表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/50

40話 なんか変だよ!

 王都より早馬が戻ってきた。


「王子! ご報告です!」


 息を切らしながら騎士が王子の前に跪いた。


「どうした」


「は! マルクはすでに王都の中にいる模様!」


「確かなのか!?」


「門兵に確認を致しました!」

「護衛依頼中で王都に来たのを、通過させたという者からの証言です!」

「護衛対象は、あの噂のスピード狂の馬車だとか」


「……わかった」


 王子は内心焦っていた。


 よりにもよって、すでに王都内にいる事だ。


 わずかに息を呑み——


 立ち上がり部屋にいる団長、副団長に命令を下した。


「われわれも王都に向かう!」


「あの愚王より先に、マルクとゴーレムを確保するのだ!」


「はっ!」


「行くぞ!」


 アルナートに滞在していた王子、並びに兵士たちは、


 王都に向け、すぐに移動を開始した。


 それを見ていたギルドマスターも、元部下の事を心配した。


「マルク……あいつのパーティーに入ったミズナもえらい事に巻き込まれたな」


 ギルドマスターは、王都の方角をただ見つめることしかできなかった。


 

 その王都のコロシアムでは、


 ざわめく人ごみの中。


 コロシアム前に、対戦表が張り出されていた。


 一日目


 第一試合 

 重騎士ディン 対 剣士マルク


 第二試合 

 軽戦士フーリー 対 剣士ライン


 第三試合 

 魔剣士ラルコット 対 魔法使いフエル


 第四試合 

 剣士ライラ 対 戦士キル

 

 

 食後の僕は、対戦表を眺めていた。


「第一試合かー……心の準備が」


「お、張り出されたか」


「ディンさんとライラさん」


 先ほど二人に食事を奢ってもらった。


「マルクとか……おもしろい」


「僕は……恐ろしい」


「なんだなんだ! シャキッとしろ!」


「マルク君は予選みたいにやればいいんだよ! 落ち着いてね」


 そうだよな……しっかりしないと、


 二人に悪いよな。


「よし、僕も頑張って挑みますよ!」


「その意気だ! マルク!」


「なら! 飯食うか!」


「……さっき食べましたよね?」


 ディンさん、まだ食べるの?


「ディンじいちゃん、さっきご飯食べたでしょ?」


「ライラ! 人をじじい呼ばわりするな!」


「言ってることが、ぼけちゃった爺さんみたいなんだもん」


「ぬぐっ……」


「ディンじいちゃん♡」


「ライラ、覚えていろよ……」


 僕は何も言わないでおこう。


「マルクー!」


 遠くから僕を呼ぶ声が聞こえてきた。


「マルクー!」


 その声はエミリだった。


 僕は手を振って応えた。


「マルク! ……なんか……変!」


 いつになく真剣な眼差しで、


「いきなり失礼だな」


「違う! ……違わないけど、違うの!」


 否定はしないんだ……ちょっと傷つくよ。


「で、なにが変なの?」


 それでも一応聞いてみることにする。

 

「まってー! エミリー!」


 遅れてミッチーが駆けつけて来た。


「どうしていきなり走り出したんですか?」


 肩で息をしながらエミリを追って来たらしい。


「ミッチーは気が付かなかった?」


「……なにも、人が多いくらいにしか」


「お前らどうしたんだ?」


「ミッチーこの子、何慌ててんの?」


 ライラさんにミッチー呼びが定着している。


「エミリ、落ち着いて最初から」


「城の方からモンスターの気配がするんだよ……とても嫌な気配が」


「は?モンスターだ?」


「そうよ、あそこは王都の中心。モンスターなんかいないわよ」


「エミリ、それは本当ですか?」


 ミッチーが真顔になり、エミリに確認をした。


 エミリは頷いた。


 ミッチーは一度ため息をついてから、みんなを見渡した。


「まず、これだけは言っておきます」


 真面目な顔で話し始めた。


 ディンさんもライラさんも黙って聞き始めた。


「エミリの索敵能力は私も認めています」


「お前がそこまで言うのか」


「ミズナのお墨付きなのね」


「……ミズナがそこまで言うなら本物だな」


 ディンさんとライラさんはミッチーを信じている。

 

「はい、以前初心者の護衛をやってもらったときに」

「壁の裏に潜んでいたモンスターを切り飛ばしていましたから」

「私たちに気づかれないようにですよ」


 ミッチーの説明は、


 二人には信じられないような内容だったらしい。


「それ、本当か?」


「後日、ダンジョン調査で判明したことです」


 二人はゴクリと、唾を飲み込んでいた。


「エミリ、詳しい場所とかは分かりますか?」


「なんとなくなら」


 エミリは言葉を発しながら、城の下を指さした。


「城か?」


「城にモンスターが沸いたのかしら」


「違うと思うの、動いていないの」


 エミリも不思議そうに首を傾げた。


 ディンさんもエミリの話に何かを感じ取ったようだった。


 ライラさんも気になりだしたようだ。

 

 ディンさんが考え込んでから、


「今は情報が少なすぎるな」

「城だと手出しできねー」


「そうね、試合も始まるし……」

「お城に潜入なんてした日にはもう……」


 ライラは右手を首まで持っていき、


 握った手の親指を下に、左から右へゆっくりと動かした。


「……こうなるわね」


 ライラさんの仕草に僕は、震えた。


「ならこうしましょう」


 ミッチーが案を出してきた。


「私とエミリが街の中で、異変がないか調査します」


「ミズナよ、無理はするなよ」


「わかってます」


「俺達もそれとなく調べてみるか」

 

「私もそれでいいよ」


 ライラさんも同意した。

 

 そして、みんなが僕の方を見た。


 さすがに宿に帰って寝てますとは言えない……。


「……僕もそれで」


「はい、決まりました」

「エミリもそれでいいわよね?」


「うん、それでいこう」


 モンスターの居る城、


 一体どうなってるんだ?


 大会無事に終わるの?


 僕の賞金は貰えるの?


 「そういえばカレンはどうしたの?」


 僕がエミリに聞くと、


「あれ? 頭にしがみ付いていたはずなんだけど」

「ミッチー、知らない?」


 カレンが居ないと気付いた瞬間、


 ミッチーがカレンの名前を呼びながら、走り去っていった。

 

「カレンちゃああああああああん! どこですかああああああ?」


 ディンさんとライラさんの目が点になっちゃったよ……、



 ——その頃、王都の地下では。

 

 微かな明かりの中、

 

 城の地下で異様なモノたちが動かずに……


 広間にずらりと並んで、その時を待っているようだ。


「調子はどうだ?」


「問題はありません。制御も魔法も問題無しです」

 

「しかし、改めてみると醜いやつらだな……」


「そんな事言わないでくださいよ、隊長」


「我が王国の兵器の試作なんですから」


「……兵器ね——我ら、鍛えた兵士たちの方がよほど兵器だろうよ」


 隊長と呼ばれた人物は、ふんっと鼻を鳴らして部屋を出ていった。


「まったく……理解もできない馬鹿は困るよ」


 男は広間にいるモノたちを見ながら不敵な笑いを浮かべていた。


「しかし、王も面白い事を考えるお方だ」


「この技術を使えば、大陸を支配するのも容易い」


「……いずれはこの国を我が物にするのも面白いかもしれんな」


「あははははは!」


 男の笑い声を聞いているモノは居なかった……


 笑い声は石壁に反響して響いていた。


「問題があるとすれば、あいつだ……この国の王子であるイルタ……」


「あいつは早めに始末しておかないとな」


「イルタ王子は王都に入ることすら出来ず、朽ちてもらいましょうか」

 

 男はにたりと嫌らしい笑みを浮かべ……


 暗闇に消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ