Leathal Fragrance 7
二人の周りの物と言う物が大量の穴を開けながら破壊された。乙鬼は女の頭を狙い、十発撃った。だが女は瞬間的に察知し、ハンドルを大きく切り、それを回避した。十発の5.56mm弾は彼女の頭を大きく反れ、助手席に大量の穴を開けた。
続けて、乙鬼は4発左眼球を狙って撃った。だが、引き金を引くと同時に標準は目から外れ、代わりにAピラーに着弾した。
直後、相手のXM110が火を吹く。至近距離でのパンチ力が強い7.62mmライフル弾はマセラティのフロントウィンドーを派手に砕いた。細かな破片がダッシュボードに散乱する。乙鬼も更にARX160を撃ち込む。両台からマズルフラッシュが光っては消えた。
ふと、道路標識が乙鬼の目に止まった。そこには大きく「中央区」と表示されていた。それは乙鬼に、もはや一刻の猶予も残されていないことを訴えていた。
現在の位置から行き着く果ては正真正銘の行き止まり、東京湾だ。現在のスピードから推測すると、おそらく23分で到達してしまうだろう。
そして、乙鬼の選択肢は一つに絞られた。
23分以内に敵を回避、もしくは排除。
最早躊躇など出来ない。本気を出さねば、殺される。
乙鬼は右手から銃を離した、そして、左手持ち替えた。
そして3秒で狙いを定め、撃った。
利き手に持ち替えられたため、命中精度はよりシャープさが増した。乙鬼の5.56が女に肉薄する。
咄嗟に女はハンドルを切り、やり過ごそうとする、だが避けきれず、3発、左肩に着弾した。
「がぁぁっ・・!!」左肩の肉が爆ぜた。香織は痛みに悲鳴を上げた。
思わずXM110から手が離れ、センターコンソールに落ちた。
「し・・・しまった!」
慌てて銃を掴もうと手を伸ばす、だが、4発の5.56mm弾に阻止される。香織の体が一瞬硬直した。
「ッ・・・・・・本気出したのねぇ」引きつった笑みを浮かべながら、香織は呟いた。
乙鬼の予想通り、左肩を撃ってから、女の反応が劇的に鈍くなった。乙鬼は止めを刺すため銃を構えなおし、標準を女の額に当てたその時、
ギギギ・・・・・・バキィンッ
金属の圧し折れる音がした。そして、マセラティは一気に減速し始めた。
咄嗟にアクセルを踏み込むが、エンジンが吹け上がるだけで、反応は無かった。
「くっ・・・・・リバースギアが!」
長時間の酷使に耐え切れず、リバースギアが破損したのだ。
その瞬間を香織は見逃さなかった。XM110のグリップを掴み、前方向へ構えた。
乙鬼はハンドルを思い切り切った。振り子の原理でマセラティは勢いよく旋回した。
クラッチを踏み込みギアを2速に入れる。
乙鬼は強くアクセルを踏み込んだ。トラクションがかかり、ピレリP-Zeroが路面にグリップする。
3速に入れる、ターボが唸る。乙鬼は後ろを向いた。黒のメルセデスはまだ大きい。更にアクセルを踏み込む。




