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17話 かわいいが怖い!

 ギルドでの騒動のあと、エミリとカレンを連れて街の外までやってきた。


「マルク、ここになにかあるの?」


 エミリが聞いてきた。


「それなんだけどね、さっきギルドの会議室でカレンの動きを見たらさ、普通じゃなかったんだ。だからちょっと確認しようと思ったの」


「そうなんだ」と言いながら、僕の肩に座っているカレンを見るエミリ。


「この辺りでいいかな」


 そういって、僕は肩にいるカレンを地面に下した。

 僕はしゃがみ込んでカレンにお願いしてみる。


「カレン、ここでさっきやった攻撃の動作やってみてくれる?」


 カレンは頷き、格闘のポーズを取った。

 最初はゆっくりとした動作から、徐々に速くしていって、カレンの周りに砂ぼこりが舞い始める。


「え。なにこれ? この子こんなに凄いことできるの?」


 カレンの動きがますます早くなる。


「エ、エミリ、少し離れようか」


「そ、そうね」


 ブオオオオオオオオ!

 

 砂ぼこりが勢いを増して舞い上がる。

 

 もうね、なにがなんだか分からないよ。この動き。


「これ、いつまで動けるのかな?マルク知ってるの?」


「知らない、知らない。ここまで動くの僕も初めて見るから」


 カレンは動きを緩めていき、くるりと一回転してその場に停止した。

 最後に、ぺこりとお辞儀をした。

 僕とエミリは思わず拍手をしたよ。


 ぱちぱちぱち


 カレンは僕の前まで歩いてきて自分の手を頭にあて、ポンポン叩いてる。

 撫でてほしいのかな? そう思い僕はカレンの頭を軽く撫でてあげる。

 嬉しそうな動作をしている。

 それを見ていたエミリが撫でたそうにしている。


「カレン、エミリにも撫でさせてあげなよ」


 そう言うとカレンは腕を組み、しばらく考えるポーズをしてから、エミリに頭を向けた。

 ほれ、撫でろと言わんばかりに頭を差し出してきた。

 それでもエミリは嬉しそうに撫で始めた。


 その時、離れた場所で角ウサギが草むらから飛び出してきた。

 エミリが剣を抜こうとしたら、カレンが自分がやりたいと角ウサギとカレン自身を交互に指さしをした。

 僕とエミリは顔を見合わせて、やらせてみようと頷いた。


「カレン、無理はしないでね」


 と一言だけ言っておいた。


 カレンは頷き、その場で屈伸を始めた。

 この子本当にゴーレム? なぜ屈伸?

 腕をくるくる回しながら角ウサギの方を向き、戦闘態勢に入った。


 カレンの様子が変わり……


 目がゆっくりと開いていく……


 赤黒い光が目から溢れているんですけど……


 僕とエミリが恐怖に怯えた——。


 走り出すカレン、その目から赤い光のラインを作りながら、角ウサギを目掛け走り抜いた。


 ドンッ!


 角ウサギは宙に放り出され、キリモミしながら地面に叩きつけられた。


 さっきまでの怖い雰囲気はなくなったカレンが戻って来た。


 僕は怖かったけど、先ほどのカレンの速度が気になって、走る速度を僕と比べてみることにした。


「カレン、僕と競争してみない?」


 カレンは首を横に傾けて何を? と語りかけてきた。

 

 「ここから・・・・・そうだな、あそこの木の所まで走りで競争してみようか」


 カレンは首を前後に動かし了承してくれた。


「エミリ、あそこの木の所でどっちが先に着くか見ててくれる?」


「いいよー」


 エミリが小走りで木の所まで行った。


「よし、カレン。準備はいいかい?」


 カレンの方を見ると僕の方に腕を伸ばし、親指を立てた。


「エミリー! 合図お願ーい!」


「わかったー! じゃあいくよー」


 僕とカレンがいつでも走れるように合図を待つ。


「よーい!・・・・・どんっ!」


 エミリの合図、僕は全力で走りだす。


 横から弾丸のような赤い光が追い抜いて行った……


「カレン、いちばーん!」


 エミリの合図がした。


 え?僕まだ半分も走ってないよ?

 僕・・・・・あんな小さなカレンに負けたの?

 遅れて僕が木の所に着いた。


「カレン早いね。ひょっとしてエミリより早くない?」


 そんな言葉を聞いたエミリが、


「じゃ、次私ね!」


 やる気になった。


 エミリ VS カレン


 エミリとカレンが先ほどの場所まで行き、準備を始めた。


「マルクー! 合図よろしくー!」


 エミリの声が届いた。


「わかったー!」


 僕は返事を返し、右手を上にあげて……


「いくよー! よーい・・・・・どんっ!」


 僕は合図と共に右手を振り下ろした——


 瞬間、二人は僕を通過していた・・・・・


 見えないよ!!!


「どっちが速かった?」


 エミリは歩きながら聞いてきて、カレンは小走りで戻って来た。


「ど・・・・・同着」


「えー! 私の方が速かったよ!」


 カレンも自分の方が速かったよと言わんばかりに自分自身を指さし、手足をばたつかせている。


 ・・・・・しかたないじゃん、見えなかったんだもん。


 僕とエミリは小腹がすいたことで、一旦休憩することにした。

 エミリがアイテム袋からビスケットを取り出した。


「マルクも食べよう」


 と言って ビスケットを手渡してくれた。

 うん、おいしい。

 

 僕はある視線に気が付いた。

 カレンがじっとこちらを見ているのだ。

 僕はビスケットを少し千切り、カレンに渡してみた。


「気になる? はい」


 カレンは嬉しそうにビスケットのかけらを受け取り、僕たちの食べる姿を見つめて、カレン自身も真似をしてビスケットを顔に当てている。


「ははは。カレンの口じゃ食べられないよね」


 そう、ゴーレムだからね、可愛い口はあるけど開かないんだ。

 何度も僕たちと同じ行為をまねていた。

 ビスケットを口に当てては僕たちを見る。


 カレンはビスケットのかけらを僕に返してきて、エミリのビスケットを食べている姿を観察しだした。


「マルク、明後日にはドラボテ村に帰るんだよね。護衛の仕事もあるから準備しないとね」


「そうだね、明日は必要なもの揃えようね」


 こうして、カレンの性能を確認した僕たちは街に戻るのだった。


 角ウサギ?もちろんお持ち帰りですよ。


 

 街に着いた時には辺りもすっかり暗くなっていた。


 僕たちは宿に戻り、宿屋のおかみさんに角ウサギをあげるのだった。


「おや、悪いねこんなの貰っちまって」


「かまいませんよ、たまたま取っただけですから」


「そうかい?なら今晩の食事はおまけしてあげるよ」


 ニコニコしながらおかみさんは厨房に消えていった。


 僕たちは食堂に向かって、開いている壁側の席へと向かい、カレンが壁側のテーブルの上に座り、僕とエミリは通路側に向かい合わせで座った。

 

 食事が運ばれてきた。


 ボリュームの凄い肉と野菜とパン。飲み物には果実を絞ったドリンク。


「食べようか」


「食べよう、おなかペコペコなんだよ」


 僕とエミリが食べ始めると、じっと見つめるカレンが居た。


 僕とエミリの食事の真似をしているのか同じ動作をしている。


 なんとなく僕は、切り分けた肉をカレンに渡してみた。


 カレンは嬉しそうに受け取り、その肉を顔に近づけた。


 僕とエミリはその姿をみて、昼間のビスケットみたいなことをしているなと見ていた……が、


 カレンが肉を顔に近づけた。


 次の瞬間——


 口の部分が裂け、肉を食らい始めた!


 ぶちゅ!

 べちゃ!

 じゅるる!

 ぶちゃ!


 その姿はモザイク必須ですよ!


 僕とエミリは固まった。


「マ、マルク、怖いんだけど・・・・・この子怖いんだけど」


「僕も・・・・・さすがにこれは・・・・・」


 僕とエミリは、その後の食事の味をまったく覚えていなかった。



 翌朝


 僕はベッドの上で目を覚ました。

 

 なぜか枕元にカレンが横になっていた。

 

 ゴーレムって眠るのかな?

 

 僕は起き上がり、部屋の空気を入れ替えるために窓を開けた。

 

 風が部屋に流れ込んでくる。


 気持ちが良いね。

 

 ベッドの上からカレンが動き出す音が聞こえた。


「カレン起きたのかい?」


 僕はカレンを見ると一つの違和感を感じた。

 

 見た目はいつもと同じなんだけど、何だろう……何かが違うような・・・・・

 

 強めの風が部屋に流れ込み、カレンの髪の毛がさらっと揺れた。

 

 あれ?カレンの髪の毛って糸で作った奴だったよな・・・・・

 

 僕はカレンの近くに寄り、髪の毛を観察した。


「えええええ?」


 驚いた。僕は盛大に驚いた。


「カ、カレンさん?ちょっと頭を見せてもらえませんか?」


 僕はカレンに敬語で話しかけた。


 カレンは頷き頭を僕に見せてきた。

 ・

 ・

 ・

 ・・・・・ない。

 

 接着した部分が消えている・・・・・

 それどころか髪の毛が頭部から生えているように見える。

 しかも——髪の毛がサラサラだ。


 バン!


「マルク! おはよー!」


 元気に僕の部屋に入り込んできたエミリ。

 僕はエミリをちらりと見ただけで、視線をカレンに戻した。


「マルクが無視するー!」


「ごめん、エミリ。それどころじゃない」


「どういうことよ!」


「エミリもカレンを見て」


「いったい何よ」


 エミリはカレンに近づき眺めた。


「なにがおかしいの? いつものカレンじゃん」


「違うんだ、髪の毛が」


「髪の毛?」


 エミリが再びカレンの頭に付いている髪の毛を見た。


「あれ?なんだかさらさらしていない?」


「それもそうなんだけどさ、この髪の毛が頭から生えているようになってるんだよ」


「どういうこと?」


「僕は頭に接着剤で糸を付けただけなんだよ」


「・・・・・え? なに? また怖いこと起きてるの?」


「起きてるみたい……だね」


 エミリが腕を組んで考えた。


 結果


「いいんじゃない? 気にしても仕方ないよ」


 僕もエミリの言葉に少し考えて


「それもそっか! 気にしても仕方ないね!」


 カレンの目や髪の毛、


 冷静に考えると――


 ちょっと、怖いよね……。

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