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45話 地下での遭遇

 ——時間は少し遡る。


 マルクは追われていた。


「なんでこうなるのかなああああ!」


 ドドドドドドド…………


 地響きを上げながら追いかけてくる大量のゴーレムに。


『マルクがもうすぐ門へ到着するぞ! このまま外へ駆け抜けるのかが先か! 捕まるのが先か! どうなんだあああ!?』


『しかし! このゴーレムの数は何なんだ!? 百はいるんじゃないだろうか!?』


『走れ! マルク! ゴールは目の前だ!』

 

「なんか言われてる気がするけど……助けてほしいかな!」


 僕は叫びながら走っていく。


 僕はわからなかったが、


 カレンは体から魔力を滲ませていた。


 そんなカレンは、


 肩でゴーレムたちに手招きをしている。


「カ、カレン!? なに手招きしてるの!?」


 カレンは僕の方を向いて首を傾けた。


 再びゴーレムの方を向いて手を振ったりしている。


「まさか! 呼んでるわけじゃないよね!?」


 走りながらだけど、カレンの行動が気になって仕方がない!


 門が見えてきた。


 門には鎧の人たちが集まっていた。


 僕は必死に叫んだ。


「どいてどいて~!!」


 通行していた人々や鎧を着た人たちが、


 慌てふためきながら道を開けた。


 僕は門を通過していく。


 門を過ぎたあたりでカレンが消えていた。


 しかし、止まれないので走り抜けていく。


『先に門を通過したのはマルクだあああ!』


『続いて大量のゴーレムが、周りに目もくれずに門を通過していくぞ!』


 凄まじい地響きを上げながら、すべてのゴーレムが門へとなだれ込んできた。

 

『街の様子はどうだ?』


 街にはゴーレムは見当たらない。


『戦えるものは念のために、街の様子を見てくれないか!』


『見たところマルクがすべてのゴーレムを連れ出したようだが!』


 実況のハナシダの声が街に響き渡る。


 この放送を聞いたコロシアムの選手たちや街の兵士たちは、


 手分けをして街へと駆け出していく。


 


 一方、エミリたちは——


 ゴーレムが出現した穴の中を進む私たち。


 頭の上にはカレンが座っている。


「先ほどの話だが、カレンは過去に存在した兵器らしいのだ」


 イルタ王子から衝撃の事実が語られる。


「カレンが……兵器?」


 私は聞き返した。


「先ほども言ったが、これは状況に応じて自らを進化させる機能が備わっているのだ」


 一呼吸置いて、イルタ王子は続けた。


「問題は、その機能に目を付けた王と、魔法省の男が戦争に使おうとしているのだ」


「なら、さっきのゴーレムたちが兵器と言う事になるわね」


 ミッチーは何か納得したようだ。


 私はちょっとわからないな。


「カレンは何で私たちをここに連れてきたんだろうね?」


 ゴーレムの機能とか言われてもわからないし、


 今の状況を確認することにした。


「おそらく地下研究所に通じているのかもな」


 イルタ王子が私の言葉に応えてくれた。


「よろしいのですか王子、このような者たちに話しても」


 兵士の一人がイルタ王子に口を挟んだ。


「かまわん。 今はこの状況を収めるのが先だ」


 王子様も大変だねー……。


 しばらく進んでいくと奥の方から微かに灯りが見えた。

 

「人の気配が……するよ」


 私は感じた事を言った。


「わかりますか?」


 ミッチーが確認してきた。


「うん。 二人……かな」


 私が言うと、


「ちょっと待ってくれ」


 私とミッチーが王子に振り向くと、


「あの灯りの場所までかなりの距離があるが、エミリは気配を感じ取れるのか?」


 イルタ王子が驚いた。


「……わかるよ」


 私が言うとミッチーが、


「あ……この子はこういう事に敏感なんですよ」


 少し慌てて答えていた。


「そ、そうなのか。 それは頼もしいな」


 なんか……イルタ王子の視線が……。


 ……がまん、がまん。


 ……できるかな。

 

 私は一つ疑問に思ったことを聞いてみた。


「……イルタ王子は……あれが兵器なら、なぜゴーレムに襲われていたんですか?」


 イルタ王子もそこは気にしていたみたいだ。


「あれが兵器と確信したのは街に入ってからだな。 マルクを追っていただろ?」


「うん」


「王都の外で襲ってきたのは、恐らく……私を亡き者にしようとしたのだろう」


「王子様なのに?」


 イルタ王子は一度頷いて、


「私と王の考えの違いだな……」


 イルタ王子はそこから黙ってしまった。


 灯りが近づいてくると、


 何やら言い争いみたいな声が聞こえてきた。

 

 私たちは耳を澄ました。


「貴様は……どうしてこの様な事をした!」


「王よ、私はこの国の発展のために技術を注ぎ込んでいるのですよ?」


「我の許可なくあの兵器を動かしたな」


「例のゴーレムが王都に入り込んでいる可能性に賭けたのですよ」


「王よこれをご覧ください」

 

 王様ともう一人の男の人が何か言い争ってるみたいだね。


「間違いない!我が父だ……それとあの男は魔法省の研究主任だったガスリィか」


「王子、ガスリィと言えば……」


「あぁ……文献を紐解いた奴だ」


 なにやら大変な事になってるんだ……


 考えるのは後にしよう。


 その時、イルタ王子が走り出して二人の前に姿を現した。


「父上!」


「ぬっ! 愚息がどうしてここに」


 怒りを露わにした王が、イルタ王子を睨んだ。


「これはこれはイルタ王子様、ご機嫌麗しゅう」


 ガスリィと言われた人は、気持ち悪い笑みを浮かべていた。


 私たちもイルタ王子の後を追って中に入っていった。


「イルタよ、お前にはアルナートの調査を命じていたはずだが」


「その調査対象がこの王都に来ているから戻って来たのですよ!」


「やはりここに居ましたか! では、この水晶盤に移っているのが、その冒険者ですね?」


 ガスリィが示したガラスに映し出されていたのは、


 ゴーレムたちに追われて走っているマルクの姿だった。


「マルク!」


 私は声を上げた。


「ほう、あなたは彼の仲間ですか?」


 ガスリィは笑みを更に深めた。


「王よ! この者を捕らえてこの冒険者に、例のゴーレムを差し出させるのはいかがでしょうか!」


「ふむ……面白いな。 できるか?」


「容易い事で」


 ガスリィは水晶をいじると、


「あの男を捕らえなさい!」


 マルクが映し出された水晶盤に向かって命令した。


 さらに壁から四体のゴーレムが現れた。


「無駄な事を……」


 イルタ王子が呟いた。


 ミッチーが私に耳打ちをしてきた。


(王やあのガスリィとかいうものは、カレンの事を知らないようですね)


 私は頷いて、カレンを胸当ての中にしまい込んだ。


(ちょっと我慢しててね)

 

 カタナを握って前に出ようとしたら、


 ミッチーが私の前に出た。


「ここは私が行きます」


「ミズナ、あのゴーレムは強いぞ」


 イルタ王子が心配そうにミズナ——ミッチーに言った。


「この子だと被害が大きくなりますよ」


 ミッチーは後ろを振り向かずにイルタ王子に言った。


「なら、我々も微力ながら手を貸しましょう!」


 騎士三人が剣を構えてゴーレムの前に立ち塞がった。


 ゴーレムを前に、


 ミッチーと騎士の間に、


 空気が張り詰める。


 その間に王とガスリィが、


「例のゴーレムの進化の力を手にすれば、王国はさらなる発展を遂げるでしょう!」


 ガスリィが興奮し両腕を広げながら言葉を発した。

 

 指を鳴らし、転移の魔導具が発動——


 シュン!


 その場から消え去った。


 消えた場所に、ゴーレムが立ち塞がる。


「こいつらを倒さないとだめ……というわけですか」


 ミッチーが言った瞬間、


 ゴーレムに距離を詰め、切りかかった。


 続いて騎士たちもゴーレムに切りかかっていった。


 


 ゴーレムの拳が掠める、


「……ちっ」


 懐に入り込み、

 

「はあぁぁぁ……!」

 

 ガガガガガッ……


 ミッチーの突きの連打。


 ゴーレムの胸が抉れ、核が砕けた。


 ゴーレムが崩れ落ちる。

 

「一体!」

 

「速い!」


 イルタ王子もミッチーの剣さばきに驚愕している。


 他の騎士も連携してゴーレムを一体倒していた。


 ミッチーは既に二体目に切りかかっていた。


 ゴーレムは腕を回転させながらミッチーに襲いかかっていく。


 ゴゴゴゴゴ……


 ミッチーは、華麗なステップでこれを回避、


 隙を見て間合いに入り込み、


 同じようにゴーレムを倒した。


「二体!」


 最後の一体も騎士たちによって倒されていた。


 王子?


 途中から私の方をずっと見ていたよ。


「ミッチーお疲れ様! 騎士の人たちも!」


 私はミッチーと騎士たちに笑顔を向けた。


 そんなやり取りを見ていた王子は、


「なんてことだ! 私は何をやっていたんだ!」


 私を見てから、一人悔しがっていたよ。


 なんなの……?


 ……王子、


 あなた何もやってないよ。

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