ!?時枝君に見とれてる場合じゃないってー!!」

「っえ?あぁぁぁ!!ごめん!?」


 やば!結構出遅れてるじゃん!!


 たった今開始のピストルが鳴った二人三脚。その一時間程前に、私は徒競走にも出場していた。しかしそれは個人競技だったので心底どうでもよかった。


 他人にどう思われるかという点に元々関心が薄い私は、どうしても個人競技に興味を持てなかった。運動が好きな訳でも何でもないし。


 だけど今回の二人三脚はクラス対抗。大目玉の競技だし、ヒロだって見てる。


 ここで最下位などというクラスに泥を塗る行為をして、ヒロをがっかりさせる訳にはいかない。


「ほらっひより!!行くよ!!ほらほらほらほらほらっ!ねえ?遅くない?もっと気合い入れてっ!!ほらほら!?」

「ぎょえーー!ちょっと!渚、むちゃくちゃだよ………!!ていうかさっきの徒競走より動き良くない?どうしたの??」


 今私とペアになって一緒に走ってくれている女の子のひよりは、三年生のクラス替えで友達になってくれた。面倒見が良くて、よく相談に乗ってくれる子だった。ヒロと同じようにいつも困らせちゃってるけど……。ごめんね。


 ヒロに教えてもらった、いつもやってるパズルゲームを思い出して!!あれに比べたらこんなの、おちゃのこさいさいだから。


 次はこっちの足、あっちの足。それを交互に素早くやるだけ………!


 いける!いける!!


 そして私とひよりのペアは爆速で他のペアたちを追い抜き、見事一位でゴールを果たした。


 ゴールテープ、私が切った!初めて!


 ゼェゼェと膝に手き息を荒らげ、こいつ………。という目で横から視線をぶつけてくるひよりに目をくれてやる暇すら無かった。私は喜びのままにガッツポーズをして天を仰いだ。


 ヒロ!私、一位になったよ。



 ------------------------------



 苦しさの中にいた。


 あの文化祭から一年以上経った。それなのに、俺と渚の間には差ばかりが開いていく。俺は焦りのままに、自分が出来る事を頑張り続けていた。


 どんどん素敵になって、多くの生徒達から認められていく渚。先日は沢山のラブレターを貰っていて、渚はそれを複雑な顔で俺に見せてきた。


 比べて俺は、どんなに頑張ったってずっと同じまま。変われないまんまなんだ。


 渚が出ると言っていた二人三脚を眺めていたが、俺は耐えられなくなってテントから抜け出し、教室に戻ってきた。


 ひよりさんとペアで出場し、出遅れたにも関わらず一位に輝いた渚。俺はその光景を、一瞬も目を逸らす事なく一部始終見ていた。


 渚って、本当は運動神経も良いのか?


 運動神経が良くないところは、俺と一緒だって思っていたのに。


 体育祭はこのままいけば大成功を収めるだろう。


『やっぱり時枝君が見ていてくれるだけで本当に安心だわ。ありがとう』

『引退した後すらカッケェのはお前だけだよ……やっぱすげーな、トキは』

『時枝先輩!素敵です!』


 体育祭の成功。先生や他の子達からもすごいと褒められて。なのに、こんなにも心は悲しみに満たされている。


 二人三脚が終わって本当にすぐのタイミングで、ライヌが届いた。渚からだ。


『一位になったよ!すごいでしょ。後でちゃんと褒めてね』


 俺はそのメッセージを見て、無言でスマホをポケットにしまった。いつもならすぐに返信をして褒めてあげるのに、今日はそれが出来なかった。


 そんなに自慢したかったのか?


 そもそも俺なんかに自慢して何になるんだよ?


 劣等感が、ずっと俺の胸を蝕み続けていた。俺がこんな気持ちだなんて、渚は知る由もないだろう。


 フラフラと一人教室に戻ってきて、涙が出そうになるのを堪えながら机にバン、と力いっぱい拳を叩きつけた。


 そして父に譲ってもらった黒縁眼鏡をガチャリと机に置いて、ふとそれを眺めた。


 ────

『人のために生き、人の記憶に残る人生こそ、本当に意味のあることだ』

 ────


 それを見る度に脳裏に蘇る、腐るほど聞いた父のその言葉。


 俺はその″鎖″に、拳を振り上げた。


 こんなものがあるせいで、俺は………!!!


 しかし、臆病な俺は結局それを壊すことが出来なかった。


「うぅ……。うう……」


 俺は机にガタンと座り、机に突っ伏してしばらく動くことが出来なかった。



 ------------------------------



 どれだけ私が素敵になれたら、ヒロは私に振り向いてくれるだろう?どうしたらヒロは、私を認めてくれるだろう?


『私じゃヒロに相応しくない』なんて、もう思いたくない。そんな自分は、もう嫌。


 それだけを考えて、努力し続けて。ヒロに私が必要って、言ってもらいたくて。そう言ってもらえるような、素敵な女の子になりたくて。ヒロの隣に居るに、きちんと相応しい女の子になりたくて。


 そして何よりも、誰よりも頑張るヒロにきちんと報われて欲しくて。


 その一心だった私は、二人三脚の結果を送ったライヌが返ってこないのが気になって、ヒロを探して校舎を走り回った。


 教室の戸の窓を覗くとヒロが居た。私はすぐに入ろうとしたけれど、持ち前の陰キャ洞察力によってそれを堪えてしばらく中を観察した。何だか様子が変だと思ったのだ。


 机に、拳を力いっぱい叩きつけるヒロ。


 そして黒縁眼鏡に向かって拳を振り上げるも、結局それを振り降ろせずに、苦しそうに呼吸をして机に突っ伏していた。


 ヒロ……?どうしたんだろう?


 こんな姿、初めて見た。ヒロがこんなに辛い思いをしているのに、私は気づいてあげられてなかったんだ。いつも話していたのに。


 私は戸を開けて、ヒロに声を掛けた。


「ヒロ………大丈夫?」

「……え?渚」


 ヒロは少し驚いたように目を見開いて私を見た。しかしすぐに、何事も起こっていないかのような顔をして私に笑いかけた。


 何だかその笑顔は、見ていて胸がズキンと痛むような痛々しい笑顔だった。


「大丈夫だよ。二人三脚、一位良かったね」

「そ、そんなことよりさ。ヒロ、なんで」

「俺忙しいから。もう行かなくちゃ」


 ヒロは早口で、どこか重たい口調でそう言った。そして少し俯いたまま立ち上がり、私の脇を通り過ぎてさっさと走り去ってしまった。


 体育祭が終わってからも家に帰ってからも、私はヒロに声をかけてあげられなかった。


 結局体育祭の結果、何年生の何のクラスが優勝したのかも既に記憶にない。私はずっとヒロの返信を待っていた。しかし夜になっても日を跨いでも、ライヌは返ってこないままだった。


 翌日は日曜日で学校が休みだった。私は疲れていたのでかなり長めに寝て、昼過ぎに起きてスマートホンをチェックした。


 既に最後のメッセージから一日が経って昼過ぎの時間にも関わらず、ヒロからの返信は来ていなかった。その事実を直視した時、私は立ち上がる事すら出来ないくらい心も身体も重たくなるのを感じた。


 対照的に、ヒロ以外の人間からのメッセージは大量に届いていた。


 ひより。母。その二人はともかくとして。


 その他大勢の、あの火災の日以降に連絡先を交換した学校の子達からも大量の連絡が届いていた。連絡先リストはとてつもなく増えていた。男子も女子も関係なく、私に様々な趣旨の連絡を送ってくる。


 何をそんなに私と話したいの?


 特に男は話しててつまんないし腹立つんだよなー。


 なんか会話が嚙み合わないし、どうでもいい自慢とか武勇伝を語ってくるし、下ネタ言ってくるし、自分が言った事次の日には覚えてないし。何を考えているのか全然分かんなくて。


 そんな風に思っているうちに完全に気持ちが沈みきった私は、それを誤魔化すかのように熱々のお風呂を沸かした。そして大勢の連絡を無視してお風呂に入り、顔まで沈めてぶくぶくと泡を吹いた。


 寂しい。寂しいよ。


 頭がおかしくなりそう。どうにかなってしまいそう。


 このまま今日も、何も返してくれないのかな。


 一日連絡が空いてるだけなのに、こんなに不安と寂しさが胸を渦巻くなんて。四肢が引き裂かれてもこんなに痛くないんじゃないの?きっと。


 こんな気持ち、経験した事ない。


 私は今にも大声を上げて泣いてしまいそうだった。


 私に言わないだけで、ヒロは本当は……何か悩んでたんだ。


 胸が苦しい。どうしてそんな風になるまで無茶をしちゃうの?私どころか、きっと誰にも相談も出来てないよね。ヒロが悩みを赤裸々に打ち明けるところなんて、正直想像出来ないし。


 何に悩んでるんだろう?


 どうして打ち明けてくれなかったんだろう?


 私はこんなにヒロの事で悩んでるっていうのに………。


 その時、お風呂場のすぐ傍に置いておいたスマートホンからライヌの通知が微かに聞こえた。私はその瞬間即座に浴槽から飛び出てスマートホンを確認し、目を見開いた。


 ヒロから返信だ……!


 他の友達や知り合いの沢山溜まりに溜まった通知を全部放置して、ヒロに真っ先に返信をした。そしてそれが済んでから、ほかの人達にも順々に返信を打っていく。


 まるで私は、水を得た魚みたいだった。


 そして私は生かしてもらっているだけなんだという事に気づいた。呼吸していたいんだ。生きていられる場所に居たいんだ。だって、生き物だもの。



 ……………………………………………………



 体育祭の日以降、何故かヒロは私と遊んでくれなくなった。それどころか、私以外の誰ともろくに話さなくなっていって。


 そして体育祭の時のような場面を、何度か目撃するようになった。一人教室に居残ったヒロが、いつも掛けている黒縁眼鏡を壊そうとして拳を振り上げる場面。


 あの眼鏡に何かあるのかな?


 どうにかヒロの秘密を掴まなくちゃ。


 そう思って、私はヒロを観察した。朝から晩まで、まるでストーカーのようにヒロの後をつけて後ろから観察した。


 だけど、どう観察してもヒロの悩みは分からなかった。分かったのは、ヒロが本当は吐き出したくて仕方が無い気持ちを隠すのがすごく上手という事だけだった。


 ヒロは悩みを私に打ち明けない気だ。それとなく悩みを話しやすいように場所を選んで雰囲気を作っても、ヒロは誤魔化しちゃうし。


 どうしてあげたらいいの?


 そもそも、私にしてあげられることはあるの?



 ……………………………………………………



 ある金曜日の放課後。ヒロはいつも通り「体調が悪いから」と言って誰からの誘いにも乗らず、どこか寂しい秋の帰り道を一人歩いていた。私はそんなヒロに走り寄って、呼び止めた。


 そして、勇気を出して提案をした。


 ゲームに誘ってくれたあの時のヒロみたいに、拳をぎゅっと握って。


「今日さ。ヒロのお家に寄っていい?」


 そう訊ねられたヒロは、私を見て目を見開きぽかんとした。


 巧みに聞き出した事で今日ヒロになんの予定も無いことも、家族が数日帰ってこないことも確認してある。


 以前アニメ鑑賞の話をする中でさり気なく、いつかお家に遊びに行きたいとさり気なく伝えた事があった。その時ヒロはにこりと笑っていいよと返してくれた。


 だから抵抗は無いはずだった。


 ヒロはしばらくぽかんとした後俯いて、珍しくなんだか歯切れの悪い口調でぽつぽつと話し出した。


「ご、ごめん。今日はちょっと」

「何で?今日は予定無いって言ってたよね?」

「ご飯作らないといけないからさ。自炊って意外と大変で」

「私、作ってあげる。お料理得意なんだよー?」

「あと、掃除と買い物も行かないと。洗濯物も溜まってて」

「やってあげようか?私家事も全部出来るんだから」

「いや。買い物、いっぱいあるから。あと洗濯物も家の中も汚いし」


 ああああああああ〜〜〜〜〜っ!!!もう!!何も考えず二つ返事でうん。よろしく。って言え~~~~~~~~~!!!


 このやろ〜〜〜!!ふざけんなよ!ってか、察せよ!そろそろ!どんだけ鈍感なんだこいつ。私が夜な夜などれだけおめーの事を心配して悩んでるかなんて知らねぇんだろうな!?そういう生命体だよ!おめーは!


 何でこんなに可愛い女が誘ってるのを断れるわけ!?信じらんないんですけど。買い物だろうが掃除だろうが洗濯だろうが、全部全部私がやってやるっつーの!!


 少しは私の気持ちを察せよこのクソ甲斐性なしが〜〜〜〜!!


 私は根性でどうにか笑顔を崩さない事には成功したけれど、いつ拳を地面に叩きつけて暴れ叫ぶか分からない程度には内心キレて、拳をぎりぎりと握りしめていた。


「ごめん。今日はどうしても早く帰って一人になりたいんだ。渚が家に来るのが嫌とかじゃない。だけどほんとに誰とももう喋りたくない」


 ヒロは力のない表情と声でそう言って、再び歩き出していってしまった。


 私は結局、そんなヒロを呼び止める事が出来ないまま立ち尽くした。構わず歩き続けるヒロはいつの間にか、見えなくなった。


 ヒロが見えなくなった道をしばらくぼーっと眺めて、私はある事を考えた。


 しかしこれを実行して失敗したら、もう二度とヒロとお話出来なくなるかもしれない。


 私は得るものと大きなリスクを天秤に掛けて。


 帰ることにした。


 私がいくら話を聞きたいと思ったって、ヒロに悩みを打ち明ける意思が無いなら無理に決まってんじゃん。


 また明日もチャンスがある。何焦ってるんだろ?私。焦って良い事なんか何にもない。


 そもそも善意が全て報われるなんて限らない。そんな世の摂理を無視したような事を実現出来るのはヒロだけ。ヒロは天使なの。


 また明日ね、ヒロ。



 ……………………………………………………



 私は家に帰ってきて、自分の部屋に入り冬服を取り出そうと押入れを開けた。しかし重たい段ボールを上手く持ち上げられず、中に入っていた冬服が音を立てて床に散らばってしまった。


 あーあ……と思いながら段ボールを部屋の端に置き、今年の冬に着る服を整理整頓しようとした時、真っ黒のフードパーカーが目に入った。


 私はそのパーカーを持ち上げて眺めた。それはたまに家でだけ着ていたものだった。何の柄も無いただ真っ黒のそれが、私はあんまり好きじゃなかったから。


 そしてそのパーカーの真っ黒は、見れば見る程に、ヒロという人間とは対照的なものに思えた。


 ……………………。


 天使。


 私は火事を目の当たりにして、酷い後悔に苛まれながら小さく体育座りしているしか出来なかったあの時を思い出した。


 ずっと独りぼっちと思い帰っていた私を、桜の木の下で一心に呼び止めてくれたヒロ。


 火事で焼け落ちる寸前の建物から、女の子を救い抱えて出てきたヒロ。あの日私は。


 私はその真っ黒のパーカーを着て、同じく柄の無い黒のズボンを探した。だけどズボンは見つからず、代わりに真っ黒のミニスカートが出てきた。そういえばこんなの持ってた……。


 それを履いて鏡を見ると、あまりにも短すぎるスカートを履いている自分が映っていて私は心臓を跳ねさせた。最近はメンズライクの服装が落ち着くからそればかり着ていて、慣れてない。


 だけど、ヒロの悩んでいる顔を思い浮かべたら気にならなくなった。ズボンを探そうかそこそこ考えたけど、やめた。


 ヒロは男の子だもん。スカートを履いていったら喜んでくれるよね?


 そして真っ黒のタイツと真っ黒のスニーカーを履いて、ヒロの家へ向かって走り出した。


 私はどうやら君のような天使にはなれないみたいなので、代わりに『悪魔』になってあげる。君から奪い去っていく悪魔。


 独りぼっちで一生暗い人生を送ると思ってずっと生きてきた。そんな私に、有り余って零れるくらいの幸せをくれた。出会ったあの日を忘れた事なんて、片時すらない。


 そんな君の傍に居られることが、私の幸せなの。


 かなり迷って考えたけど、他を妥協してもやっぱりそこだけは譲れない。


 ヒロの時間奪うね?ごめんなさいなんて言わないよ。私は悪魔だから。


 その代わり、肩の荷も辛さもしがらみも、全部全部私が奪ってあげる!!


 だって私は絶対にあなたを幸せにしなくちゃ気が済まない、悪い悪い悪魔なんだから!!!


 ……………

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