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第69話 副将クレイオ

結衣は寝る前に少しだけストレッチをして、身体を温め眠れるように準備をする。


すると結衣は緊張する事もなく早めに眠りについた。


結衣は夢の国に入り、そこにはギリシャの神殿風の建物が多く並んでいた。


見渡してみると、まるでギリシャ神話の世界に入ったような感じがした。


少しだけ歩くと、一人の美しい女性が髪をなびかせて誰かを待っていた。


その女性が気になった結衣は、勇気を出して声をかけてみる。


「あの、すみません。もしかして誰かを待っているんですか?」


「ええ。私には予感がするの。いつかここに私の跡を継ぐドリームパワーの持ち主が現れるって。そしたら本当に現れた…あなたのようなドリームパワーを受け継ぐ騎士がね」


「私ですか…?いいえ、どうしてドリームパワーをご存知なのですか?もしかしてあなたは…初代ミューズナイツの方ですか?」


「ミューズナイツ…あなたが知っているという事はやっぱり…!」


「はい。大島結衣です」


「結衣ね。はじめまして、ミューズナイツのクレイオよ。あなたが来るのを千年の時が経るまで待っていたわ」


「光栄です。あなたのような偉大な方に会えるなんて」


「今までも後継者は何人もいたけれど、平和な時間ばかりで誰もドリームパワーを高められる子はいなかったの。それに力を得て途中で堕落する子も少なくはなかったわ。それでもあなたは堕落することなく、私と同格のドリームパワーを得た。それだけでも充分凄いことなのよ」


「そう言われると少し恥ずかしいですね」


「あなたの心を見ると情熱に溢れているわ。どこからその情熱が溢れるかはわからないけど、一体何をモチベーションにしているの?」


「そうですね…。確かに私は演劇で百年に一人の逸材と言われ続け、自分の才能に驕る時もありました。でもそれじゃあダメだって気付いたのはすぐだったわ。大人の名優ともなると、私なんかよりも経験を積んで、かつ上を見て高め続けているって気付き、自分のちっぽけさを思い知ったんです。今の自分がちっぽけなら、もっと努力して一番になろうって思って頑張りました。でも…努力だけではどうしようもない事もあり、何度もやめようと思ってました。そんな時に今の仲間たちに出会って、切磋琢磨し合える環境になり、もっと自分も頑張らなきゃって思えるようになった。今でも自分を磨いて一番になるための努力は欠かしません。もちろんそうする事で批判や悪口も言われます。でもそんな奴らに構っているより、応援してくれるみんなの声を聞いてモチベーション上げる方が有意義なんです。それに筋肉トレーニングにはそんなストレスからも力で発散できて、誰も傷つけないで自分を鍛え抜くんです。こんな大きなメリットはそうそうないはずです。だから…落ちる暇があったら自分を磨き認められるような人になるって決めたんです」


「なるほど…。まだ二十歳にも満たない女の子がここまで達観できるなんて思わなかったわ。これなら霊界に行っても天国へ還れそうね。そしてミューズにも選ばれ、驕ることなく高め続ける…全ての人がそうであれば、あなたのような子がもっといれば世の中はいい方向に行けたのにね。人間の中には生まれ持ってからダークネスパワーに染まる人もいて、一度陥るとなかなか抜け出せず、夢をバカにしたり夢の邪魔をするの。今の世の中は便利すぎて心を失い邪魔ばかりしてない?」


「言われてみれば昔と比べて知らない人からの悪口や悪評が目立ちますね」


「あなたと違って真逆の情熱を注ぎ、火傷どころか地獄の業火になり他人を傷つけるの。そうなると人はダークネスパワーに染まり、自分を高められず結局死後に地獄に堕ちてしまう。これは神さまがそう決めたルールなのよ。ミューズに選ばれたという事はそういう運命を変える役目もあるの。あなたは器用だからきっと出来るはずよ」


「ありがとうございます」


「もちろん…戦いともなれば、それだけでは突破できませんけどね?」


「何かしら…この凄まじいドリームパワーの圧は…!?」


「ルシファーナが復活したという事は、世の中がダークネスパワーに染まりきったという事よ。私に勝てないようでは奴に勝つことなんて不可能なんだから」


「おそらく他のみんなも…!わかりました。あなたの試練を突破してみせましょう!」


結衣はいずれ越えなければならない壁を越えるチャンスだと言わんばかりにハルバードを構えた。


クレイオもハルバードを構え、自分と同じ武器だと判断した結衣はリーチの取り合いから始まると予想する。


するとクレイオは予想外の攻撃を仕掛ける。


「ふんっ!」


「いきなり武器を投げ捨てた…?」


「その一瞬の隙が命取りよ!」


「しまっ…きゃぁっ!」


「まだ終わりじゃないわ!」


「さっき投げ捨てた…!」


「くらいなさいっ!」


「うっ…!」


「安心しなさい。首を斬るまでには至らなかったけど少し眠ってもらうわ。でも…ルシファーナはこの程度じゃ済まないわよ?」


結衣はハルバードの柄で後頭部を叩かれてそのまま気を失う。


クレイオは結衣を見て将来性を感じるも、自分に勝つにはまだ早いのかな…と諦めた空気を漂わせた。


結衣は意識が遠のき走馬灯が浮かぶ。


「あれ…?私…もう死ぬのかしら…?」


「結衣は何をやっても天才ね!これはもう大島家最高傑作よ!」


「信じられないよ…!まさかパパやママより優秀なんて!他の子とは大違いだな!」


「妹ばっかり褒められてムカつく…!何でアイツが生まれたんだよ…!」


「お姉ちゃんばっかり褒めないでー!私のことも褒めてー!」


「あんたたちは親に歯向かう暇があったらいい成績を残しなさい!」


「よせ。こいつらはもう期待しないと言ったろ?」


「うわーーーーん!」


「クソッ!こんな家出ていってやる!」


「ああ…優一兄さんは今どこでどうしているのかしら…。妹の麻衣も元気かしら…?」


「結衣。お前は…あのクソ親の元で育つだろうから言っておく。俺みたいにはなるなよ?お前が実は人一倍努力家なのは知ってるからよ。次会う時は…ないかもしれないからな。ライブ…楽しみにしてるからやめんなよ?」


「お姉ちゃんが頑張ってるのは麻衣も知ってるよ。もしお父さんたちの教育が辛かったら一緒に出ていこうね?アイドル頑張ってね!」


「私のせいで家族が崩壊したのならいっそ…!いいえ…兄さんと妹と約束したもの…!アイドルとしてもう一度楽しかった家族に戻るって…!ここで死んだら…もう叶わなくなっちゃう!はぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「うっ…!このドリームパワーはまさか…!?」


「家族のために…こんなところで死ぬわけにはいかないの!あなたに夢の力を受けさせてあげるわ!スカーレットラッシュ…アパッシオナート!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!」


結衣はかつて自分のせいで家族の中が崩壊したことを思い出しつつも、兄や妹が自分を憎みながらも応援してくれてそれが元で努力し続けていることを思い出す。


自分の中で限界を決めつけていたのか、力をセーブしたことを改めて反省し、もっと自分を信じようと決めた。


するとしばらくしてクレイオは元気に立ち上がり結衣に歩み寄った。


「家族か…。応援してもらえるって夢が叶うきっかけの一つなのよね。あなたにそう教わったわ。私もまだ下の世代に学ぶこともあるわね。あなたはもう私を越えたのよ。おめでとう」


「ありがとうございます…!」


「これでもうこの世に未練はないわ。あなたはルシファーナに勝つ使命を背負って戦いなさい。あなたの活躍…天国で見守っているわ」


こうしてクレイオは満面の笑みを浮かべて消えていき天に還っていった。


結衣は目を覚ますといつもより寝付きがよく気持ちも頭もスッキリしていたのだ。


こうして結衣は目を覚ました。


つづく!

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