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第70話 隊長カリオペ

あかりは普段から睡眠を心掛けているのか寝付きがいい。


はずだったが、今回は偉大な人に夢の中で会うと思うと緊張して、いつもの寝付きのよさがなくなっていた。


深呼吸をしてもう一度と思うと余計な力が入り、眠りにつくのが遅くなる。


やむを得ないと思ったヴィオラは、ユメミール王国に伝わる子守歌を蓄音機で流し、あかりに強引に眠ってもらう事にした。


するとあかりも徐々に眠くなり本当に眠りについた。


夢の中では大きな教会がそびえ立っていて、入るものを拒まない空気が漂っていた。


あかりはその教会に誘われるがままに扉を開けて中に入る。


中に入ると一人の女性が祈るように(ひざまず)いていた。


「あの…」


「ミューズよ…人々の未来のために光を与えたまえ…」


「えっと…声をかけちゃまずいかな…?」


「ん…?あ、ごめんなさい。あなたが来たことに気が付かなかった。」


「いいえ!こちらこそお祈りの邪魔をしてすみません!えっと…初代ミューズナイツの人たちを探しているのですが知りませんか?」


「ミューズナイツ?どうしてあなたがそれを知っているの?」


「実は私もミューズに選ばれてミューズナイツになったんです。ドリームパワーを受け継いでいます」


「なるほど…。じゃあ隠す必要もないかな。私はカリオペ。ミューズナイツ結成時の隊長だよ。あなたは?」


「前田あかりです」


「あかりね、よろしく。これからあなたに伝えないといけない事があるの。それも今までの後継者が誰も出来なかった事を」


「わかりました」


「あかり、歌っていいよね。人々が生み出した文化の極みだと思うの。あなたはどう思う?」


「えっと…改めて聞かれると困っちゃうな…」


あかりは改めて歌についてどう思うと聞かれ、どう答えていいか困り果てる。


カリオペの考える事が分からず少しだけ考え込み、あかりなりの答えを生み出そうとする。


そこで自分が感じた歌についての考えを言葉にする。


「歌があるから人々は娯楽を覚え夢を見るようになり、心も共感する事でいろんな文明が栄えたんだと思います。でも時には解釈次第で奪う事も破壊する事も出来て、暴力に走る事もあると思います。それは人間が感情を持った以上、仕方ないと言われたらおしまいだけど…だからこそいろんな人がいて、いろんな個性があって、たくさんの夢が生まれるんです。歌はそれを後押しするものにすぎませんが、だからこそ尊くてその人にとって宝物になるんだと思います。いろんな人がいるようにいろんな歌もあり、そして私がまだ分からない景色も見えるのかなって思います。歌がなくなったら…きっと人々の夢と感情を失いただ生きるだけのものになるでしょう。だからこそ歌も人も面白いって感じるんです」


「十人十色…人間界の誰かが言った言葉をここまで表してくれるなんて、あなたは本当に人間観察が出来るんだね。あなたのその観察眼でさまざまな努力をしてみんなに認められうようになったのかな。だとしたらあなたはもう私たちを越えているのかもしれない。あなたの夢は何かな?」


「私の今の夢は…アイドルとしてみんなの夢の後押しが出来る存在になって、たくさんの歌でみんなの未来を築かせたいんです!」


「アイドル…?あの人間界にある歌って踊るあれかな?」


「はい。そのアイドルです」


「人間界ってもうそんな文明まであるんだね、現世を覗くまで知らなかったよ。あかりならそれを叶えられる魂を感じるよ。どんなに邪魔されても夢は叶うと保証するよ」


「ありがとうございます!」


「でもね…気持ちだけではどうしようもない時もあるの。そのための技術や思考力がなければ宝の持ち腐れになってしまうんだ。あなたがそれほどの器なのか、ここで試してもいいかな?」


「やっぱりそうですよね…。あなたに勝てなかったらルシファーナに勝てない、そんな気がしてました。」


「話が早くて助かるよ。それじゃあ…準備はいいかな?マイロード!」


「マイロード!」


あかりとカリオペはレイピアを構え決闘の挨拶をする。


レイピアを縦に持って顔の前に上げ、正々堂々と戦う決意をし二人は立ち向かっていった。


あかりはカリオペの圧倒的スピードに翻弄されはじめ、次第に体を斬られてしまう。


レイピアは確かに刺突が得意だが斬れないわけではない。


あかりはそれを再認識し、今度は警戒態勢に入った。


「レイピアって斬れるんだね…。知らなかった…もっと世界史を勉強しておけばよかったかな…」


「いくらドリームパワーが大きくて歴代最強レベルでも、所詮は素人って事かな?このままだと奴どころか私にすら勝てないよ!」


「どうすればあの人の動きを…?」


「遅いよ!」


「きゃっ!」


「まだまだっ!」


「うっ…!早い…!」


カリオペの連続刺突をギリギリかわし、あかりは危機を逃れた。


さすが最初にミューズに選ばれただけの事はある…あかりは本当にこの人に勝てるのか不安になる。


ましてや隊長という事で実力はトップなのに私なんかに勝てるのかなと諦める気持ちになりかけた。


そんな時に仲間の事を思い浮かべた。


どんなに壁に当たっても努力を惜しまない結衣、持ち前のポジティブさで恋を成就した日菜子、臆病でネガティブながらも陰で努力をし続けた麻友美、猪突猛進で前に突き進むひかり、コンプレックスを乗り越え今も努力を欠かさない麻里奈、遠い国から来て仲間のために頑張るエマ、嫌いな本当の自分と偽りの自分を演じながらありのままを受け入れた萌仁香、そして自分だけでなく周りのサポートもして今も私たちを想っているであろう加奈子の姿が浮かびあかりは心を入れ替える。


すると突然フレーズが浮かびあかりはそれを口に出して歌う。


「Ah~~~~~~…」


「その歌はまさか…!?」


「何だろう…?力が込み上げてくる…!」


「このままだと彼女の潜在能力が目覚めてしまう…!早く決着をつけるよ!」


「ふぅ…!」


「えっ…?」


あかりは一呼吸置いてから動くと一瞬でカリオペに近づき、カリオペも何が起こったのかわからないほどの動きをした。


あかりはその一瞬でカリオペが動く前に近づき、ナックルガードで右手を殴ってレイピアを弾き飛ばし、切っ先で胸元を寸止めした。


カリオペはこの子にはもう勝てないと悟り動くのをやめる。


あかりは本来は優しすぎて敵でないものに攻撃するのを躊躇うが。今回は試練だからと割り切って苦しみながらも必殺技を放つ。


「本当は痛い思いはさせたくないけど…あなたを越えるために心を鬼にします!ローズスプラッシュ…カンタービレ!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!」


あかりの一突きがイバラとなって絡みつきそして貫通していった。


カリオペは直撃の衝撃で倒れ込むも、しばらくすると何事もなかったかのように立ち上がり、あかりに歩み寄った。


「見事な必殺話だね。時には非情になって判断するのもまた夢を叶える一歩なんだよ。でもだからって他人を不幸に陥れるのはよくない。残酷な決断をする時は苦しいかもしれないけど、誤った判断で自他共に不幸にさせないでね」


「はい!」


「さて…ここは夢の国とはいえ霊界の一部だから、もう死んだ私はそろそろ霊界に戻るね。あなたみたいなすごい後継者がいると聞いて神様に特別に夢の国で待つことを許されたの。そしてようやく自分を越える騎士が現れ、もう未練はなくなったんだ。後世の世界をあなたに託すね」


「わかりました!必ず悪夢の女帝ルシファーナを倒します!」


「じゃあ…さよならあかり。最後にあなたに会えてよかった…」


こうしてカリオペは霊界に還り、ミューズナイツは試練を突破した。


あかりは今までの人生の中で最も寝起きがよく、ここまでスッキリした起床ははじめて感じた。


しかしあかりが目を覚ましたのが最後で、いかに苦戦を強いられたかがわかった。


秋山プロデューサーとヴィオラ女王が全員起きたことに気付き声をかける。


「みんな!よく起きてくれた!スッキリした顔つきって事は試練を越えたようだね!このままルシファーナの城に行くなら僕もついていくよ!保護者として見過ごすわけにはいかないからね!」


「はい!」


「私もついて行くわ!奴らに支配されたのは女王である私の責任だもの!最後の戦いをサポートさせて!」


「わかりました!」


「じゃあ円陣組みましょう!私たちは夢の騎士!」


「ミューズナイツ!」


「絶対勝ちましょう!SBY!」


「48!」


つづく!

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