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35話 食べたら丸くなる!

 朝から僕は、夜中の騒動で壊れた屋根の修理をしていた。

 

「夜中の猫のせいで、えらい目にあったよ……」


 カレンも頷きながら、小さな体で板を運んできて、僕に渡してくれる。


 トントントン……


「マルクー!おはよー!」


 いつものようにエミリがきた。


 後ろにはミッチーもいた。


「二人ともおはよう」


 僕は作業を一旦止めて、下に降りていく。


 二人の所へ行くと、元気なエミリとは対照的に、


 疲れきったミッチーがいた。


「ミッチーどうしたの? ずいぶんと疲れてるみたいだけど……」


「私も分からないのですが、朝起きてからこの調子なんです」


「昨日の戦いが影響してるのかな?」


 エミリが昨日の戦闘を思い出していた。


「そういえばカレンはどう? 治ったの?」


「今回はまだ変化ないね」


「そうなんだ」


「カレンは治るの?」


 カレンは首を傾げてから横に振った。


 わからないのかな?


「それより今日はどうしたの?」


「マルク、依頼受けようよ」


「え、昨日のあれだけの事あったのに?」


「……暇」


「ミッチーはいいの?」


「私はかまいませんよ」


「なら、二人で見てきてよ。 僕は家の修理をしないと」


 ミッチーが気になったのか、上を見ながら聞いてきた。


「大きい穴が開いてますね。 なにかあったのですか?」


「夜中にね、のら猫が屋根裏に入り込んでたみたいだったんだよ」


「のら猫ですか? 随分と大きな穴に見えますが……」


「そうかな? 逃げるとき“にゃああああああ”っていいながら落ちたし」


「わかった、マルクは家直してなよ」

「私とミッチーでギルド行ってくる!」


 ぐいっ、とミッチーの腕を引っ張る。


「え?ちょっとエミリ?」


 エミリ、よっぽど暇なんだね。


 ミッチーを連れてギルドに向かって行っちゃったよ。


 エミリ、前はミッチーの事苦手みたいだったけど、


 仲間になってから僕と同じように、普通に話すようになったね。

 

 カレン、僕たちも早く治して二人の所に行こう。


 カレンも頷き、家の修理を再開した。


 トン トン トトン


 朝から木を打ち付ける音が、僕の家から響いていた。


「あ、そうだ!」

「ギルド行く前に、ゲンさんの所に行こう」


 カレンが首を傾げる。


「装備洗ったはいいけど燃えたから見てもらおう」


 カレンは自分の着ている装備を見て、頷いた。


 トン トン カン!


「よし!こんなもんだろう!」


 額の汗を拭って、穴を塞いだ所を見直した。


「じゃ、行こうか」


 カレンが肩に飛び乗り、僕は一階まで降りて行く。


「戸締まりよし」


 僕とカレンは鍛冶屋のゲンさんの所へ向かった。


 ―― 鍛冶屋 ――


「ゲンさんいる?」


 扉を開けてゲンさんを呼んでみる。


「誰じゃい?」

「なんだ、マル坊か」


「ゲンさん、悪いけどこれ見てやってくれるかな?」


「ちっこい奴の装備か……随分と焼けてるのぉ」


「昨日の戦闘で焼かれたんだよ」


「ちっこいのは無事じゃったか?」


「ここに……あれ? カレンどこ行った?」


 いつの間にか、カレンが肩から居なくなっていた。


「おかしいな」


 ガタッ……


 ゴソッ……


 ガラクタが置かれている所から音が聞こえてきた。


「ガラクタの所から聞こえるの」


 ムチッ……


 バリッ……


 クチャ クチャ……


 ――まさか。


 僕はガラクタをどかしてみると、


 そこには皮素材の切れ端を食べているカレンがいた。


「マル坊……随分見た目が変わったのぉ」

「……最近のゴーレムは皮食ったりするのか?」


「他はどうか知らないけど、カレンは食事するよ……」


「カレンは何食べてるんだい?」


 僕はカレンに聞いてみた。


 するとカレンは、赤い皮のよう鱗を見せてくれた。


「ゲンさん、これは?」


「これは……三年前にお前とエミリの嬢ちゃんが持ち込んだトビトカゲじゃな」


 暫くカレンの食事を見ていたが、


 ゲンさんは飽きたのか、


 カレンの装備のメンテナンスを始めた。


 カレンは2枚目の鱗を食べ出したていた。


「よし、装備の方は問題なしじゃ」


 メンテナンスが終わったらしい。


 カレンも食事?が終わったみたいで、


 お腹をポンポン叩いていた。


 石の体の、どこに入ったんだ?


「ちっこいの、着てみろ」


 ゲンさんがカレンを呼んだか動かない。


 カレンは足を抱えて丸くなった。


「どうした?」


「なんか、丸くなってます」


 カレンの状態を言って、


 視線をゲンさんに移した。


「仕方ないのぅ」


「後でもいいかな?」


「そうじゃな」


 再びカレンに視線を戻すと、


 そこには丸い物体があるだけだった。


「あれ? カレンどこ行ったんだ?」


「どうしたんじゃ?」


「カレンが居なくなって、変わりに丸いものが……」


 僕が言うと、ゲンさんも見にきた。


「なんじゃ?これは……まさかと思うがちっこいのか?」


「え? これカレンなの?」


「普通に考えればそうじゃろ」


「普通……?」


 僕は気になるので見ていることにした。


 どれくらいの時間が経ったが分からないけど、


 変化が訪れた。


 丸い玉が萎みだしていく。


 徐々に人型になり、


 軽く震え出していた。


 頭から緑色の髪の毛が目に見えて生えていく。


「な……なんか、すごい光景だな」


「すごいの!」


 いつの間にかゲンも見ていた。


 髪の毛が生えて、


 体にも肉が付いた。


 カレンの体は震えを止めて、


 立ち上がって延びをし出した。


「……カレンなの?」


 尋ねてると、


 カレンは僕の方を見て頷いた。


 僕は、カレンの顔が少しだけ違っていたことに気がついた。


「あ、目が開いてる」


 そう、カレンは今まで目を閉じていたんだけど、


 今は開いている。


 変なん光も出していない。


「カレンの目……すごく……」


 僕は感想を言った。


 瞳の瞳孔が、縦に長い。


「トカゲみたい」


 僕の言葉がショックだったのか、


 うなだれてしまった。


「ご、ごめん!悪気は無いんだよ!」


 僕はカレンに謝った。

 

「カレンはもう、動いて大丈夫なの?」


 カレンは屈伸したり手足を広げたりして、


 体の確認をしていた。


 僕の方に向き直り、うなずいて見せた。


「もう、大丈夫みたいだ」


「すごいもんを拝ませてもらったわい」


 わははと笑いながらカレンの装備を持ってきた。


「ほれ、着てみぃ」


 カレンは装備を受け取り、


 装備し、ゲンさんにお辞儀をした。


「いいってことよ!珍しいもん見せてもらった礼じゃ」


「ゲンさん、ありがとう」


「マル坊は別じゃ」


「はい?」


「お前はまだ、代金払ってないじゃろ?」


「?」


 思い当たる節がない……何だろう。


「この前も言ったじゃろ! 剣の代金じゃ!」


「あれってくれたんじゃないの?」


「ばかもん! 誰がただで作るか!」

「ほれ、請求書入っていたじゃろ」


「なんか入ってたね! 保証書でしょ?」


「バカたれ!」


 何度も難度もバカ扱いされたよ?


 なんで?


「仕方ないの……どうせ金なんか持ってないじゃろ」

「分割でもいいから払えよ」


 僕は皮袋から、紙を出して眺めていた。


「それじゃそれ!」

「金10000000、その剣の製作費じゃ」

「素材代は無いから安心しろ」


「……安心出来る金額じゃないじゃん」


 僕が鍛冶屋を出ようとしたらゲンさんからひと言。


「どうしようもなくなったらダイヤルのカバーを外せ……」


 それだけ言って、奥に引っ込んでしまった。


 そんな事より、僕は借金持ちになっていたらしい……。


 僕はカレンを連れてギルドに向かう。


 道中、カレンは僕の頭を撫でて慰めてくれた。



 ギルドに着いたら、丁度エミリとミッチーが出て来た。


「あ、マルク」


「二人とも……」


「元気がないようですね」


 少し顔色が良くなったミッチーが心配してくれる。


「そう……僕は元気が無くなってしまったんです」


 話を聞いてくれるのかなー?


 と思っていたら、


 二人の興味は既に僕にはなく、


 肩に乗っているカレンに向いていた。


 カレンは何かを察したのかエミリの頭の上に移動していた。


 ガシッ!


 ミッチーの手が、僕の両肩をがっしりと掴んできた。

 

「ちょっと、マルク!これはどういうことですか!?」


 そして、激しく揺らしてきた。


「うあああ……ゆううらああさああなああいいいどぅええ」


「ミッチー、そんなに揺らしてるとマルク喋れないよ?」


「は!私としたことが……失礼しました」


 ミッチーのハンドシェイクから解放された僕は、


 通りを歩いていた人にぶつかった。


「ご、ごめんなさい」


「いえ……あなたこそ大丈夫ですか?フラついていますが」


 見たところ、教会のシスターらしい……が、


 どこかで見たことのある顔だ。


「大丈夫、です」


 シスターは、僕が大丈夫と言うと、エミリとミッチーを見た。


 そして、エミリの頭の上にいるカレンに視線を向けた。


 すると、シスターの顔色がすごい勢いで青ざめて、


 悲鳴を上げながら、協会へ走り去っていった。


 (ににに、人形……化け物!隣にいいい、いたのも、よよよ夜の……ににに似ている化け物!)


 見習いシスターは教会の神像の前でブツブツ言いながら、


 手を合わせているのだった。

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