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タイトル未定2026/02/14 21:42

「抵抗」


「…はい」

「最近、調子はどう?」

「どうもしません」

「何かやりたいこととか、欲しいものとかはある?」

「何も欲しくないし、何もやりたくないです」

「ジョニーさん…」

「行こう、ワトソン」

「ちょっと待ってください、ジョニーさん! ジョニーさんは本当に夢も全部、捨ててしまうんですか?」

「違うね。この世界が何をくれるっていうんだ? 新しいゴジラの映画か? 精神科に来るのだって嫌々だ。言っただろ、治療も薬も一切受け付けないって。浜田さん、車に乗って。行こう、ワトソン」


ジョニーは車に乗り、浜田も後に続いて乗った。

「捜査を続けよう、ワトソン。警察が私立探偵に捜査を依頼するなんて、筋が通らないな」

女性探偵ワトソンは車を走らせ、かつてのロシア人KGBスパイの殺人現場へと向かった。現場にはもう遺体はなかった。女性探偵ワトソン、ジョニー、浜田は車を降りた。

「警察は弾道が向かいのビルからだって言ったんだろ?」とジョニーが言う。

ワトソンが「そう」と答え、ジョニーはすぐにそのビルの最上階へと上がっていった。

「ジョニーさん、さっき話したこと、考えてみてくれませんか?」

「悪いな、浜田さん。考える気はないよ」


ジョニーはそのビルの最上階に着いた。その階には何もなく、窓ガラスには遮光フィルムが貼ってあり外からは見えないが、ジョニーからは現場がはっきりと見えた。ジョニーは女性探偵ワトソンに電話をかけた。

「ワトソン、窓には遮光フィルムだ。被害者には狙撃手は見えないが、狙撃手からは被害者が見える。ビルには薬莢も何もない。金もない。夢もないんだろうな」

「こっち側にも何もないわ」

「ただの殺人事件だと思うか?」

「多分ね」

「『緋色の研究』でシャーロック・ホームズが言ってた言葉、覚えてるか?」


女性探偵ワトソンとジョニーは同時に口にした。

「『ありふれているからこそ、手がかりになるものが何もなくて解けない』」

ジョニーが続ける。「あれとはちょっと違うけど、意味は同じだ…。待てよ、例え事件が解けなくても、警察は解決するまで捜査を続けるもんだろ? なんで俺たちに依頼したんだ? 被害者は元スパイだっけ?」

「そうよ」

「関係あると思うか?」

「そこまでは考えてなかったわ」


ジョニーはビルを降り、女性探偵ワトソンのところへ行った。

「窓には遮光フィルム。誰かを撃つために窓を開けるなら、銃口が通る隙間さえあればいい。被害者は待ち伏せに気づかない。薬莢もない。しかも警察が私立探偵に依頼だ。筋が通らない。ん? 待てよ。防犯カメラは? 警察は防犯カメラを調べたのか?」

「調べたわ。でも、狙撃手は映ってなかった」

「ただの殺人事件じゃないな」

「ジョニーは何が一番可能性が高いと思う?」

「これはスパイ事件だ。スパイ同士の抗争だ。犯人にたどり着く手がかりがない。狙撃手がカメラに映らないなんて、もし生まれ変わった鬼神のように超人的に優秀でない限り、チームで動かなきゃ100%は無理だ」

「犯人はスパイなの?」

「チームで動いてるなら、その可能性は高い。なんで引退した冷戦時代のスパイを殺す必要があるんだ? 動機、目撃者、証拠、どれもない。犯人を特定するのはクソ難しい。妙なのは、どのカメラにも狙撃手が映っていないってことだけだ。でもよく考えれば、それも当然か。人を殺すのに、わざわざ捕まるような真似するか? どうやって犯人を突き止めればいいんだ?」

「私たちでスパイごっこをしてみない?」

「スパイごっこ?」

「もし私たちがスパイ活動をしてみて、何か動きがあれば、犯人が本当にスパイだって証明できるわ」

「でも、なんで被害者は殺されたんだ? 引退した冷戦スパイだぞ? ただ遊びに来てただけなのに殺された。何を狙ってスパイごっこをするんだ? 警察は被害者について他に何か言ってたか?」

「小さな映画会社の向かいの喫茶店で毎日コーヒーを飲んでいた。時々、その映画会社の人と話していることもあったそうよ」

「そこだ。それがスパイごっこのネタだ。ワトソン、始めよう」


ジョニーと浜田はその映画会社の向かいの喫茶店で待機し、ワトソンがスパイ役として映画会社に潜入した。

「訴えられないか、これ?」

「ジョニーさん、僕があげようとしてるもの、本当に受け取ってくれないんですか?」

「いいや。誕生日ケーキを思い出として取っておくなんて、腐るだけだ。どうせ食べるしかないんだろ? 今までの誕生日、どんなケーキを食べたか覚えてるか? 23年も生きてきて、やっと『かっこいい』って言われた。中学の時は『シロアリに似てる』って言われてたのに。今さら、あれこれ勧められた話を受け入れたり、夢を追いかけたりする理由がどこにある?」

「ジョニーさんは僕よりたった1つ年上じゃないですか。僕は22、ジョニーさんは23。まだまだ先は長いですよ」

「有名な日本人俳優がそんなこと言うか? それに、お前はもう俳優の仕事を全部断ったんじゃないのか?」

「でも、もし夢を追わなければ…」

「夢に命があるのか? 歩けるのか? 代謝とかあるのか? ヘモグロビンすらないだろ? 『トコトコ歩いて、ねえ夢、好きだよ、結婚しよう』って、夢が『ごめん、友達としてしか見れない』って言うのか? マジかよ? 夢に誕生日があるのか? 俺は1999年9月10日生まれだ。夢も1999年9月10日生まれなのか? この23年、『シロアリに似てる』って言われ続けてきた。今さら『かっこいい』とか『頭いい』とか言われたってな。小1から大学卒業まで、試験前に一度も勉強したことない。落第も留年もしたことない。卒業できただけでも超大変だったんだぞ。この23年、褒めもしなけりゃ、助けもしない、関心も持たなかった。それで急に今さら俺に関心持つだと? この世界は一体全体どうかしてるんじゃないのか!!!!???」


「それじゃあジョニーさんは、ただワトソンさんの手伝いだけをするんですか?…本当に、ずっとワトソンさんの相方だけなんですか?」

「それがどうした? 子供の頃は将来の夢を聞かれたけど、大人になると誰も夢を叶えてくれやしない。なんで俺が、全てが手遅れになった今さら、皆の申し出を受け入れなきゃいけないんだ?」


ジョニーの携帯電話が鳴った。ジョニーが出る。

「やっぱり犯人はスパイだ」

「もう分かったのか!?」

「10人いて、私を撃ちまくってるわ」

「やっぱりか! ワトソン、外に出られるか?」

「大丈夫」

「すぐ出てこい!」


ワトソンが走って出てくると、黒服の男10人が追いかけてきた。

「ジョニーはどう思う?」

「スパイが派手に動くわけない。車に乗って、人目のないところにおびき出そう」


ワトソン、ジョニー、浜田は車に乗り込んだ。ワトソンは車を走らせ、ある人気のない草原に到着した。3人が車を降りると、黒服の男10人を乗せた車が追いつき、彼らも降りてきた。

ジョニーは自分のサムライソードを抜き、一人でその10人の男たちの方へ歩いていった。

「ちょっと待ってください、ジョニーさん!」


10人のうち9人が銃を抜いて構えたが、ジョニーは刀でその9人をより速く切り伏せた。残ったのは一人だけだった。

「なぜこんなに早く自分がスパイだと分からせるんだ? 良いスパイの資質じゃないな」

「ちょっとした計画の狂いだ。何か知りたいことでもあるか? 俺は常に苦労してきた。楽をしたことなど一度もない。常に頭を使わなければならなかった…」


ジョニーは怒り、その男に何度も何度も拳を叩き込み、倒した。そして、サムライソードで男の足をさらに斬りつけた。

「『俺の方が苦労してる』とか『楽したことない』とか『俺の方が頭いい』とか、ぬかすなよ」


終わり

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