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43話 地下の陰謀

 王は玉座で一冊の古びた書物に目を通していた。


 その書物には古代に存在した技術、


 自律進化型自動人形という項目が記されていた。


 調べさせた結果、かつてのゴーレムに施した技術であることが判明したのだった。


 アルナートダンジョンで、隠されたゴーレムダンジョン。


 小さいゴーレムを連れた冒険者。


 ドラボテでは人形を連れた冒険者。


 ギルドからの報告で、どちらも同一人物と判明。


「間違いない……進化しているのだな」


 王は口元を吊り上げた。


 (この進化の技術を手にすれば、我が王国は不動のものとなる!)


 (いずれ我の前に現れるだろう)


 そんな王の思考を邪魔するかのように扉が開かれた。


 バンッ!


「大変であります! マグノーテ王よ!」


 兵士が慌てた様子で玉座の間に入ってきた。

 

「何事だ!」


 側近の男がいきなり入ってきた兵士を怒鳴りつける。


「し、失礼いたしました! ですが街にゴーレムの群れが突然現れたとの報告が!」


 王の目元がピクリと動いた。


「なにをバカなことを言っている!」


 側近の男は怒鳴りながら王を見た。


「……続けよ」


 兵士は王の言葉で続きを話し始めた。


「コロシアムや近隣に多数のゴーレムが出現したとの報告が上がっております」

 

「コロシアムは大会中なので、選手たちが対応しているようであります」


「しかし、近隣には兵士たちでは対応しきれない模様であります」


「至急騎士団を出動させてください!」


 その言葉を聞いた側近は、


「王よ……」


 王は心の中であの男に怒りを覚えた。


(あやつは何をしているのだ! これでは我の、長年の計画が!)


「……任せる。我は席を外す」


「はっ」


 玉座を離れた王に、


 側近の男は一礼だけした。



 

 王都近くの平原で、イルタ王子率いる一団は、


 ゴーレムの集団と交戦していた。

 

「王子! このゴーレムは普通ではありません!」


「切り付けても回復していきます! 魔法もダメです!」


 兵士たちの報告に焦るが、


「弱音を吐くな! ここを切り抜けなければ、我らに勝利はない!」


「お前たちにも守るべきものがあるはず! 戦え!」


 四十名はいる第四騎士団だが、


 五十体のゴーレムに苦戦を強いられていた。


 王都の城門はすぐそこ。


 出入りをしているはずの人々の姿は、今はない。


 魔導具による範囲攻撃。


 ドオオオン!


 地面を焦がし、


 普通なら消し飛ぶ威力なのだが、


 ゴーレムの皮膚らしいものは瞬時に繋がり、


 焦げたところも元に戻っていった。


 ゴーレムたちは何事もなかったように襲いかかってきた。


 ガッ!


 騎士が一人弾き飛ばされた。


 それを皮切りにまた一人、


 ズザザザ……


 次々に倒され始める騎士たち。


 数で押し潰すように、ゴーレムの攻撃は止まない。


 二体のゴーレムがイルタ王子に狙いを定めて襲いかかる。


「……くっ!ここまでか」


 ガッ!


 剣でゴーレムの攻撃を防いだが、


 もう一体が襲いかかってくる。


 ——その時、攻撃してきたゴーレムがその場で崩れ去った。


 次に王子に攻撃してきたゴーレムも目の前で倒れていった。


 倒れたゴーレムの先には、


 カタナを振り下ろした一人の少女が立っていた。


 少女とイルタ王子の目が合った。


 少女は翻り、ゴーレムの中に飛び込んでいった。


 その剣は美しく、迷いがなかった。


 ゴーレムの攻撃をわずかな動きで躱し、


 無駄のない動きで懐に入り——斬る。


 襲いかかるゴーレムに、少女は飛び上がり、


 空中からゴーレムを切り刻んで着地する。


 イルタ王子も騎士団たちも、少女の動きに目を見張った。


「少女一人があれだけ戦っているんだ! 我々も休んでなんかいられないぞ!」


 イルタ王子の掛け声に、


 騎士団も再起してゴーレムに挑んでいった。


 戦場は少女の独壇場となっていた。


 ——その動きは、


 蝶のように舞い、蜂のように刺す。

 

 この時、イルタ王子は目も心も少女に奪われていた。


 騎士団は勝利に沸いた。


 イルタ王子は少女に近づき礼を言おうとした——が、


「お……お怪我とか……えと、だ、大丈夫でしょうか……」


 少女は目を合わせず、おどおどしながら小声で話しかけてきた。


「貴女のおかげで助かりました。貴女は我々の命の恩人だ」


「……い、いえ……そ、そんなことは……」


「私はイルタ、この国の王子だ。貴女のお名前を伺っても……」


 続けて言おうとしたら、


 少女はものすごい勢いで王都へ走り去っていった。


「な……」


 呆然とするイルタ王子であった。


 

「あぁー……最悪だよー! ミッチーどこ行ったのよ!」


 走りながらエミリがぼやいていた。


「外に面白そうなの居たからやっつけに行ったら、金ぴかいるんだもん!」

 

 エミリは嫌なSランクの男を思い出し、


 泣きそうになりながら門へ戻っていくエミリだった。


 

 

 ミッチーは城壁の上から、ゴーレムが出てきた場所を確認していた。


「あんな所から出て来たんですか……下水とは違うところのようですが」


 そんな時、門に向かって凄い速度で走ってくるエミリを見つけた。


「エミリはなんで外にいるんですか?」


 急いで下に降りていくミッチー。


 街中にゴーレムが現れ、手薄になっている門。


 有事の際は門が閉まるのだが、今回は中から異変が起きたため、


 閉めるに閉められない状況となっている。


「エミリ!」


 なんとかエミリが入ってくる前に門へたどり着いた。


 エミリは呼ばれたことに気がつき、


 こちらに向かって来た。

 

「ミッチー! 探したよ!」


 いや、私は外には出ていませんが……


「エミリはなんで外から?」


「いや……えーと……」


 目を泳がせながら言葉を出そうとしているエミリに、


「はっきり答えなさい!」

 

 ちょっと強めに言った。


「はい! 面白そうなモンスターが群れていたので、一狩り行ってきました!」


 この子は……


「はぁ……」


「でも、人が襲われていたから問題ないよ……ね?」


 今はそれどころではないので後にしましょう。


「襲われていた人は?」


「みんな騎士だったよ」


「騎士ですか……」


 面倒ごとにならなければいいですが。


「金ぴかの人も居たよ……」


 騎士といた金ぴか……


 あぁ、多分、位の高い人ですね。


 空を見上げ、ため息をつくミズナだった。




 コロシアムでは未だゴーレムと戦っている三人が居た。


『ディン選手が加わって三対三だが、厳しい戦いだ! フエル選手の魔法もあまり効いていないようだ!』


 「ライラ! 一体注意を引いてくれ!」


「わかった!」


「フエルは魔力を練っていてくれ!」


「指図しないで!」


 などと言っているが、意外にまとまっている三人だった。


 ライラが一体注意を引き、


 ディンが二体を離す。


 ガッ!


 ライラがゴーレムの攻撃をかわしながら胸に傷を負わせる。


 それを見たディンが、意識を集中させ、


 内側から力が溢れ出るのを感じながら地面を蹴って走り出した。


 (いつもより速い! 昨日エミリが言っていたやつか!?)


 ズガッ!

 

 ライラが付けた傷に大剣をねじ込み、


 フエルに合図した。


「今だ魔法を!」


「言われなくても! サンダーランス!!」


 バリバリバリ……!

 

 ディンの大剣がねじ込まれた部分に魔法が直撃。


 黒煙を上げながら、ゴーレムは内部から崩壊した。


『やりましたああああ! ついに一体のゴーレムを撃破だ!』


『それにしても先ほどのディン選手の動きはなんだ? 凄い加速をしていたぞ!』


 歓声が上がる。


「すげー!」


「試合より見ごたえあるぞ!」


 観客は口々に称えた。


「あと二体だ! 同じ要領で行くぞ!」


「わかった!」


「仕方ないから手伝うわよ!」


「それでいい!」


 ディンたちはにやりと笑い、次のゴーレムに切りかかった。


 

 

 城の地下では、王と男が暗闇で対峙していた。


「貴様…………何をした」


 王は怒っていた。


「マグノーテ王よ、すでに例のゴーレムは我らの手の中も同然ですよ」

 

 男はニヤニヤしながら続けた。


「今動かなければいつ動くのですか! あの技術が手に入ればすべては思いのままですぞ!」


「それにあれは、騎士団にとって代わるもの、文句や不満も言わない——ね」


「目指すは大陸制覇、その夢が、技術がそこにあるのですよ!」


 男は両腕を広げて高らかに言った。

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