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44話 かんべんして!

 マルクとカレンはゴーレムに追われながら、


 人々が逃げまどう大通りに飛び出した。


「どうして街中にゴーレムが!?」


 僕を追って来たゴーレムが、


 戦えない街の人たちに襲いかかろうとした。


 カレンが僕の頭の上に立ち、光線を放つ。


 バシッ……


 ジュウウ……


 ゴーレムの胸に当たり、焼けるように溶けた。


 僕も吹き矢を取り出し、溶けた箇所へ撃ち込む。


 ガッ!


 強度があるのか、僕の吹き矢程度では歯が立たない。


「仕方ないな、使うか……」


 剣を抜いてダイヤルを小に合わせて、


 仕込み吹き矢を放った。


 バシッ!


 ズザザザ……


 効果があったようで、


 ゴーレムを押し戻し、胸には大きな亀裂が出来ていた。


「もう一段階あげるか」


 ダイヤルを中に合わせて狙いを定める。


(今だ!)


 吹いた——


 ボゥッ……


 初めて中を使ったが、


 火の玉みたいなのが飛んでいき、


 ゴーレムはその場で崩れ去っていく。

 

「これも絶対に人に向かってやったらダメなやつだ……」


「あ、ありがとうございます」


 襲われていた男性が礼を言って走り去っていった。


 しかし、あちらこちらで何かが破壊されていく音が聞こえてくる。


 「ほんと、王都って怖いな」


 などとボヤいていると地響きが段々とこちらに近づいてきた。


「……まさかだよね?」


 ドカンと壁が吹き飛び、ゴーレムが数体現れた。


「いやいやいや! 数が多いでしょ!」


 ここは人が多いので、僕は走り出した。


 そして、ゴーレムも地面を揺らしながら僕を追いかけ始めた。


「ちょっとまって! 走るの!?」


 僕の速度にゴーレムも合わせて走ってくる。


 あちこち走り回って、


 後ろを振り向くと、


 ゴーレム、無茶苦茶増えてるじゃん!?


「かんべんしてー!!」


 僕は叫びながら門へと急ぐ。

 


 ——その頃、門では、

 

 エミリとミッチーが話していた。


 そこへ先ほどの騎士たちが門をくぐってきた。


 その中の金ぴかの王子がエミリに気が付いた。


「君は先ほどの少女ではないか!」


 ミッチーはその顔を知っていた。


(ちょ! 金ぴかってイルタ王子の事だったの!?)


 ミッチーはエミリをちらりと見た。


 その顔はうつむいていたが、


 明らかに嫌そうな顔をしている。


 私は一歩前に出て、王子に話しかけた。


「イルタ王子とお見受けいたします」


「そうだが、君は?」


「私はミズナと申します。彼女とは同じパーティーを組んでいます」


「おお! そうか! 我々は彼女に救われた! 言わば命の恩人だ!」


 話の途中だが凄い地響きが、


 街の中からこちらへと向かってきていたのがわかった。


「どいてどいて~!!」


 必死に道を開けるように叫び、


 必死の形相で走ってくる人物。


「マルク!」


 エミリと私は同時に叫んだ。


「なに!? マルクだと」


 イルタ王子もマルクの名前に反応した。


 マルクの後ろには数えきれないほどのゴーレムが、


 マルクを追ってなだれ込むように走ってきた。


 騎士たちも他の人たちも門への道を開けた……というより避けた。


「うひゃああああ!!」


 変な叫び声を上げながら門をくぐるマルク。


 あとからものすごい数のゴーレムが追いかけて出ていく。


 ドドドドドドド……


「……マルクは何をやっているんですか」


 私には彼がどういう状況でこうなったのか、


 理解できなかった。


「い、今のがマルクという冒険者なのかい?」


 イルタ王子が聞いてきた。


「そうです。彼がどういたしましたか?」


「そ、そうだ! 彼を保護しなくては!」


 保護するという言葉に私は目を細めた。


「……どういう意味でしょうか」


 失礼だと思いますが聞いておかなければいけない。


 そんな気がしたのです。


「マルク君も危ないが、彼と一緒にいるゴーレムが狙われているんだ」


 イルタ王子は申し訳なさそうに話してくれた。


「どういう意味!?」


 エミリが焦るようにイルタ王子に詰め寄った。


「エミリ、落ち着いて」


 私は手でエミリを制した。


「君はエミリというのか、狙われているというのは……」


 イルタ王子が話始めようとした時に目を見開いて固まった。


 その視線の先はエミリの頭、


 そこにカレンがよじ登っていた。


「カレンちゃん! 無事だったんですか!」


 私は思わず大声で喜んでしまった……。


 「すまないその人形はなにか?」


 イルタ王子が聞いてきた。

 

 「先ほどイルタ王子が狙われていると言われたゴーレムです」


「なんと! そんなに小さい物であったか!」


 王子はカレンを見て驚いた。


「普通の人形……いや、小人にしか見えないな」


 カレンは地面に降りてエミリの足を引っ張った。


「わ、なにカレン?」


「どこかへ着いて来て欲しいのかな?」


 私が言うとカレンちゃんは頷いた。


「意思疎通もできるのか!?」


 イルタ王子はさらに驚いた。


「これが自律進化型自動人形なのか……」


 変な言葉が出てきました。


「自律進化型?何ですかそれは」


「そのゴーレムの事だよ。 自分で判断して必要なら進化すると記録に残っていた」


 私もエミリも目を見開いてカレンちゃんを見る。


 カレンちゃんはエミリの足を引っ張るのをやめて、


 ついて来いとジェスチャーをした。


「エミリ、カレンちゃんに着いていきましょう。 何か知っているのかも」


「私も同行しよう」


 私とエミリは振り返った。


「マルクは良いのですか?」


「マルク君には申し訳ないのだが、第一優先はそのカレンとか言うゴーレムだ」


「関わっている以上、君たちも関係者か……なら、移動しながら話そう」


 私とエミリは顔を見合わせ頷き、


 王子と三名の騎士を連れて、カレンを追っていく。


 カレンはゴーレムが出てきた穴へと入っていくのだった。

 



 時間は少し遡り、コロシアムでは。


 『ゴーレムは後一体だ! 三人とも頑張れ!』


 ディン、ライラ、フエルが連携してゴーレムを駆逐していった。


 観客は最高のゴーレム戦に沸いていた。


 実況のハナシダも空中で浮きながら実況していた——


 ふと街の方を見たハナシダが驚愕した。


『な……なんだ! 街が大変なことになっている!』


 あちらこちらから煙が上がり、


 逃げまどう人々を目にしたのだ。


 会場は、ハナシダの言葉で一気に静まり返ってしまった。


「おい! ハナシダ! 状況を話せ!」

 

 ディンが戦いながら叫んだ。


『わ、わかりました』


 ハナシダは魔道具の出力を少し上げてさらに上空へと飛び上がる。


『なんてことだ! ゴーレム! 凄い数のゴーレムが街を破壊しているぞ!』


『観客の皆さん! 今はここを動かない方がいい!』


『表はパニック状態だ!』


 ハナシダの状況報告を聞いてディンは、


「速攻でこいつを沈める!」


「いくわよ!」


「舐めないでね!」


 会場のゴーレムは瞬く間に討伐された。


 しかし、歓声などは上がらなかった。


 今は街の方が心配なのだろう。


『おや? ゴーレムの動きがおかしくなったぞ? これは一体』


『私は上空から見たことを伝えます! 会場の外へ私の声が伝わるようにしてください!』


 これを聞いた職員が街中に設置された拡声魔道具に伝わるように設定した。


『ゴーレムの動きは一点に集まっています!』


『その先には……誰かが追われています! 大量のゴーレムに追われています!』


「誰だよそんな奇特なやつは」


「ほんと運がないというか……」


 ディンとライラはその奇特な冒険者を哀れに思った。


『遠見の筒で確認してみます!』


『……あれは』


『あ! あれは第一試合で惜しくも負けてしまったマルク選手だああああ!』


「「ぶっ!」」


 ディンとライラは同時に噴出してしまった。


「あいつは何をやってんだ!?」


「マルク君大丈夫かな」


「マルクって吹き矢の子よね?」


「あぁそうだ」


 ディンとライラはフエルにマルクの事を話した。


『ゴーレムを引きつれたマルク選手は……街中をジグザグに走りながら』


『街中のゴーレムが彼一人を追い始めた!』


『ま! まさか彼は自分を囮にしてゴーレムを集めているのか!?」


『私は応援するぞ! 頑張れ、マルク!』


 この言葉を皮切りに、


 会場はマルクコールが響き渡った。

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