11.クルド人問題も複雑な宗教問題がある
次回更新は、5月19日火曜日の予定です。
民族宗教問題に戻しましょう。
多くの国が複数の民族と複数の宗教を抱えています。
中東では、クルド人という民族がイラク、イラン、トルコに分布して生活しています。
クルド人は、世界最大の国を持たない民族です。
クルド人は独自の国家を持っていません。そこで、クルド人の中でも、独立運動が起こります。
クルド人の場合は、イラク国内のクルド人をイラン政府が支援しました。イラク政府は自国内のクルド人を弾圧します。しかし、イラン国内のクルド人をイラク政府が支援して、イランを攻撃させました。その結果、イラン、イラク両国でクルド人に対するヘイト感情が高まったのです・・・。
イラン政府は、自国内のクルド人は弾圧しました。イラン・イラク戦争の駆け引きに双方がクルド人の独立勢力を利用しました。クルド人は数千万人が中東で生活しています。
民族ごとに国を持てばいいような気がするかもしれません。
これが、スペインとフランスの国境にまたがるバスク地方のバスク人の自治問題です。バスク人は独自の文化を持った少数民族です。ただ、問題はほとんどの国に複数の宗教、複数の民族が暮らしていることです。
民族と宗教問題は線引きが難しいのです。イスラエルもユダヤ人国家ですが、ユダヤ人は民族ではありません。ユダヤ教を信じる人をユダヤ人と呼んでいます。ですから、日本人がユダヤ教徒になればユダヤ人になります。そのため、イスラエルも多民族国家なのです。また、ユダヤ教もいくつかの分派があり、イスラエル国内も複数のユダヤ教の分派と他民族が生活する国家なのです。
ナチスのユダヤ人迫害では、「ユダヤ教からキリスト教への改宗禁止」を実施します。
なぜなら、ユダヤ教から別の宗教に改宗すれば、迫害の対象外になるからです。
さらに、冷戦のような共産主義と自由主義諸国というイデオロギーの争いもあります。
領土、国際紛争は、民族、宗教、イデオロギーの主導権争いを武力に訴えた時に本格化します。ほとんどの国が、政教分離と信仰の自由を認めています。アメリカは他民族、他宗教国家ですから、宗教対立、民族対立が本格化したら大変なことになるでしょう。
インドも数百の言語があり、公用語が17あります。宗教もヒンズー教、イスラム教やシーク教、仏教、キリスト教等があります。インドは、パキスタンや中国等の隣国と戦争をしていますから、ある程度は内戦が抑えられていますが、パンジャブ州でのシーク教徒の独立運動、ヒンズー教過激派とイスラム教過激派の武装テロ問題等の宗教問題を抱えています。
イランもイスラム教国ですが、国内では厳格なイスラム法の適用が行われる一方で、イスラム教圏以外の日本等にも石油を輸出しています。
最後に、国際情勢は国と国との戦いだけではなく、テロとの戦いもあります。国は、他国から国家の認証を受けたり、貿易をしたり、国際機関に加盟することで、国際社会の一員として振舞うことになります。
しかし、アルカイダのようなテロ集団は、自爆テロ等を行うことが可能です。アルカイダは、統制のとれた組織ではなく、緩やかなネットワークでつながったイスラム教過激派集団と考えられています。統制が取れた組織の究極が国ですが、テロ集団もラディンを指導者にした組織なら、ラディンを逮捕すればテロはおさまるでしょう(米国が暗殺しました)。
実際には、ラディンとは関係なく、ネット等でアルカイダの行動に共鳴を受け、ある日突然、数十名規模で世界のどこかでアルカイダの地方支部が立ち上がるのです。これは、フェイスブックが革命に大きな役割を果たしたアラブの春やジャスミン革命のテロバージョンと言えるでしょう。




