14.世界規模の格差問題(ウォール街の占拠)
(プチ・コラム)
円高と円安とどちらがよいのか?
円高と円安どちらがよいのか?一概には言えません。例えば、1ドル=80円が1ドル78円になっただけで、大規模な自動車や家電メーカーなら利益がなくなります。そこで、国内の工場閉鎖等が行われます。円高が続けば、国内の生産拠点やメーカーが海外に生産拠点を移すか、倒産していきますから、工場を抱える自治体は大変です。税金を使って地域雇用創出のために、工場を誘致しても円高が続けば、輸出用産業は創業が厳しくなります。
円安になれば、外国人観光客が増加します。「円」という通貨が国際的な信用力があるのは、悪いことではありませんが、欧州経済危機などで他の通貨の信用力が低いため円高が続いているだけです。いずれ、財政再建に失敗すれば回復不可能な円安、ハイパーインフレ、失業率の増加、経済成長の停止、国家破綻もありえると思います。
○世界規模の格差問題(ウォール街の占拠)
中東ではじまったアラブの春ですが、ネットでアメリカ、イギリス、フランスや日本等の先進国にも飛び火して、2011年9月には若者達によりニューヨークの金融市場の中心ウォール街が占拠されました。日本等でも、反格差デモが起こりましたが、反原発デモや首相官邸前の首相退陣デモに吸収されていきました。
アラブの春はSNSであるフェイスブックやミニ・ブログであるツイッター(現在のX)を中心に起こった革命です。日本では、こうしたネットから発信された情報によって、反原発デモや首相退陣デモが行われました。今後は、こうした市民によるネットから発信された政治活動は、格差是正デモや尖閣諸島等の領土問題デモに変わっていくかもしれません。
尖閣諸島や竹島問題もそうですが、日本人の歴史を振り返ると、日露戦争は多くの政治指導者が、明治政府の重鎮・伊藤博文でも避けたかったわけです。
しかし、なぜか国民規模の強硬論になり、日本は戦費がつきてロシアと和睦した時に群集の霞が関前の日比谷公園での、一般市民による焼き討ち事件が起こりました。
経済状況が好調な時に政治問題は起こりません。今後、日本の経済が安定成長になることは難しいでしょう。そして、正規雇用と非正規雇用の問題も格差問題として本格化してくるでしょう。生活保護の受給者の増加で福祉政策も変化していくことが予想されます。
ナチス・ドイツも不景気だから出てきたのだと思います。ドイツが意図的に情報操作している気がしますが、ヒトラーの映像がTV等のドキュメンタリー等で流れます。
はじめは、ゆっくりと話し始め、だんだん口調が厳しくなり、ジェスチャーが大げさになり、「つまり、資本と金融を牛耳っているユダヤ人が全て悪い。ドイツ人は第三帝国を建設すべき。ゲルマン人は素晴らしい。」という結論になる映像です。
私は、ヒトラーやナチスについてずっと、疑問がありました。果たして、インテリがあんな狂信的なジェスチャーをする政治家を信用するのかという疑問です。
これに対しては、2つの答えがあります。大学進学率が高い都市部の首都ベルリンでナチスの支持率は低かった、つまり、インテリはナチスやヒトラーを胡散臭いと思っていたのです。ちなみに、ヒトラーが全権委任法で独裁者になるプロセスでは、「全権委任法に反対する社会党系、共産党系の議員を不当拘束し、全権委任法を可決する」とい非合法な方法を使っています。
全権委任法は、ヒトラーが議会に変わり法案を作成できるという、独裁的な政治手法を許可する法案です。この法案は、少数政党が乱立するドイツ議会で、経済危機等の非常事態を収束させるために大統領に認められた権限で、ヒトラー以前にも全権委任法の前例はありました。ただし、独裁を認めることになるため、議会で可決に必要なハードルがかなり高くしてあり、ナチスはこの条件を満たすことができませんでした。そこで、ヒトラーが大統領になった際に、社会党、共産党系の反対派議員を不当に拘束して議会に出席させずに、可決するという非合法な手段で全権委任法を可決し、全権委任法によりヒトラーの独裁が認められた後は、「ナチス以外」の全ての政党を禁止して国会議員資格を剥奪したのです。
さて、ヒトラーをインテリが支持したのか?という疑問のもう1つの答えは、「ヒトラーは、インテリ相手には煽動的な演説をしていない」です。インテリには、ソフトに普通に丁寧に話しています。つまり、ヒトラーの映像で使われる一般的なヒトラー像は、ブルーワーカー向けの大衆煽動用の映像です。
インテリと大衆が戦ったら、インテリが絶対数が少ないですから数で負けます。
数で負けるということは、選挙で負けるということです。
格差社会の一番の弊害は、ヒトラーのような大衆煽動型の政治家が現れることです。これは、プラトンもアメリカの現代大衆社会の研究者であるオルテガも危惧していることです。民主主義の最大の弱点は、「政治家を国民が選んでいますから、国民の知的水準の平均値が、政治家の知的水準の平均値と一致することです。」
カンボジアのポル・ポト政権は、インテリがポル・ポト政権を批判してくることを予見して、医者、教師、眼鏡をかけている人はインテリという理屈でインテリを皆殺しにしました。ですから、ポル・ポト政権打倒後も、カンボジアの復興は時間がかかっています。教師、医者、法律家は全員、ポル・ポト政権に殺されましたから、学校をODAで作っても教師がいない。病院をODAで作っても医者も看護士もいない。日本の法務省もカンボジアの法律作成援助をしていますが、公務員も法律家も殺されましたから、国の再建に何十年もかかるのです。独裁政権は、インテリを弾圧します。ミャンマーのノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチー女史(自宅軟禁)や中国のノーベル平和賞受賞者、民主運動家である劉暁波氏(投獄中)、南アフリカのノーベル平和賞受賞者のネルソン・マンデラ元大統領(数十年、投獄)のように、インテリを弾圧します。
先進国の反格差デモは収束しましたが、日本でも新卒者の正規雇用が低下し、就労者に占める非正規率が3人に1人まで増加しています。就職活動等に失敗したり、諦めたりして、職歴がない人もいるでしょう。
すでに日本は高齢化時代ですが、非正規雇用者やニート、就労していない若者が高齢化してきます。その時に、日本政府は、年金や生活保護等の社会保障をどうするのかという問題を先送りにしてきました。
考えるに、格差社会の根源は教育にあります。ですから、国民全体の教育水準をあげれば改善は可能でしょう。後述する外国人労働者問題と関わってくると思いますが、雇用問題だけであれば、ドイツの職業訓練モデルのように、社会人は、一定期間を大学や大学院で過ごし、また、社会人として働き、大学や大学院に戻ることで、労働市場全体の雇用者を大学や大学院で吸収し、社会全体の労働者数を減らすことで、ワークシェアリングと職能力、学問の就業年数を「生涯学習」にすることで、国民全体の知的水準の底上げ、学問が生涯継続されることで、高齢化社会でも有意義に生涯を過ごすことができるのではないでしょうか?
ポスト・ドクター、いわゆる高学歴難民も存在します。しかし、高学歴難民は、いざとなったら、英語を覚えさせて国が雇用し、開発途上国で教員の仕事をさせればよいのです。職技能も教育もない場合、雇用できないのです。
さらに、格差社会が進めばナチス・ドイツのように社会全体がナショナリズム化する可能性があります。韓国や中国の反日活動も根底に格差問題があると思いますが、後述します。




