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33話 夜の影!

 村に戻った僕たちは、村の中央の広場に集まっていた。


「みんな、よくやってくれた!」


 ギルドマスターから賛辞を受け取った。


「この周辺を荒らしていた奴も討伐できた!これ以上の事はないだろう!」


 周りには怪我はしているが問題はなさそうな冒険者たちで賑わっていた。


「村人たちが戻ってきたら、今日はお祝いだ!」

「ギルドからのおごりだ!盛大にやろうじゃないか!」


 ギルドマスターからの言葉に、


 冒険者たちやギルド職員が喜びながら準備を始めだした。

 

 村人たちも戻って来た。


 村長とギルドマスターの話し声が聞こえた。


「なんだと!?避難場所の広場と森がえぐれていただと!?」


「なにか別のモンスターとか現れたんじゃないか?」


 ギルドマスターが腕を組みながら何かを考えていた。


 ギルドマスターの顔が一瞬、僕を見た。


 そして手招きをした。


 なんか嫌な予感しかしない。


 これ、……僕が怒られる奴だ。


「マルク、お前何かやっただろ」


「マル坊が?」


 ギルドマスターの言葉に村長は不思議そうに僕の顔を見た。


「……なんのことですか?」


「えぐれるような威力をな……俺は、いや、俺たちは見ているんだよ」


 え?


 僕何かしたっけ?


「あ、それならマルクさんがやった奴ですね」


 ミズナさんがカレンを抱きながら、話に入って来た。


「え?僕なにかしましたっけ?」


「あれですよ。ほら……剣の試し撃ち」


 少し考えた……


「あ! 思い出した!そういえばやったね」


 僕の言葉にギルドマスターが、


「やっぱりお前じゃないかあああああ!」


 怒鳴り、呆れた。


「なんじゃいマル坊、説教食らっとるのか?」


 笑いながらゲンさんが現れた。


「ちょ! もとはと言えばゲンさんが、こんなトンでも武器を作ったのが原因じゃんか!」


「なんの事じゃ? 使ったのはお前じゃ、マル坊」


 このクソジジィ!

 

「なんだ、ゲンも関わっていたのかよ……」

「いつも言ってるだろ、試すときは村長である俺に言えと」


 なになに?ゲンさんいつもやらかしてるのか?


 僕はニヤニヤしながらゲンさんを見てやった!


「な! なにを言っとる! 儂はな! 使い勝手のいいのしか作らんわい!」

「だから言う必要なしじゃ!」


「原因はマルクと、鍛冶屋のゲンさんで間違いなさそうだな、村長」


 ギルドマスターが疲れた顔をして村長に向き直った。


「だな、まったく人騒がせな」


 ぶつぶつ文句言いながら村長とギルドマスターがこの場を離れていった。


「でじゃ、マル坊よ。 どうじゃった?」


「ゲンさん……」


 ゲンさんが僕に期待を込めた視線を送ってくる。


「なんじゃ、役に立たんかったかの?」


「……いえ、たちましたよ」


 ちょっと悔しいが凄く助かったのは間違いない。


「でも、これは普段使えないよ……」


「なら設定を弱にすればよかろう」


「……問題そこ?」


「素晴らしいじゃろ!久々のヒット作じゃ!」


 この人、絶対に懲りてないよな。

 

 

 日も暮れだして、広場では宴が始まっていた。


 村人や冒険者たちは、料理や話に盛り上がっていた。


 笑い声があちらこちらで聞こえてくる。

 

 そんな賑やかな広場の端で僕たちはテーブルに座りながら食事を始めようとしていた。


「みんな今日はお疲れ様だよ!」


「うん、お疲れさまー」


「お疲れ様です」


 カレンもテーブルの上に座って首を縦に振っていた。


「そうだミッチー!」


「ミッチー?」


「どなたですか?」


「ミッチーはミッチーだよ!」


 エミリはミズナさんを指さしていた。


「わ、私の事ですか?」


「うん。 なんかさ、ずっとミズナさんて言ってたけどさ」

「仲間になったんだからいいかなって?……ダメかな」


 ミズナさんは赤面しながら、コップに入ったジュースを一口飲んで、


「なんか嬉しいですね」


「じゃ!いいのね!」

 

 照れながらも頷いたミズナさん。


「マルクも今度からミッチーって言うんだよ!」


「え?僕も?」


「当り前だよ!」


 僕もなんだかちょっと恥ずかしいけど頷いておく。


「なら、僕たちの事もさん付け無しでお願いします」


「わ、わかりました……」

「マ、マルク」

「エミリ」


 言って直ぐにジュースを口に含むミッチーであった。


 「あ、カレンお肉食べる?」


 僕は思い出して、カレンに聞いた。


 カレンは激しく、何度も頷く。


「ははは、じゃいっぱい持ってくるよ。二人はここで待ってて」


「わかった、待ってるよ」


「私も手伝いますよ」


「ミッチーはカレンと一緒に座っててよ」


 僕はお肉を求めて、広場に向かって走って行った。


「マルクさ……いえ、マルクに気を使わせてしまいましたか?」


「そんなことないと思うよ?」


「そうですか」


 ミッチーはカレンの姿を見て少し悲しくなっていた。


「エミリ、カレンは本当にもとに戻るのでしょうか」


「ん?戻るんじゃない?もともと髪の毛や服なんかはマルクが作ってあげたんだから」


「そうだったんですか?」


「あ、そうか! ミッチーが初めて見た時はもう服とか髪の毛ついてたもんね」


「はい」


「今のカレンの姿が、マルクが直した時の姿なんだよ」

「初めて見た時、マルクが人形に目覚めたと思ったんだよ!」

「あの時はびっくりしたよ!」


 エミリは当時を思い出したのかケラケラと笑い出した。


「はいはい、悪うございましたね」


「あ!マルク、おかえり」


「はい、ただいま」


 僕はお皿一杯に乗せた肉を、テーブルの上に乗せた。


 肉の焼けた匂いが食欲をそそる。


 僕はみんなにお皿に分けて配った。


「それじゃ頂こうか」


「いただきます」


「いただきます」


 エミリはおいしそうに口に運ぶ。


 ミッチーは目を輝かせながらうっとりしながら肉を口に運んでいた。


 僕も肉を頬張る。


 カレンは、そんな僕たちと肉を、交互に見ていた。


「ん?カレン食べないの?」


 僕がカレンに聞くと、カレンは肉をじっと見てから、


 肉に貪りついた。


 ぐちゃ


 べちゃ


 それを見たミッチーが、固まっていた。


 この姿の、カレンの食事風景はよそ様には見せられません!


 一枚目の肉をペロリ。


 二枚目に突入。


 一体どこに入るんだろう?


 不思議だ。


 ミッチーはどうなったかな?


 しかし、僕の想像していた反応ではなかった。


「あっはぁ~! 可愛すぎます! 可愛すぎますよ! カレンちゃん!」


 58冊目と書かれた観察日記にメモを取りながら、


 食い入るように見ていた。


 僕とエミリは顔を見合わせてから、ミッチーを見た。


「これはこれで、いいのかな?」


「感覚が違い過ぎるのかもしれないよ……」


 僕とエミリは、二人の事をそっとしておいた。


 

 宴もたけなわ。


 エミリが船を漕ぎだした。


「あ、エミリが限界そうだ」


「では、私が家まで連れていきます」


「ミッチー、よろしくね」


「はい、おやすみなさい」


「おやすみ」


 僕はエミリを負ぶったミッチーと別れ、カレンと共に家路についた。


 僕は夜空を見上げて星を眺めた。


 夜空には無数の星が輝いていた——。


(今ならマルクの家には誰もいないはずだ)

(奴の部屋の位置も完全に把握した)

(やるなら今夜だ!)

(もう……失敗は出来ない)


 女は音もなく、暗闇に溶け込むようにマルクの家に消えていった。

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