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24話 帰ってきました僕の家!

 次は初心者講習の時だったかな。


「今回の講習も俺が担当するぞ」


 ギルドマスターだ。


 僕とエミリの試験官だった人だ。


「よろしくお願いします」

「します」


「よし、今回は少し離れた所にちょうどいいダンジョンが見つかってな、護衛の冒険者たちと一緒に潜るぞ」


「今回の講習はダンジョンですか? マスター」


 冒険者の一人がギルドマスターに質問した。


「あぁ、そうだ。前に見つかってな、調査も終わらせている。ほとんどウルフとバットくらいしかいないダンジョンだそうだ」


「なら今回は楽勝ですね」


「あぁ、こいつらにも初心者の自覚を持ってもらいたいからな」


「しかし、マスター。この二人随分と若いですね」


「あぁ、二人とも14になったばかりらしいからな」


「なるほど。よろしくな二人とも」


「はい、よろしくお願いします」

「します」

 相変わらずエミリの声が小さい。


「では、馬車に乗り込もう」


 こうして僕らは村をでてしばらく馬車に揺られていた。


 半日くらいで、目的のダンジョンに着いた。


「マルクとエミリ、準備はいいか?」


 ギルドマスターから声が掛けられ僕たちはもう一度持ち物を確認した。


「問題ないです」

「私も」


「よし、俺と護衛の冒険者は後ろから着いていくからお前たちが先頭で行くんだ」


「わかりました、エミリ頼むよ! 僕よわよわだからね」


「マルクずるい」


 二人して呑気な事を言いながらダンジョンに入っていった。


「マスター、あの二人大丈夫か? すげー心配なんだが」


「心配するだけ無駄だ」


「は?」


「ついていけば分かる」


「はぁ」


 ダンジョンに入った僕らは、いや僕だけがびくびくしていた。


 エミリは鼻歌を歌いながら小枝振り回していた。


「マスター、この二人全然緊張感ないんですが」


「その余裕がいつまで続くか見ものだな」


 エミリの方からたまに圧が飛んでくる。

 

 しかし、本人は気が付いていないみたいだ。


 奥からモンスターの鳴き声が遠ざかっていく。

 

「マスター、たまに圧が来るんですがどこからですか?」


「お、俺が知るか」


 すでに僕たちは地下3階までやってきていた。


 運が良いのかエミリの後ろをついていくだけで僕たちは最奥までたどり着いた。


 僕らは奥にある台座に置かれた講習の合格札を手に入れた。


「後は帰るだけだが、どうなってやがるんだ? 本当にモンスターが一匹も出やしねー」


 マスターは首を傾げた。


「まぁ、俺たちは楽に仕事終えてラッキーでしたがね」


 冒険者たちは楽な仕事だったと笑っていた。

 

 こうして僕とエミリの講習は終わった。


 

 今、思い返してみても、僕たちがヤバそうな所は何もなかった。


 

「僕たちいたって普通ですよ?ね、エミリ」


「そうだよー! 人を変な人呼ばわりしないでよ!」

 

「は、お前たちが普通なら、みんな異常だぜ?」


 大笑いするギルドマスター。


 失礼な人だな。


「そんな事より、私のランク下げてください! 今すぐに!」


 ミズナさんが我慢の限界が来たようだ。


「んなこと言ったてお前さんよ、Aランクから下げろだなんて前代未聞だぜ?」


「かまいません二人とパーティ組めるなら」


「なんだ? ミズナ嬢はマルクにでも惚れたか?」


 ダンッ!


 床が抜けた……


「いくらギルドマスターとはいえ、今のは聞き捨てなりません……」


「い、いや、ちがうのか?」


 ギルドマスターが怯え始めた。


「あぁ! わかったわかった! 俺がなんとかしといてやる。だがな、落とすのはCまでだ、それ以上は落とせん」


「それで構いません」


「あと、一度落としたら元のランクに戻すには通常の倍かかるからな。覚えておけ」


「承知しております」


「おい、ミズナ嬢のランク降格の書類、後で俺の所に持ってこい」


 受付嬢に命令するとギルドマスターは自分の部屋へ戻っていった。


「これでやっと二人のパーティメンバーになれました!」


 何かを感じたのか、エミリに乗っていたカレンが一目散にギルドを出ていった。


「まってええええええ! カレンちゃああああん!!」


 ミズナさんは走ってカレンを追いかけていった。


「あ、あのう。今の人形は何ですか?それとミズナさんが変なんですが……」


「あの人形はゴーレムでして、僕らの従魔なんです。ミズナさんは……ほっといてあげてください」


「はぁ……」


「マルク、マルク」


「なにエミリ」


「今日は自分たちの家に戻るんでしょ? ミズナさんどうする?」


「そうか。エミリの家、大丈夫?僕の家だと親も出かけてる可能性高いから二人きりになっちゃう」


「そっか。私の部屋で一緒に寝てもいいかも。うんいいよ! そうしよう!」


「ならカレンを呼び戻そうか」


 僕はギルドを出て、大声でカレンの名を叫んだ。


 …………タタタタタタタタタタタ

 …………ズドドドドドドドドドド


 軽い足音なのに重く響いてくる音と、

 豪快な足音が近づいてきた。

 

 僕たちの前にカレンが現れたが、カレンは急いで僕の胸当ての中に隠れた。


 続いてミズナさんが息を切らしながら到着した。


「うううカレンちゃんが逃げます」


 半泣きしているミズナさん。


 もう僕は、ミズナさんを美人として見ることが出来なくなっていた。


「ミズナさん! 今日は私の家に泊まるんだよ」


「エミリさんの家ですか? よろしいのですか?」


「うん! いいよ行こう!」

 

「カレンちゃんは?」


「カレンはマルクんところだね」


「では私もマルクさんの所に……」


「はい! 駄目です! ミズナさんは私の家です!」


 ミズナさんはエミリに引きずられていった。


 名残惜しそうにカレンの名を呼びながら……。

  

「カレン……僕たちも行こうか」


 カレンは胸当てから顔を出して頷いた。


 

 僕とカレンは村外れにある僕の家に帰って来た。


「ただいま……って、やっぱり出かけてるか。何年たってもあの二人は変わらないね」


 僕は家の鍵を開けて中に入った。


「中は綺麗だな。最近出かけたのかな?」


「カレン出てきていいよ」


 カレンは胸当ての中から出てきて、部屋の中を見渡した。


「どう? ここが僕の家だよ。上の階には僕の部屋もあるんだ。行ってみる?」


 カレンは頷いてから僕の肩に飛び乗った。


 階段を上がり突き当りの部屋の扉を開いた。


「うん。冒険者になってこの村を出た時のままだね」


 壁は補修の跡だらけ。


 天井も補修の後が沢山ある。


 これが僕の部屋だ。


 カレンがベッドのうえで辺りを見回している。


 壁とかが気になるのかな?

 

「さて、食事にするけどカレンも食べる?」


 カレンは頷いて、僕の後をついてくる。


 一階のキッチンまで来て、僕は何か食料がないか見てみて回った。


 出て来たのは干し肉と漬物。後は小麦粉などが出て来た。


 「パンと肉のスープが出来そうだな。カレンちょっと待っててね。水を汲んでくるから」


 桶を持って井戸まで水を汲みに行った。


 キッチンに戻りってから小麦を練って、干し肉をなべに入れて水を灌ぐ。


 そこに何種類かの調味料を入れて簡単なスープを作って、パンも焼く。


「カレン、簡単だけどご飯にしようか」


 カレン用のお皿に、スープをよそってパンも添えて渡す。


 「食べよう」


 僕が食べ始めたのを見ると、カレンも食事を始めた。


 「食事しながらでごめんね。カレンってミズナさんの事嫌い?」


 気になって聞いてしまった。


 しかし、カレンは首を横に振った。


「嫌いではないんだね」


 今度は縦に振った。


「苦手なだけなのかな?」


 僕のつぶやきに首を縦に振っていた。


「そうか」


 思わず笑みがこぼれた。


 食事を終えて僕らは部屋に戻り寝る準備をした。


「カレンはどこで寝る?」


 聞いた瞬間に僕の枕の上に飛び乗って座っている。


「そこでいいんだ」


 首を縦に振っていた。


「まぁ、いっか。遅くなったしもう寝ようか。お休みカレン」


 こうして僕の一日は終わった。



 —— 深夜・村の入り口 ——


「止まれ! こんな夜更けに怪しいやつ!」


 その人影は今にも倒れそうなくらいに疲弊しまくっていた。


「……す……みず……を……おみずを」


 そこまで言うとその人物は倒れてしまった。


「お、おいあんた! 大丈夫か!?」


「おい、診療所の爺さん呼んで来てくれ!」


「わかった! すぐに呼んでくる!」


「あんた! もうちょっとの辛抱だぞ!」


 その人物が顔に巻いてある布が取れて素顔をさらした。


「お、おんな? 誰かに襲われたのか?」


 マントの下にナイフが二本と、皮の胸当てと腰の部分だけの軽装だった。


 こうして夜中に村の入り口で倒れた女性が、診療所に担ぎ込まれた話は瞬く間に広がった。 

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